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プロローグ

 時は西暦2968年。

 人が宇宙に進出するようになって幾年もの年月が経った。

 幾度となく行われた宇宙戦争によりスノーボールアースまたの名を完全凍結を味わった地球から動植物はほぼ死滅していた。


 数年の後、人々はようやく自らの過ちを悔い、死の星となった地球を緑溢れる昔の地球に戻そうと努力を始めた。

 二十年をかけ、ようやく人の住める環境にまで回復した地球だったが、人以外の動植物は二千年代とは全く別種のものとなっていた。


 文献でしか見ることのできない犬。

 はるか昔に存在したとされる猫。

 伝説に語り継がれる恐竜。神話のペガサス。

 それらは全てこの時代を生きる者には想像上でしか存在し得ない生物と化していた。


 そうして、一人の科学者が立ち上がる。

 彼の名はレイル・ディック。

 化石に残る遺伝子を人の遺伝子と合成することにより生成される合成体から、昔いた生物たちを現代環境に適応した状態で蘇そうとする計画、シンキングセル計画。


 理論は簡単だった。生成した合成体に子を産ませる。

 それは半分は人として生まれるかもしれないが、もう半分は、素体となった遺伝子の動植物として生まれてくるはず。

 この無茶な理論を提唱し、地球保護連邦政府から研究費をふんだくった彼は、数年後、遂に一体目の合成体を作り出すことに成功した。


 やがて幾多の合成体を作り出した彼だったが、合成体には欠陥があった。

 そのうちの一つ、彼らが子を生むのは、合成体同士のみということ。

 人と交わっても、その他の動物と交わっても子は生まれないばかりか、毒にすらなり、合成体№003から006までのシンキングセルは皆腹上死。以降は男性体が出来上がるまで保護観察となる。


 そして、致命的な欠陥。それが……女性型しか生まれてこないということだった……

 彼の研究は頓挫した。失意にくれるレイル。だが、奇跡は起こった。

 彼の最大の友人と引き換えに……それが№444。唯一の男性体フオウ・ワウン。

 狂喜乱舞したレイルは即座に彼と女性体との交配を行った。

 しかし……

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