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12月11日 アルフレッド・ド・ミュッセ生誕
薄氷の下に凍えし黒革の手袋誰にも顧みられず
少年の額にかかる前髪に月光映える授業の最中も
夏過ぎて百合の花弁は縻爛せし如く滲みし褐色の咎
紫陽花の生き長らえて冬景色明日また明日死ねぬ烏も
我が祖母は養老院の片隅に居眠る如く息絶えつつあり
故郷の訛り聞けども我が祖国滅びて久し敗戦記念日
碧空を絶えて見ざれば清々し仔猫が雪に垂れし喀血
蔑みの冷笑誰が赦される 無謬なる人数多居れども
秋蝉を蔑みつつも片時も裾はなさざる不死の少年
桃色に鶏胸肉は腐敗せり 白きトレイの冷ややかな中
鏡中の虚像煙を吐きいたり我に似る我こそが我が敵
不協和音奏でし果てに青年の膝黒黒と積年の痣
流産の子死してまた死ぬ母親の抉られし如きその痩けたる頬
氷中に蠢く分厚き金時計 時また刻む夢幻の涯に
燕尾服裾刈り取れば盲なる乞食の如き 円舞曲の果てには