笑顔の魔法
辛い時ですが、心を軽くしちゃいましょう。
※ 銘尾友朗さま主催「笑顔でいこう企画」参加作品です。
※ 敬称略でお送りしております。
新型コロナウイルスのせいで、動きにくいったらありゃしない。
不要不急の外出は控えろとか、仕方ないし理解もできるけど、息苦しいよね。
あたしも天さんも根がインドアだから、外出できないことにはさほど困らない。
どこかにお出掛けなんて滅多にしないし、お花見だって車の窓からでも我慢できる。
外食がしづらいのが残念かな。
行きつけの小さな食堂、カウンター席で揚げたての天ぷらを食べさせてくれる天ぷら屋さんなんかは、天さんが気にするから、行けないでいる。
どっちかっていうと、“自分が保菌者だったら迷惑を掛ける”っていう理由なのが、気にしぃの天さんらしいけど。あたしなんかは“いいじゃん、今具合悪いわけじゃなし、行こうよ”とか思っちゃうけどね。天さんの心配も理解できるから、我慢だ。
…だってね、外食産業は、今、大変だと思うのよ。おんなじようなことを考えている人がいっぱいいるから、閑古鳥が鳴いてるじゃない。行ってあげた方がいいんじゃないかって思うんだけどね。
でも、食事するってことは、マスクを外さなきゃならないってことだし、ボックス席で仕切り板まで付いてるようなとこって、そうはないのよね。たとえ仕切り板があっても、ドリンクバー系のお店なら、結局店内で客同士の接触が起きちゃう。
そんなわけで、最近、鷹野家では、外食というと、仕切り板の付いたボックス席のあるおそば屋さんにしか行ってないのよね。
今回の騒動、何が辛いって、先行きが見えないことよね。
人間、辛いことでもゴールが見えていれば頑張れることが多い。
せめて1か月くらいなら歯を食いしばって耐えられる人も、「もしかしたら1年かかるかも」なんて言われたら、心が折れちゃうもの。
政府の対応を責めてみても、海外の感染者ニュースに頭を痛めてみても、基本的には何も好転しない。
こんな閉塞感の中で元気出せって言われても、なかなか難しいよね。
でもね。
それでも、前を向いて歩こうよ!
辛いことばかり見てたって、苦しくなるだけだよ。
使い捨てマスクが売り切れてたら、手作りしてみたっていい。
白いマスクに赤いライン入れてウルトラマンの胸の模様にしたら、楽しいかもしれないじゃない! 実際には、職場でそんなのを着けられないだろうし、スーパーにも着けて行けないだろうから、話の上だけだけど、自分がそんなのを着けて歩いてる姿を想像したら、ちょっと心が軽くならない?
小さな小さな「クスッ」って笑い1つで、ずいぶん心が軽くならない?
不謹慎だって思うかな?
「この非常時に、なに大口開けて笑ってんだ」って思うかな?
でもね、笑いは大切よ。
あたしが昔やったゲームのヒロインが
「Passoin is power. 笑ってると元気になって、元気になると情熱が出て、情熱は活力で原動力で行動力なんだもん。だから…私は笑うの」
って言ってた。彼女は心臓病で、自分を奮い立たせるためにいつも笑ってた。
あたし達だって、笑ったら元気になれるんじゃない?
ニヒルを気取って
「苦しい時こそニヤリと笑え
端から見てみな 漢だぜ」
とかやれって言ってんじゃないの。
「カラ元気でも元気」って言葉もあるじゃない?
心の底から大笑いできなくてもいい。
日々の生活に、小さな笑いや喜びの種は溢れてる。
この前の日曜日、NHKで、筋肉体操のお兄さんが「超ラジオ体操」っていうのをやってた。
閉塞感を打破するための応援番組の一環だったと思う。家の中で体を動かそうという企画だよね。
天さんが、まず「超ラジオ体操!? 超ってなんだよ」って笑った。
で、2人で並んで体操したんだけど、2人で見事に正反対!
天さんは、画面の中のお兄さんの動きを鏡写しで真似てるけど、あたしは反転させて同じ向きでやってる。
つまり、お兄さんが左手を上に挙げると、天さんは右手を、あたしは左手を挙げるわけ。
お兄さんが左回りに体を回せば、天さんは右回り、あたしは左回りに回す。
やってて、吹き出しちゃった。
どっちが正しいっていうんじゃないの。
夏休みのラジオ体操だと、前に出て見本をやる人は、小っちゃい子が真似しやすいよう、左右反転で体操する。小っちゃい子は鏡写しで真似するから。見本の人はわざわざ事前に練習するんだよ。あたし、小6の時、やったからわかる。
仮面ライダーの変身ポーズとかスペシウム光線のポーズを左右逆で覚えちゃう子がいるのと同じ理屈ね。
天さんは、その前提で、見本のお兄さんを鏡写しに真似てるだけ。
あたしは、こういうのって普通は左が先だよねって思ってるから、お兄さんが左手を先に挙げたのを見て、左優先で動いてた。「仮面ライダー」の変身ポーズの頃から、あたしは画面の鏡写しになっちゃったことはない。もちろん、鏡写しができないわけじゃないから、お兄さんが先に右手を挙げてたら、鏡写しでやるつもりだったけど。
突然吹き出したあたしに、天さんも翼(自分はやらずにあたし達を眺めてた)もキョトンとしてた。
説明しても、天さんは要領を得ないって顔してたけど、でも、あたしは、あの瞬間、確かに幸せだった。
大きな幸せや笑いでなくてもいい。
日々を生きている中で、小さな幸せや笑いは、きっとどこにでもある。
それは、例えば茶柱が立ったくらいのことでもいい。餃子を包んでたら、ちょうど皮と餡を使い切ったとかでもいい。虹が見えたとか、雲間から差す光が帯みたいに見えたってだけでもいい。ウルトラマンの改造が終わったとか、書いた小説に感想が書かれたとか、種はいくらでもある。
息を潜めて生きる必要はないの。枠の中で、できる範囲で、小さな幸せを積み重ねていこう! 明けない夜はないのだ!
苦しい時こそニヤリと笑え~
漫画「炎の転校生」(島本和彦・作)のOVA版主題歌の歌詞。
作詞・作曲とも島本和彦。自分で歌ったのをテープに録って、そこから楽譜を起こしてもらったらしい。
「敵わぬ敵にもひとまず当たれ」とか、めっちゃ熱い歌である。
カラ元気でも元気
漫画「機動警察パトレイバー」(ゆうきまさみ・作)で、後藤隊長が言った台詞。
出典は、山本正之の「元気のススメ」という歌。サビでは、「正しい人、正気 ほんとの人、本気 遠足は延期 日の丸、国旗…」という具合に「○○き」という言葉を連呼する。
ちなみに、山本正之は、タイムボカンシリーズやJ9シリーズの曲を手がけたシンガーソングライターで、ゆうきまさみが「究極超人あ~る」のイメージアルバム化に際して指名した縁で知り合ったことから、「パトレイバー」で引用したという経緯がある。
筋肉体操
NHK制作「みんなの筋肉体操」のこと。
谷本道哉という筋肉ムキムキのお兄さん(近畿大学生物理工学部の准教授だそうな)が筋肉をいじめて鍛える体操を教える番組。武田真治もレギュラーで体操している。
相当キツい運動だが、谷本が「辛いけど辛くない」とか「あと3回しかできません」とか合いの手を入れる。
あと1回やるのもキツいなぁと思っているところに「あと3回しか」とか言われると泣きたくなる。…が、自分でやらずに見ているだけだと「また無茶言ってるよ~」と笑える。
仮面ライダーの変身ポーズとかスペシウム光線のポーズを左右逆で覚えちゃう子
小さな子供は、見たまま真似ることが多いので、テレビ画面に対して鏡写しに覚えることが多い。
「ウルトラマンゼアス」では、ゼアスの必殺技スペシュッシュラ光線は、スペシウム光線を鏡写しにしている。つまり、鏡写しで覚えたというネタらしい。
そんな理由から、梓は、伊右衛門+のCMのポーズがスペシュッシュラ光線に見えて笑えてしまう。