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【誘引】7回目3

 レトロゲームの攻略のように、小銭をマーキング代わりにして分岐路を選ぶ。明らかに行き止まりになっている道は選べないが、選択肢自体はとてつもなく多い。


 それでも何度か小銭がある場所に戻りつつ、新しいルートを見つけてはまた戻るということを繰り返していく。


 軽く汗ばんできた頃になって普段の地下通路のような【地下迷宮】とは違い、空調設備が見当たらないことに気づいた。時折うっすらとカビや腐臭のような臭さを感じることもあり、ガスが出ている場所もあるのかもしれないと警戒する。



「……奥に行くと酸素がないとか言わないだろうな……」



 もしガスが出ていて、その中に無臭のものもあれば気付く手段もない。ライターはあるが可燃性ガスだった場合は引火して大惨事になるのが目に見える。それによって死亡すれば現実に戻されるだろうが、自ずから自爆する気にはなれない。


 そのためタバコも吸えないままに延々と歩くしかない状況が続いている。

 見えるのはかわり映えしない石壁と松明を模した蛍光照明。一定距離で現れる分岐路と、そこに置かれた小銭である。



「……またふりだしかよ」



 自販機や売店なども当然見つけられていない。石壁は少し冷たいが、それでも歩き続けた身体は温まり汗も流れる。水分が抜けていくのがわかっていても、補給することができないという事実もストレスになっていた。


 サバイバルなどで見た、自分の尿から水を取るような方法が思い浮かんでもやりたいとは思えない。誤魔化すようにボタンをちぎって口に入れる。古い漫画で砂漠に置き去りにされた主人公が水分補給の手段として行っていたことだが、実際にそれをやってみると別のことが思い出された。



「タバコを吸いたくなったら飴でも舐めて口寂しいのを誤魔化せ、って?」



 嫌煙が強権化して禁煙化が強調される度に、タバコの辞め方として押し付けられる手順。

 そんなバカバカしい話を思い出していた。



「……マジで禁煙させるための【地下迷宮】ってわけじゃないだろうな?」



週末なので次の話は一時間後に投稿します。

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