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最低と恋人7

 恋人の髪を掴み、引きずりながらこちらに向かってくる後輩は全くこちらから視線を逸らさない。

 引きずられているパンクは電撃のせいか、後輩にされるがまま。


 カレーショップでの言動や行動を思えば、何をヤろうとしているのかは考えるまでもない。


 現実に逃げることを最初に考えて、以前に帰還できた蕎麦屋を見る。店内にあるタバコの自販機が煌々と暗闇で輝き、アコーディオン式のシャッターを照らしていた。

 溢れそうな悪態を噛み締めて、ほかの手段を探す。手にしている金属板を懐に戻そうとするのを、後輩が叫んだ。



「この状況でタバコっすかぁ! 随分と余裕かましてくれんすねぇ!」



 タバコを吸う余裕も、勘違いに突っ込む余裕もない。


 店舗が並ぶ通路を奥へと逃げたとしても、地の利はこの場所まで迷わず案内してきた後輩にある。しかも迷いも躊躇いもなく、後輩は現れた通路側の大階段にパンクの鞄からペットボトルを取り出して中身を撒いた。次いで火炎瓶に火を着けて投げつける。



「先輩はバーベキューって好きっすかぁ?」



 そう言った後輩は無理矢理パンクを立たせて、炎が上がる大階段へと蹴り飛ばした。


 満足に動けない状態のまま炎に包まれ、パンクの呻くような声が一瞬上がる。何度もスタンロッドで電撃を浴びた影響が残っているのだろう、まともに悲鳴すらあげられるないようだ。



「もっと派手に叫ばねぇと先輩が退屈すんだろうが。使えねぇ女」



 唾を吐き捨ててこちらに向き直った後輩の顔に、不快感と嫌悪しか返せない。



「そのつまんなそうなツラぁ、心底楽しくて仕方ねぇってツラに変えてやるんで、俺も楽しんでいいっすよねぇ!」



 張り上げた声が響く中、後輩は普段と変わらない笑みで俺を見上げていた。


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