表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/123

水曜日、半休で漫画喫茶

 日が開けて水曜日。


 週五日勤務の折り返しが、これほどまでに遅く遠いと感じたことはなかった。



 昨夜、駅のホームで絶叫した後。

 ちょうど終電のタイミングだったこともあり、乗り損ねたと思われたのだろう。ホームにいた駅員に諦めるように諭されて、近場の漫画喫茶を紹介された。



 精神的に限界がきたのか全く仕事に向かう気にならず、半休申請のメールを飛ばして携帯の電源を切り午前中を過ごした。



 漫画喫茶は使ってみるとかなり快適だった。


 店員も終電に乗り損ねていることがわかっているのか、初来店だったが面倒な手続きはなかった。再来店用の案内パンフレットが席にあり、目から鱗が落ちる。一通り読んでみるとナイトパックには種類があり平日パックやスリーデイズパック、マンスリーパックなどがあった。


 おそらく駅で仕事をする者が使っているのだろう。漫画やコーヒーを取りに行く途中の個室は、大部分が埋まっていた。

 夜十時から朝六時までのナイトパックが二千円というのは、調べてみるとだいたい相場通りらしい。

 その金額は、普通に通勤していた頃ならば無駄金としか思わなかっただろう。

 だが【地下迷宮誘引現象】という事態に直面し、そのリスク回避の代価としてみれば素晴らしく良心的な値段に見えた。タバコ二箱分ではあるが、【誘引】された場合に消費するタバコを考えると安い。



「タバコ吸えて漫画読めてネットできる……天国かここは?」



 ここでリモートワークさせて貰えないかと本気で思う。近場の空きテナントを会社で借り上げて設備投資するように陳情してみようか。社員の仕事効率が倍増する、という前提で見積もりを作りたい。営業に回してやれば客相手のネタに使いそうだ。あるいは営業に、漫画喫茶業者周りさせて空きテナント会社との橋渡しをしてマージンを取らせるか。会社名をリスト化しようとして慣れないキーボードの感触で気づく。


 仕事をせずにいても、仕事が思考に混ざるのはサラリーマンの性だろうか。

 とりあえず知っている営業に打診してやるかと思い携帯の電源を入れると、メールがポップアップした。



「なんかあったか?」



 全従業員向けの緊急通達メール。

 開いてみれば【誘引】状況の把握のために第三者組織による面談を行うと書かれている。



「なんで今更?」



 発生から二カ月も経った今になって、なんの面談をするというのだろうか。

 参加必須と書かれているので、仕方なく会社に向かうことにした。


週末まで毎日三話投稿予定です。(1時、2時、3時で投稿予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ