最低の結果7
「あんがとな、先輩。でももう……一番とか愛しているとか、無理だ。わかんないもん」
どうにも都合よくこちらの言葉を受け止めたらしいパンクは、口調さえ定まらない。それだけ後輩に合わせていたのだろう。
そんなことがわかったとしても、正直彼女がこれからどうするのかなど、関わりのない話でしかない。
足元で彼女を嘲笑う後輩の頭を軽く蹴って突っ込むくらいしか出来ず、視線から逃げるように顔を逸らす。
「……何を悩んでいるんだ? 需要が無い先への供給は無駄だということだろう?」
逸らした先にある、睨む顔のくそったれが容赦無い結論を口にする。依存がどうのと語っていたくせに、未練という機微がこいつにはわからないのだろうか。
「……そっか……あたし、バカだね」
痣と涙に腫れた顔が弱々しい笑みを浮かべた。
しゃがみ込むようにして後輩と向き合うのを見て、またアーミーナイフを拾わないかと不安になる。
「さよなら」
静かな彼女の声に、後輩の舌打ちが答える。
立ち上がったパンクが舌にあるピアスが見えるほど大口を開けて、身体を伸ばすように広げた。
「あーぁ、もう忘れる! 今のあたしごと全部忘れて幸せになって、バカだったって笑い話にする! 先輩、あたしと付き合わない? 彼女さんのほうでもいいよ!」
無理矢理笑う顔は腫れと血で痛々しいが、晴れやかに前を向いていた。
「…………あー……悪いな」
「だよね。わざわざこんなところに迎えに来るほど、彼女さんのこと大事にしてるもんね」
吹っ切るための冗談に乗る気にはなれず雑に答えると、あっさりと翻して余計なことを言い出した。
量産されたくそったれの顔が変なことになっているのではないかと、それでも少しだけ興味を持ってチラ見した。




