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最低と最悪5


「金属板は最初のきっかけだが【おとない】はレコードによって意思疎通しようとする存在を認識した。だが、どの国も意思疎通には失敗した。言語を数多押し付けておいて、自らが全てを扱えないのだから当然だろう。だが我々とて世界中の猫の声を集めるより、一匹の猫になじむほうが意思が通じ易くなるのは変わらない」



 両側を長机に挟まれて動きが制限されるため、下段側の長机に上がれないかとチラ見した。


 その直後に右手で上段、左足で下段の長机と跳ねるように移動をした奴の右足が飛んでくる。とっさに両腕でその体重の乗った蹴りを受けたが、威力は殺しきれない。


 吹き飛ばされるように足を下げたが追いつかず、背後に倒れ込む。それに逆らわずに長机の間を後転で抜けて顔をあげると、後輩の顔から笑みが消えていた。



「さっきからうるせぇんだよクソ女ぁ! ゴチャゴチャ言ってねぇでとっとと死ねよ!」



 壇上で死にかけている相手を怒鳴りつけて階段を下り出す。


 その声に掻き消され、つらつらと紡がれていた言葉が止まる。

 直接トドメを刺すつもりの奴を止めようと、慌てて長机に上がったこちらを無表情が見据えた。



「キミの影響で後輩まで不合理になったのかい? 実に理不尽な意見だ。だが限界も近いし、それもいいだろう」



 事もなさげに言った直後、自ら腹に刺さったアーミーナイフを引き抜いた。


 抑えられていた出血が溢れ出し、シャツでは吸い込みきれずに壇上へと滴り落ちていく。

 だがくそったれはそれに一切頓着せず、切っ先を首に当てて腕を抱くようにして押し込んだ。


 筋肉も神経も諸共に頚動脈が切断されて、押し込まれた刃先が突き抜けた。勢いよく吹き出た血が腕を払い、血塗れになった腕が力なく落ちた。




次の話からは、また毎晩1時の投稿になります。

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