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僕のハンター日記  作者: 羊歯けんじ
17/26

新年

もうそろそろ獲れない記録2ヶ月を更新しようとしている。

依然として獲れないまま新年を迎えた。

晦日にちょっとだけ出猟した。

谷の反対側に群れがいて、気づいて逃げられた。

元旦にそこを狙いに行った。

時間帯だろうか、一頭も出会えなかった。

二日は出猟しなかった。酒を飲むばかり。

その夜、雪が降った。

北日本は連日大雪と報じられているが、北海道の東部は嘘のように雪が降らない。

それが、ようやく降ったのだ。

待ちに待った雪。

これで足跡追跡が容易になる。

興奮してまた酒を飲んでしまった。

案の定、翌朝起きれなかった。

一応午後から出猟した。

新雪の足跡が新鮮だ。

ひたすら足跡を追う。

谷を下りる。

沢で水を飲んだ形跡。

ここからどこへ向かったのだろう、しばし考える。

と、「ピー」と鳴かれた。

沢向こうに鹿がいた。

射程距離内だ。

だが、鹿はすぐに逃げた。

くそ、すぐ近くにいたのに、また向こうから気づかれた。

その後の追った。

足跡は確実に追える。

別の沢まで来た。

沢に出ると足跡を見失う。

すると、またしても「ピー」。

鹿は逃げた。

近いはずだが、目には見えない。

やはり相手の方が上手だ。

悔しくはない。

初鹿だ。鹿を追って、見て、鳴かれた。

心地よい汗もかいて、清々しい気分。

これが朝ならもっと遭遇できるのだ。

酒のせい、というよりは安易に酒を飲んでしまう己の精神力の弱さを恥じる。

今年の抱負は酒を断って鹿。

酒より鹿だ。


帰り道、国道脇で鮮血。

新雪に血の色が生々しい。

きっと誰かが撃ったのだ。

位置から見て、路上発砲、かつ車上発砲だろう。

堂々とやるということはまだ暗いうちか?

おそらく時間外発砲なのだろう。

国道沿いを鹿がうろつくのは夜明け前だ。

ああ、鹿を撃ったのだな。

違反までして撃ちたくはないが、どうしても心がうずく。

僕も撃ちたい。

獲るまで酒やめてみようかな。

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