射撃場のこと
一人で出猟できるようになる前に師匠に射撃場へ連れて行ってもらった。
実包(弾)は50発買ってあった。警察の許可で〈狩猟のための射撃訓練〉用に買ったもの。銃の弾というものは買う目的と使い道が違うと撃ってはいけない。だからこの50発は射撃場以外では撃てない。的を目がけて存分に撃ってやろうと意気込む。
結果、25発で肩が死んだ。12口径ハーフライフルの反動は凄まじい。指先が痺れて力が入らない。スコープは師匠のアドバイスの元バッチリ調整したはずだが後半狙いとは違う位置に着弾する。師匠が言うには「ガク引き」だそうだ。反動を怖れて不必要な力が入ってしまう状態。それでも全ての弾が的の中に収まったのだから予想以上の結果だ。それは師匠も褒めてくれた。
射撃場ではベンチレストの上に銃を乗せたが、実際の猟ではそんなものはない。最初は当たらないだろう。当たる気がしない。実践あるのみ。外して外して、コツをつかむんだと思う。
そして射撃場の客層。思ったよりも皆さん紳士だった。怖い人がいたら嫌だなと敬遠していたのも事実。中に、本を出している有名ハンターに似た人がいたけどまさかね。テレビでも取り上げられていて、声も似ていた気がするけどまさかのまさかね。師匠に言うと、「テレビに出るハンターなんてろくなハンターじゃねえ」と一笑された。
とにかく、25発撃って、自分の銃との距離が縮まったと感じた。理想は銃が体の一部だと感じる状態まで持って行くようなことなんだと思う。