表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/123

最低の結果7


「あんがとな、先輩。でももう……一番とか愛しているとか、無理だ。わかんないもん」



 どうにも都合よくこちらの言葉を受け止めたらしいパンクは、口調さえ定まらない。それだけ後輩に合わせていたのだろう。

 そんなことがわかったとしても、正直彼女がこれからどうするのかなど、関わりのない話でしかない。


 足元で彼女を嘲笑う後輩の頭を軽く蹴って突っ込むくらいしか出来ず、視線から逃げるように顔を逸らす。



「……何を悩んでいるんだ? 需要が無い先への供給は無駄だということだろう?」



 逸らした先にある、睨む顔のくそったれが容赦無い結論を口にする。依存がどうのと語っていたくせに、未練という機微がこいつにはわからないのだろうか。



「……そっか……あたし、バカだね」



 痣と涙に腫れた顔が弱々しい笑みを浮かべた。

 しゃがみ込むようにして後輩と向き合うのを見て、またアーミーナイフを拾わないかと不安になる。



「さよなら」



 静かな彼女の声に、後輩の舌打ちが答える。

 立ち上がったパンクが舌にあるピアスが見えるほど大口を開けて、身体を伸ばすように広げた。



「あーぁ、もう忘れる! 今のあたしごと全部忘れて幸せになって、バカだったって笑い話にする! 先輩、あたしと付き合わない? 彼女さんのほうでもいいよ!」



 無理矢理笑う顔は腫れと血で痛々しいが、晴れやかに前を向いていた。



「…………あー……悪いな」


「だよね。わざわざこんなところに迎えに来るほど、彼女さんのこと大事にしてるもんね」



 吹っ切るための冗談に乗る気にはなれず雑に答えると、あっさりと翻して余計なことを言い出した。


 量産されたくそったれの顔が変なことになっているのではないかと、それでも少しだけ興味を持ってチラ見した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ