表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】Vtuberの俺たちは他人同士になったけど、兄妹設定はやめられない。元義妹が今もお兄ちゃんと呼んでくれる件。  作者: 羽黒楓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/47

第19話 粘膜の立てる汚らしい音

 サプライズにしよう、と舞亜瑠(まある)は思った。

 明日学校に来てストレートパーマになっていたら、きっと小南江(さなえ)ちゃんもびっくりするだろう。

 お兄ちゃんは?

 いままでずっとこの天然パーマだったからなあ。

 うふふ、楽しみ!

 そんなわけで舞亜瑠(まある)は、詳しい事情も話さず、小南江(さなえ)に今日の放課後はでかける、とだけ武士郎にRINEをしてもらった。


「マルちゃん、どこか行くの?」

「えへへへ、秘密―! 明日ね!」


 不思議そうに顔を傾げる小南江(さなえ)をおいて、舞亜瑠(まある)は小島美幸とともに美容室へと向かった。

 学校から電車で四駅、そこからちょっと歩いたところらしい。


「小島さんのお姉さんっていくつ?」

「えっと、あのね、今二十歳くらい……かな?」


 美幸の返答の歯切れは悪い。

 見覚えのあるゴマラーメンの店の前を通り、さらに住宅街へと進む。


「ふーん、こういうところに美容室あるんだねー」

「あの、笠原さん……」

「ん、なに……?」

「あのね、あの、やっぱり、やめにしない? 笠原さん、今のままの髪でいいよ……」

「あはは、ここまで来てそれ言うー? もー私はその気になってるんだから! お姉さんの勤めている美容室ってどこなの?」

「…………ごめんね、笠原さん……。私も、いろいろあってさ……」

「ん? なにが?」

「ここなんだけど」


 案内されたのはコンクリート製のちょっとした建物。

 建物の名前が書いてあるらしき看板にはなぜか毛布が掛けられている。

 察しの悪い舞亜瑠(まある)はまだ、


「ふーん? こういうところにあるんだ?」


 とか言っている。

 美幸は舞亜瑠(まある)の手首を持つと、


「ごめんね、こっちなの、本当にごめん……」


  そういいながら建物の中へと舞亜瑠(まある)を引き入れた。


     ★


「あの……これは……?」


 舞亜瑠(まある)は部屋の中で立ちすくんでいた。

 二段ベッドが二つの四人部屋、男たちがニヤニヤしながらタバコ(?)のようなものを吸っている。

 甘くて青臭い臭いが部屋の中に充満している。

 それが大麻の臭いだなんて、舞亜瑠(まある)はもちろん知らない。


「いやー美幸、お前よくやったよ、こいつ、一年で一番かわいいからな。超楽しみ」


 男の一人が言った。

 こいつ、サッカー部のなんとかって先輩だ、顔だけは見たことある。


「あの、小島さん、これって、なに……?」


 青ざめた顔で聞く舞亜瑠(まある)、美幸はなにも答えずにうつむいている。


「おい、さっそくやろうぜ」

「だめだよ、こいつ、里香と宗助が来てからじゃないと。カメラで撮影しながら輪姦()わすんだろ? 里香と宗助がくるのを待たないとハッパもらえなくなるぞ」

「あー、ハッパかー。じゃあしゃあないな、待つか。よし、美幸、お前でとりあえず抜くわ。脱げよ」


 言われた美幸は、うつむいたまま黙ってセーラー服を脱ぎ始める。


「え? なに? なんなの? 小島さん、これって、え? うそでしょ? うそでしょ?」

「ごめんね、笠原さん……。私も、ハッパの代金払えなくて……その代わりにこうするしかなかったの……」

「ちょ、ちょっと冗談だよね、やめて……やめて……ちょ、ちょっと……」


 美幸は下着姿になると、ベッドに横になっている男子部員のところに行く。

 そして、舞亜瑠(まある)の目の間で、その身体を男子の前に差し出した。


 なにこれなにこれなにこれ現実?

 夢じゃないの?


 舞亜瑠(まある)の目からぶわっと涙があふれ出てくる。

 足に力が入らなくなってその場でうずくまった。

 意味わからない、騙されてここに連れてこられたってこと、なんで?

 この人たちサッカー部?

 ここ、もしかしたらサッカー部の寮?

 私、私……。

 逃げようにもドアの前にも男子がいて逃げられない。


「声上げたら腹ぶん殴るからな」


 そんなこと言われなくても、もう恐怖で声も上げられない。

 なんで、なんで、こんなこと……?

  聞こえてくる美幸の声、そして粘膜の立てる汚らしい音を聞きたくなくて、舞亜瑠(まある)は耳をふさいでぎゅっと目をつぶった。


 私も、やられちゃうの?

 うそでしょ?

 うそでしょ?

 うそでしょ?


 ――お兄ちゃん!!


 助けて!

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ