プロローグ?次から本編が始まります
それにしても話がなげーな。おぃっ。
さぁじいさんっ、早くトイレに行かせてくれっ。
ハタラカン王国の王の間。
俺は王の前で膝をついていた。目の前のじいさんは、以前より頭と顎髭の白髪が増えたようだ。
なかなかの育毛剤を使っていると見える。
「勇者アルスよ。この国の念願であった魔竜の討伐、ごくろうであった。褒美は何がいいかのう?」
トイレに行かせてくれっ。
いや、他に言う事があったぜ。
「では国王陛下、もうこの国も安泰でござます。なので、私の勇者の任を解いていただけませんか?他には何もいりません」
「それは構わぬが、貴族位くらいならやれるぞ?」
いや、結構だ。
おいおぃ、何言ってんだじいさん。
冗談はその面とひげだけにして下さいよ。
「私は元々田舎者。私に貴族は性に合いませんよ」
武力と権力を持つ人の末路を知らないの?
あんたの周りの宰相達を見てよ。
いかにも殺りそうな顔してやがる。
こんな所にいたら、用済みの俺は国家転覆を企てたとか言われて即死刑だよ。
さらば勇者。そして伝説へ~が始まるって。
…………。
パッと俺の前に何故か文字が浮かびあがってくる。
序章 おもらし
いやっおもらし決定するなっ。俺。
序章 おチビり
いや言い方よ。量の問題でもないだろ。
何でそもそも死ぬ流れ?
「では、勇者アルスの任を現時刻を持って解く。ただし、何かあれば直ぐに王宮へ来れるように、国外への移動は禁止する」
はっ。また違う事を考えてしまった。
「……はい」
えっ?ウソでしょ?
何かあればまた命張るの?
そして、俺は駆け出した。
トイレに。
妄想とは心の病なのかもしれない。