表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/123

最低

 階段を降りていた途中で奴は笑った。

 楽しみの邪魔をするなら死んで当然だと。


 三段ほど長机を駆け下りた勢いで後頭部と背中に飛び蹴りを食らわせる。

 長机を越えて斜めに吹き飛び、いくつかのタッチパネルを破壊しながら転がり落ちていく。



 それを見たこちらはまともに受け身も取れずに階段に落ち、右腿と脇腹を段差の出っ張りに殴られた。

 痛みに耐えて立ち上がっても奴は長机の間に落ちたままらしく、その姿が見えない。


 階段をいくつか降りていくと、パンクに抱きつかれている姿があった。どうやらちょうどそこまで飛んだらしい。


 つらつらと語る声が消えた静寂が、その亡骸に目を向けさせる。だが直視できずに目を逸らした。



「テメェは! いらねぇから! 死んでろ!」



 だが静寂が簡単に壊される。怒声に紛れる音は、石を打ち合わせるような音に聞こえた。

 パンクに馬乗りになって顔に拳を落とす姿に嫌気がさす。


 クソ女呼ばわりに沸いた怒りは、そのくそったれが自分で死んだことで引いていた。

 何故こんなバカバカしいことをしているのかと思いながら、その背中へと歩いていく。


 暴力で繋がっている歪な恋人関係の二人を邪魔するのもバカバカしい。

 それでも目の前で死ぬのをこれ以上見る気にはなれず、左手で襟首を掴んだ。

 彼女を殴ることに夢中になっていたのだろう。



「あっ」



 こちらを見た一瞬、我に返った後輩の声がする。

 だがそれごと叩き込むように、鼻と前歯を砕きながら叩き込んだ拳が長机を震わせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ