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一人旅  作者: 名鳥 佑飛
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第1話


 週末になると田村たむら さとしは1人で京都に行くと決めていた。平日は東京で仕事をし、そのストレスを少しでも開放させるということが理由の1つであったからだ。

 京都に着くと昼食を済ませ、金閣寺へ、伏見稲荷大社へ、清水寺へと向かう。清水寺へ行く途中で、田村は通っている抹茶屋に立ち寄った。京都に行った時はいつも立ち寄っている老舗、入った瞬間に分かる落ち着いた雰囲気、店員もそれほど厚かましくない、そういったところが田村は気に入っていた。田村はいつもの席で、いつもと同じケーキを食べ、いつもと同じ抹茶を飲んで、いつもと同じ値段を払って店を出た。

「あのー、すみません!」

 清水寺へ向かおうとすると、店の店員だろう、1人の女性が田村を呼んだ。

「これ忘れていかれましたよ」

 女性の手にはハンカチが。

「ありがとうございます。」

礼を言って帰ろうとした田村だが、女性は話し掛けてきた。

「あの、よくお店に来られる方ですよね」

「あっ…はい」

「また来てくださいね」

いつも一人旅のときは「はい」「ありがとうございます」以外はほとんど何も言わない。特に感情が変わることもない。

 しかし、今回の一人旅はいつも見ていた店員の女性がいつもと違う対応をしてきた。

 その時に田村は数週間前から抱いていたいつもと違う感情にハッと気付くのであった。

 田村は、ハンカチをポケットに入れようとすると、既にハンカチが入っていた。このハンカチは先週忘れたんだろうか。そう思いながら田村は清水寺に向かうのであった。

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