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鷂チャゲのSS作品倉庫  作者: 鷂チャゲ
4/6

ハゲ

 

 夜風の吹き抜けるビルの屋上で、男は無骨な相棒を手にしていた。


 バレットM82。数多の戦場で名を馳せるスナイパーライフルであり、男にとって長年を共にしてきた、唯一無二の戦友だ。


 この相棒を手に、男は幾多の死線を潜り、幾万の敵を仕留めてきた。


 今夜は、そんな男と相棒の最後の仕事であった。


「てめぇとの付き合いも、これで終いだな」


 スコープから、男はターゲットの頭を覗く。


 百発百中のヘッドショット率から、『コンドル』と呼ばれ続けてきた男は、しかし、その名が嫌いであった。


「腐肉食の嫌われ者。お似合いすぎたよなぁ」


 あらゆる腐った肉を食い物に、生きてきて。


 この身には、その腐った肉たちの、ウイルスが染み付いていた。

 醜く、穢らわしい、狂気のウイルスが。


 だから、男は影から太陽のもとへ。その身を晒し、殺菌することを誓ったのだ。


 男は、トリガーに指をかける。


 いまから撃ち抜くのは、ターゲットであり、自分自身だ。


 狂気のコンドルから、潔白のハゲタカへ。


 男は生まれ変わる。


「この最後の一発が、それさ」


 見慣れた後頭部へ、見飽きた十字線を持っていき、照準を合わせる。


 風が吹く。冷たい夜の風が、頭から伸びる一本を、弄ぶ。


 撃ち続けてきた銃弾は消えることなく、男の頭に刻まれ続け、気づけば、一周回って消えていた。


 それが男の罪の証であり、新たな生き様の形そのもの。


「あばよ、俺」


 かつての自分へ別れを告げて、男はトリガーを引いた。


 サイレンサー特有の、静かな噴射音が夜に溶けて、ターゲットは沈み――


 はらりと、頭に残っていた一本が、散った。



ハゲと言えば、チャゲ

チャゲといえば、ハゲ、でお馴染みの鷂チャゲです。どーもー!!←


なんかこう、ハゲがお題になると、どうしてもネタに走りがちだと思うので、出来るだけ真面目に、ハードボイルドに書きたくてこうなりました( ´-ω-)

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