表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/123

地下迷宮4

 二つ下にある床ガラスを左の方へと走る人影だ。

 落ちてきた場所の真下にいたため、重なったガラスで見えていなかったらしい。


 こちらの位置を確かめるように見上げた男に見覚えがある気がして、背を丸くして走る姿を目で追う。

 再び振り返った顔を確かめて、老人を調べた際に博士互助会のメンバーにいた男だと思い出した。老人よりは若く精悍な顔をした男は、前傾姿勢のままでも素早く円柱や鉄柱棒の影に入りながら離れていく。



 老人と同じように金属板で【地下迷宮】に出入りしているのかと、無意識が警鐘を鳴らす。

 再び見つけた男は、斜め下からこちらを見上げていた。



 ライフルらしきものの銃口をこちらに向けて。



 ガラスに金属を擦り付けた音を数倍にしたような轟音。

 それが弾丸の貫通力とガラスの強度が競いあった結果だとわかるまで、動くことさえできなかった。


 ガラスによって歪んだ弾道は、それでも一枚の床を突き抜けて照明の一つを砕いている。その結果を見ても、まだ現実味がわかない。

 やっと動いたのは男が再びライフル銃を構えなおし、再び轟音が鳴り響いてからだった。


 二枚目の床ガラスを突き抜け、目の前の壁ガラスがたわむ。突き刺さった弾頭が威力不足で止まったことなど気づく余裕もない。

 大慌てで扉を目指して走り出し、その扉が男と同じフロアにあることに気づいた。



 円柱から覗いて見れば、楽しそうな笑みで銃に弾を込めていた。こちらの居場所を視界に入れたまま円柱に置いた荷物を背負う姿は、手慣れたように見える。




 人間狩り。




 そんなものに手慣れた人間がいるなど、全く考えていなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ