全部はこっから②
「失礼ですが…」
次々と若いのやジジババと出入りする小洒落たビル。
そのガラスには目の前で立ち尽くす俺の姿があった。
ちなみに声をかけてきたのはビルから飛び出してきた偉そうなやつ。
「なんだよ?」
長いこと愛用のシャツとデニムを着こなす俺と店から出てきたタキシード。
「ええ、なんというか、店の…お客様に…」
「迷惑ですので」
俺をなんだと思って見てんだ?
「俺は世捨て人じゃねーぞ、それにちゃんとここに用があって…」
「とっとと」
「ご理解、いただき、失せろ」
…都会育ちだなこいつ。
まぁ、俺は反戦主義者なんだ。
声は荒げずその場を離れる。
「そんでもって貰った手紙にゃ、あのビルの写真が挟んである」
「渡し人は受け取った人間が差別されることを想定しとくべきだな」
「こっからどうすりゃ…」
「俺もだ」
誰だ?
背後から出てきたのはカボチャ野郎だった。
「は?」
気分が悪いのにこれだ。すると次に野郎は。
「あの建物、なに売ってると思う?チョコレートだ」
「…チョコレート?」
もしかして『ダメ』な奴なんじゃない?
でも俺は知らない人にも気さくに接するんだ。
カボチャ君は話を続ける。
「なんのこった分からんがとにかく奴らがお高く止まってるのは客から目一杯銭をぶん取るためだ
」
「すると客はここはなんだか良さそうってな、なんてことない、ひと欠片の菓子が多少高くても無理くり理解して買っちまう」
長いことピーチクパーチクよく話す奴だな。
でもそろそろ流石に気になるから聞かせてくれって。
「そりゃ結構、おたくは誰だ?」
「俺もその手紙を貰ったんだ、仲間だよ」
そいつは俺の手紙と全く同じものを見せてきた。