表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/25

第4話:今さら、どの口が言っているのですか?

 私が帝国の管制塔で采配を振るい始めてから、わずか一週間。

 帝国の街並みは、私の魔力配分によってかつてない輝きを放っていた。魔導列車の速度は二倍になり、街灯は優しく夜を照らす。


「素晴らしい……リリア。君が来てから、帝国の魔力効率は三〇%も向上した。もはや君なしの生活など考えられんよ」


 執務室でエリオット陛下が、私の腰を引き寄せ、耳元で囁く。陛下の独占欲は日に日に増しているようだった。

 そんな幸福な空気を切り裂くように、侍従が困惑した顔で入室してきた。


「陛下、旧王国の特使が……門前で泣き叫びながら、リリア様への謁見を求めております」

「……旧王国の?」


 エリオット陛下の目が一瞬で氷のように冷え切る。

 城門前には、ボロボロの正装に身を包んだバドルフ次長と、数人の役人が地面に這いつくばっていた。かつての傲慢さは微塵もない。


「リリア様! ああ、リリア様! どうか、どうか戻ってきてください!」


 私を見つけるなり、バドルフが縋り付こうとして騎士に組み伏せられる。


「王都はもう限界です! 魔導具は全滅、国民は暴動を起こし、国王陛下からは『リリアを連れ戻さねば処刑だ』と言われているのです! あれは誤解だった! 君こそが真の功労者だ!」


 私は、陛下の腕に守られながら、冷めた目で彼らを見下ろした。


「バドルフ次長。私は『座っているだけの無能』だったはずですよね? エミリーさんという素晴らしい後任もいたはずです」

「あ、あの女は、何もわかっていなかった! ただ適当にレバーを動かして、回路を全部焼き切りおったんだ! 頼む、リリア! 今すぐ戻って……」

「お黙りなさい」


 私の代わりに、エリオット陛下が地を這うような声で断じた。


「私のリリアを、あんなゴミ捨て場のような国に戻すとでも? 失せろ。次、我が国の領土に足を踏み入れれば、宣戦布告と見なす」

「ひっ、ひぃぃぃ!」


 バドルフたちは騎士によって引きずられていく。

 彼らが去った後、私は陛下を見上げて微笑んだ。


「陛下、私、もうあの国に未練はありません。ここで陛下と一緒に、新しい未来を作りたいんです」

「ああ、リリア。君の望むすべてを叶えよう」


 王国では「暗闇」が支配し、帝国では「光」が溢れる。

 それは、たった一人の女性をどう扱ったかの、残酷な結果だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ