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僕のハンター日記  作者: 羊歯けんじ
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殺した

結果として鹿を殺した。

今回も子鹿だった。

のんきに草を食んでいて、50メートルまで接近しても全く逃げなかった。

初めての獲物。

一発で仕留めた。

ネックに一発。

子鹿はその場に倒れた。

今度こそは確実に銃弾が首を貫通した。

僕は鹿を殺した。

駆け寄って手を合わせた。

すぐさまナイフを取り出し胸骨の位置を探った。

ぐにゃぐにゃした毛皮の下にそれらしき感触を認め、ひと思いに刺した。

血は出なかった。

さらにナイフを心臓めがけて押し込んだ。

血がどばどばと溢れ出した。

ナイフを取り出して、今度は刃を逆に向けて喉を顎の下まで切り裂いた。

師匠に教わった血抜きの方法。

気管まで裂けて、空気がフシューと抜けた。

かすかに残っていた鹿の生体反応は潰えて消えた。

もう、ただの肉だった。

それでも美しい姿だった。

僕はそれを持ち帰った。

子鹿だけど重たかった。

苦労して軽トラの荷台に乗せた。

気づけば日が落ちていた。

運転した。

国道を走った。

荷台には殺して間もない鹿が乗っている。

こんな感情は初めてだった。

僕は鹿を殺した。

運搬して、肉を得るために切り刻もうとしている。

切羽詰まった僕。

それでいて嘘偽りない真実の自分。

残酷な残酷な僕の中の野生。

僕は鹿を殺したんです。

あんなにも可愛らしい子鹿を銃殺しました。

最低です。

だけれども同時に最高の気分でもあります。

だから僕はいつ誰かに殺されても、それは仕方がないと思います。

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