第12話:陛下の逆鱗、リリアの裁き
「……私のリリアに、刃を向けた報いだ」
暗殺未遂事件の翌朝、エリオット陛下の怒りは頂点に達していた。
旧王国の亡命貴族たちが潜伏していた隣国の小都市。そこへ、浮遊王都から巨大な魔導投射陣が向けられる。
「陛下、私にやらせてください。彼らには、私が『何を管理していたのか』を、その身で理解させる必要があります」
私は陛下の隣に立ち、空中に巨大な魔導回路を展開した。
かつて王都の平和を維持するために使っていた「精密配分」を、今回は「一点集中」へと切り替える。
「目標、旧王国の残党が占拠する地下アジト。……過負荷を開始します」
私が指先をスナップさせた瞬間。
数百キロ離れたアジト内の魔導灯、通信機、果ては潜伏者が持っていた護身用の魔導具までが、一斉に真っ白な光を放った。
「な、なんだ!? 魔導具が熱い、ぎゃあああ!」
爆発ではない。
私が送り込んだ膨大な魔力によって、彼らの持ち物がすべて「超高温の鉄塊」へと変わったのだ。
武器を捨て、逃げ惑う残党たち。そこへ、陛下の命を受けた帝国騎士団が突入し、首謀者たちは一人残らず捕縛された。
数日後。帝国の広場で、バドルフ次長を含む首謀者たちの公開裁判が行われた。
「リリア! 頼む、慈悲を! 私たちはただ、かつての栄光を取り戻したかっただけなんだ!」
鎖に繋がれたバドルフが、見苦しく叫ぶ。
「栄光? 私という『心臓』を自ら切り捨てておきながら、どの口がそれを言うのですか」
私は、陛下の隣で冷然と言い放った。
「あなたたちが捨てたのは、ただの配分官ではありません。——この国の、そして私の未来です。それを踏みにじった罪、一生をかけて贖っていただきます」
バドルフたちの資産はすべて没収され、彼らは魔力の一切届かない「魔導禁止区域」の鉱山へと送られた。
魔導具に頼り切り、私をコキ使っていた彼らにとって、魔法のない過酷な労働は死よりも辛い罰になるだろう。
こうして、リリアを脅かす影は、この世から完全に一掃された。
「……これでようやく、邪魔者は消えたな」
陛下は私の手を取り、帝国の民が見守る中で、熱い抱擁を交わした。
「さあ、リリア。今度こそ、誰にも邪魔されない最高の結婚式を始めよう」




