表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/123

最低と最悪3


「この国では【おとない】と呼称している。金属板やレコードを拾ったが届ける相手が見つからず、情報伝達のために世間で言う【地下迷宮誘引現象】を起こした。模造した金属板を与えているが、人間は情報伝達物質に過ぎない」



 つらつらと語る口調に淀みはない。


 それを聞きながら伸ばした右手が、後輩の左手で払われた。


 アッパー気味に鳩尾に向けられた右拳を左手で止めきれず、身体が押されて右足が長机から落ちる。

 左手で受けた拳を掴んだまま、流された右手を戻しその手首を掴む。奴の右手首をねじりながら長机から落ち、その隙間に倒れるようにして掴んだ腕を引く。



「だが【誘引】時に互いを排滅させあうのは人間の死も【おとない】の認識では伝達手段であるためだろう。それでも現実を保つために全人類が生かされている」



 右腕を引き剥がすよりも身体が倒れるほうが先になって、奴は一つ下に並ぶ長机に左手を着いて支えた。剥がされた奴の右手には拘らずそのまま背中から床に落ちて、両脚を抱き寄せる。背筋を支えに全身を伸ばして両足を突き上げた。


 鳩尾を庇った右腕と腹部に両脚を打ち込み、そのまま蹴り飛ばす。その反動が奴を元の長机に押し戻したが、少しよろめいた身体の上で笑うようなツラが見えた。



「楽しいっすねぇ! 先輩!」



 生憎とこちらは全く楽しくないし、身体を動かすのに手一杯だ。

 言葉を返す余裕もない俺の代わりでもないだろうが、壇上からは変わらず平然とした声が流れてくる。



週末なので次の話は一時間後に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ