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 お前の生肝が一番美味い。


 後輩がカレーショップで言った妄言を思い出して、疲れ切った身体はそれでも反射的に動いていた。彼女に近づくために身体を振り向かせながら手足をついて、伸ばした手でナイフを握る手を掴む。

 それだけでも充分、自分の腹を裂こうとする覚悟は崩せたらしい。


 ナイフが手から落ちた。

 腹に膝を落とされて喉を掴まれた後輩の、頬と耳を引き裂きながら。


 悲鳴も呼吸も詰まっている感覚が手に伝わって、後輩を踏み歩くようにしてパンクのいる階段へと移る。

 ただ泣きじゃくるしかできなくなった彼女にしがみつかれて、振り払うわけにもいかず落ち着くのを待つ。


 何故か量産されたくそったれがこちらに近寄り、絶対に本人がしない顔でこちらを睨んでくる。

 物珍しさと鬱陶しさと気持ち悪さに取り囲まれて、どうにも居心地が悪い。


 視線から逃げるように周りに目を向ければ、ほとんどの量産されたくそったれは消えていた。

 残っているのはそれぞれに長机に向かってタッチパネルを操作している。

 壇上へと顔を向けると、無表情にこちらを見ている本人と目が合った。



「あまり一息つけたようには見えないが、一区切りはついたか。そろそろ話を続けても構わないかな?」


「…………勝手にしてくれ……」



 どこまでも、くそったれはくそったれだった。


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