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3腐活目♡推しが辛い時に腐女子は何をすべきでしょうか?

パーソル伯爵夫婦の葬儀が行われてから一週間がたった日…


クライシス侯爵邸は朝から使用人達がバタついていた。


そんな中アンジェリカは部屋のベッドの上で1人仰向けに横たわっていた。


(原作の内容とは少し違うけどやっぱりロビンの両親が亡くなっちゃった。やっぱり前世で流行ってた転生系の小説によくある原作に逆らって〜みたいな感じでロビンの両親を助ける事はできなかったな。本当なら今の時期まだロビンの両親は生きてたもんね。原作だとロビンの両親が亡くなる事故はルエービ学園の夏休みが終わる少し前でロビンがクライシス侯爵家へ養子としてやってきたのもその頃だったもんね)


アンジェリカは1人天井を見つめながらそんな事を考えていた。


(だけど事故が起きた時期が原作より早いせいかロビンがうちに養子としてくる日まで早まってんじゃないの。ルエービ学園の夏休みは終わるどころか始まったばかりって言ったほうが正しいくらいの時期だっていうのに)


アンジェリカは更にそんな事を考えていた。


(私のこの部屋以外はみーんなバタバタもバタバタだよね。そりぁ侯爵家に子供が1人増えるんだから当たり前か)


アンジェリカは更にそんな事を考えていた。


(いよいよロビンがクライシス侯爵家に養子に入るのか。原作のアンジェリカはそれはもう極悪って言葉が似合いすぎるくらいの酷い仕打ちを初っ端からロビンにしてたよね)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(まぁ今のアンジェリカは私だからロビンに酷いことなんて一切シないしするつもりもなければむしろロビンが養子としてきてくれるなんて大歓迎も大歓迎でウハウハだし、フィルナンデスの恋を全力で拝んで応援するつもりではいるわけだし)


アンジェリカはニヤつきながらそんな事を考えていた。


「だけどあの葬儀の日、ロビンとフィルナンデスW主人公の2人が並ぶ腐女子にとっては最高の場面だったのに何故かウハウハ悶々する訳でもなくむしろ心が凄く痛んだ。漫画ではロビンの両親の葬儀の場面はざっくりしか描写されてなかったけどあそこまで目が虚ろで今にも消えてしまうんじゃないかって表情はしてなかった気がする」


アンジェリカは複雑な表情で呟いた。


「大好きなうれかじ18の主人公の1人と一緒に暮らせて本来はウハウハなはずだけどロビンのあの表情が忘れられないままこの日を迎えてしまったよ。この屋敷で少しでも両親の死のショックが和らいだからいいんだけどね」


アンジェリカは更に呟いた。


その時…


コンコンッ


「アンジェリカお嬢様。ご当主様と奥さまがお戻りになられました。ご当主様の執務室までアンジェリカお嬢様をお連れしろのことです」


執事のミゲルフと共にバタバタしていたレベッカがやってきて言った。


「分かったわ」


アンジェリカはそう言うとガバッと体を起こしてベッドからおりると部屋の扉へ向かった。


ガチャ…


「行きましょう」


アンジェリカがレベッカへ言った。


「はい」


レベッカは頷きながら言った。


(今日のアンジェリカお嬢様も変わらず綺麗だわ。今日やってくる養子になるパーソル伯爵の息子に会うために少々着飾ってるいる事は気に食わないけどね)


レベッカはにこりと微笑みながらアンジェリカを見てそんな事を考えていた。


(レベッカが今に何を考えてるのか手に取るようにわかるわ。こんな時でもレベッカはブレないよね)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


そして、アンジェリカはレベッカと共にデビッドの執務室へと向かった。



アンジェリカとレベッカがデビッドの執務室へ到着すると部屋の前にミゲルフが立っていた。


「ミゲルフご苦労さま」


アンジェリカが微笑みながら言った。


「お気遣いありがとうございます」


ミゲルフは満足気に言った。


(今日のアンジェリカお嬢様も完璧てらっしゃる)


ミゲルフはそんな事を考えていた。


(ミゲルフもブレないね)


アンジェリカはミゲルフの表情を見てそんな事を考えていた。


コンコンッ…


「旦那様、アンジェリカお嬢様がお見えになりました」


ミゲルフが部屋の扉を叩くと中へ向かって言った。


「そうか。入ってくれ」


中からデビッドが言った。


「アンジェリカお嬢様どうぞ」


ミゲルフはそう言うと部屋の扉を開けて言った。


「ありがとう」


アンジェリカは微笑みながら言った。


「失礼します」


そして、アンジェリカはそう言うと部屋の中へと入っていった。


ミゲルフとレベッカは部屋の外で待機していた。


「アンジェリカ、こちらへ座りなさい」


デビッドは自分とメアリーの間を指差しながら言った。


「はい」


アンジェリカは頷きながら言った。


そしてアンジェリカはデビッドとメアリーの間に座った。


「アンジェリカ、君を呼んだのは私達から大切な話があるんだ」


デビッドが少し複雑な表情で言った。


メアリーも複雑な表情を浮かべていた。


(ロビンを養子として連れてきた事ね。お父様とお母様がこんな顔をするのは私に気を使ってるのかな。原作だと友達であるパーソル伯爵の息子&有能なロビンをすぐに気に入ってロビンに目をかけまくりだったのにね。でも心配しなくても私はロビンが養子になるのは大歓迎だしロビンに目をかけてあげる事も大歓迎で文句なしですよ。むしろ目をかける事に私も全力で力を貸すわ)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「大切なお話ですか?なんですか?私は大丈夫ですからお話ください」


アンジェリカはそっとデビッドの手を握って優しく微笑みながら言った。


(あぁ、、アンジェリカ。私の愛する娘はどこまで優しいのだ。私を気遣っているのだな)


デビッドは内心感極まりそんな事を考えていた。


(そんな愛しの娘にこんな話をする事になるとは)


デビッドはそんな事を考えていた。


「目の前にいる彼は先日亡くなった私とメアリーの幼馴染でもあるパーソル伯爵夫婦の御子息でロビン・パーソルだ。ロビンの父であるジョーディーと生前約束していた事があってその約束とはお互いに何かあった時はお互いの子供をよろしく頼むという事だったのだ。そして今回ジョーディー達が亡くなった事で残された息子のロビンを我がクライシス侯爵家に養子として迎い入れる事にしたのだ」


デビッドは複雑な表情で言った。


(ロビンを引き取った理由はただ単に友達の子供だからってだけじゃなくてロビンのお父さんとそういう約束をしてたんだね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「それではそちらのパーソル伯爵令息様が私の兄になるということでしょうか?」


アンジェリカは冷静に言った。


「そういう事になるな」


デビッドは困り笑みを浮かべて言った。


「そうですか」


アンジェリカが言った。


(大歓迎です)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「アンジェリカに何の相談もなく私とメアリーで話を進めてしまいすまない。急に養子など兄など言われても困るよな」


デビッドは戸惑いつつ言った。


(これまで会ったこともないに等しい奴が急に兄になると言われてもアンジェリカは辛いよな)


デビッドはそんな事を考えていた。


「いえ。そんな事はありませんよ。私は一人っ子で兄弟がいませんでしたのでお兄様が出来るなら嬉しい限りです」


アンジェリカはニコリと微笑み言った。


「アンジェリカ」


「アンジェリカ」


デビッドとメアリーがうるっとした表情で言った。


(いやそんなうるっとくる場面でもないでしょうに。まぁ確かに原作のアンジェリカはロビンを紹介された時点でロビンに良い印象は持たずほぼ無視してた感じだったけど今の私ならそんな事しない訳だし感動もへったくれもないっていうのに)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「パーソル伯爵様方の葬儀に参列させて頂いたので初めまして、、ではありませんがあの日はご挨拶もきちんと出来ませんでしたので改めてご挨拶させて頂きます。クライシス侯爵家の長女でアンジェリカ・クライシスと申します。これから一緒に暮らすことになりますのでよろしくお願い致します」


アンジェリカはその場で立ち上がるとロビンの方を向いてニコリと微笑みながら言った。


「、、ロビン・パーソルです。本日からパーソルではなくロビン・クライシスになりますのでどうぞよろしくお願いします」


ロビンはスーっと立ち上がり特にアンジェリカを見ることなく言った。

そして軽く挨拶をするとすぐに座った。


(あっ)


アンジェリカはロビンを見て思わず表情を強張らせた。


(ロビン。あの日と同じく目が虚ろで葬儀の日よりも随分痩せた気がする。きちんと食事を摂ってないんだね)


アンジェリカはロビンの姿を見て胸を痛めながらそんな事を考えていた。


(ロビンというキャラは元々冷静で寡黙なクール系男子だけど今のロビンはクールというより何な抜け殻みたいだ。両親の死のショックが相当大きいみたいだけど大丈夫なのかな)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「あの、お父様ご令息を我が家の使用人達に紹介するのは少し後にして少しご令息を部屋で休ませてさしげてはどうですか?ここまで来るまでに疲れたでしょうし」


アンジェリカが心配気に言った。


「そうだな。屋敷の人間達への紹介は夕食前にしてもいいだろうしそれまで部屋で休んだ方がいいな」


デビッドはロビンをちらりと見て言った。


「そうね。ミゲルフに部屋まで案内させるわ」


メアリーもロビンをちらりと見て言った。


「ミゲルフそこにいるか?」


デビッドが部屋の外へ向かって言った。


「はい」


ミゲルフが部屋の外から言った。


「すまないがロビンを先に部屋へ案内してやってくれ」


デビッドが言った。


「かしこまりました」


ミゲルフがそう言うと部屋へ入ってきてロビンの元までやってきた。


「ロビン。夕食前になるまで部屋でゆっくり休むといい」


デビッドは複雑な表情で言った。


「分かりました」


ロビンは下を向いたまま小さく頷き言った。


「では、こちらへ」


ミゲルフがそう言うとロビンがたちが上がりミゲルフについて執務室を後にした。



「アンジェリカ怒っているか?」


ロビンが部屋を出て行くとデビッドが不安気な表情で言った。


「どうして怒るのですか?」


アンジェリカは困り笑みを浮かべて言った。


「アンジェリカに一言も伝えずロビンを連れてきただろう?」


デビッドが言った。


「急な事だったとはいえきちんとアンジェリカにも相談して伝えるべきだったわよね」


メアリーは申し訳なさそうな表情を浮かべて言った。


「私は少しも怒っていませんよ。お父様とお母様がパーソル伯爵様方と約束されていたのでしょう?その約束をきちんと早急に守られたお父様とお母様の行動は素晴らしいと思います」


アンジェリカは笑顔で言った。


「本当にそう思ってくれているのか?」


デビッドは不安気な表情のまま言った。


「もちろんですよ。それに先程も言いましたけど本当にお兄様ができて私は嬉しいですよ」


アンジェリカは笑顔で言った。


「アンジェリカ。君は何て心優しい子なのだ」


デビッドは目をうるうるさせながら言った。


「本当に。本当に自慢の娘だわ」


メアリーも目をうるうるさせながら言った。


「ふふ。そんな事で感動するなんて」


アンジェリカは思わず笑いながら言った。


「それよりもご令息は大丈夫なのですか?葬儀の時にも思ったのですが伯爵様方の死が相当ショックだったのでしょうね」


アンジェリカは表情を曇らせ言った。


「あぁ。私達の想像よりも遥かにショックが大きいようだな。両親を一気に亡くしてしまったのだから無理もないがな」


デビッドは悲しそうな表情を浮かべて言った。


「お父様とお母様は大丈夫なのですか?パーソル伯爵様方は幼馴染だったのですよね?」


アンジェリカは心配そうに言った。


「大丈夫、、とは正直言えないな。ジョーディーとは本当に小さな時から知っている仲だからな。ジョーディーは本当にいい奴だった。当たり前に一緒に酒を飲み剣を交えくだらない話をしていたがまさかこんな急に当たり前の事が出来なくなるとはな」


デビッドは悲しげな表情を浮かべて言った。


「デビッドとジョーディーと同じく私もマリサとは生まれた時から一緒に過ごした仲でいつもカシアと私がくだらない話しをしていてもマリサはにこにこしながら楽しそうに話を聞いていたわ。今度演劇を見に行こうという約束をしたばかりだったのにその約束が果たされる事がなくなるなんてね」


メアリーも悲しげな表情を浮かべて言った。


「お父様、お母様、、」


アンジェリカは切ない表情を浮かべて言った。


(ずっと小さい時から一緒だった幼馴染が亡くなったんだもんね。悲しくないわけないよね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「2人が居なくなった今我々に出来る事と言えば残されたロビンをあの2人に代わり立派に育てる事だからな。空の上でジョーディーとマリサが心配しない様にしてやらないとな」


デビッドは切ない笑みを浮かべて言った。


「マリサ達の為にもロビンの為にも私達に出来ることはしてあげたいと思ってるわ」


メアリーは切ない表情で言った。


「私も出来る事は協力しますから皆でご令息が少しでも前向きになれる様にしていきましょう」


アンジェリカは微笑みながら言った。


「アンジェリカ、、。あぁそうだな」


デビッドは優しく微笑み言った。


「アンジェリカがそう言ってくれて少し心が軽くなったわ。ありがとう」


メアリーは優しくアンジェリカの頭を撫でながら言った。


そんな2人を見てアンジェリカは安心したように微笑んだったのだった。


(本当にロビンが少しでも早く前向きになりフィルナンデスと幸せになれます様に)


アンジェリカはそんな事を考えていたのだった。




♡〜ω〜♡


それから夕食前にデビッドが屋敷の人々にロビンが養子としてクライシス侯爵家へやってきたと紹介した。


その後、皆揃って夕食を食べたがロビンはほとんど食事を口にしなかった。

そんなロビンをアンジェリカ達は心配そうに見ていたのだった。


その日から一週間ほど経ってもロビンは初日と変わらず最低限の挨拶以外は屋敷の人間と言葉を交わすことがなかった。

一日のほとんどを部屋で1人過ごしていたのだった。


アンジェリカは何度かロビンに歩み寄ろうとしたものの失敗ばかりだった。


(いくらご当主様と奥さまの幼馴染の息子だからってアンジェリカお嬢様が気を使って声をかけようと毎日してくれてるというのにあの態度はないわ。一度しめとかないといけないかしらね。って絶対思ってる顔してるよねレベッカ)


アンジェリカは横にいるレベッカを見て苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(まぁレベッカがそう思うのも仕方ないくらいロビンはドライだもんね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


アンジェリカはこの日こっそりとある場所へやってかたいたのだった。


ある場所とはパーソル伯爵邸だった。


(原作ではお父様がロビンの為に、ロビンがいつか養子をやめてパーソル伯爵家の当主になりたいと言う時が来るかもしれないという思いとロビンの両親の思い出が詰まった家ってことでクライシス侯爵家でパーソル伯爵邸を買い取ったんだよね。結局ロビンはフィルナンデスと国を出ていってしまったけどね)


アンジェリカはパーソル伯爵邸を見ながらそんな事を考えていた。


(その事を知ったアンジェリカはカンカンに怒ってお父様に無断でパーソル伯爵邸に押しかけて無理矢理屋敷に入って部屋を散らかしあげて怒りを発散したんだよね。なんとも言えない極悪っぷりだったわ)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


「アンジェリカお嬢様ここへは何用で来られたのですか?」


レベッカが不思議そうに言った。


「ちょっと回収したい物があってね」


アンジェリカはにこりと微笑み言った。


レベッカは??という表情を浮かべていた。


「警備お疲れ様」


アンジェリカが屋敷の問前に立っていた騎士へ言った。


「アンジェリカお嬢様。どうしてこちらへ?」


クライシス侯爵家の騎士の1人が驚いた表情で言った。


現在屋敷に人がいない為、防犯も兼ねてクライシス侯爵家の騎士達が交代で門番をしていたのだった。


「お父様に頼まれてお義兄様の荷物を私が代わりに取りに来たのよ」


アンジェリカはにこりと微笑み言った。


(嘘だけどね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「そうなのですね。分かりました。では屋敷の鍵をお開けしますね」


騎士は快く言った。


「ありがとう。助かるわ」


アンジェリカは微笑みながら言った。


そして、アンジェリカとレベッカは騎士に鍵を開けてもらい屋敷の中へと入った。


アンジェリカは悩むことなくある部屋へと向かった。


パーソル伯爵でロビンの父であるジョーディーの執務室だった。


(原作でアンジェリカが派手に屋敷を荒らしてくれたお陰でその場面が苦笑いもので印象的だったからロビンのお父さんの執務室の場所も私が回収したい物もどこにあるか分かって助かったわ)


アンジェリカは執務室へ入るとそんな事を考えていた。


そして執務室の机に飾ってあった写真立ての中から写真をそっと抜き取った。


(ロビンのお父さんが大切にしていた写真。大きさ的にも丁度いいね)


アンジェリカは写真を見て満足気にそんな事を考えていた。


「レベッカ。回収したい物は回収できたから帰りましょう」


アンジェリカは笑顔で言った。


「承知しました」


レベッカは頷きながら言った。


「帰りにレベッカの好きなお茶菓子でも買って帰ってお茶でも飲みましょう」


アンジェリカは嬉しそうに言った。


「はい」


レベッカはとても嬉しそうに言った。


(これでレベッカの機嫌も直るかな?帰ったらまたロビンに対して苛つきそうだからね)


アンジェリカはふっと困り笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


そして、アンジェリカ達はパーソル伯爵邸を後にしたのだった。



アンジェリカは帰宅後レベッカの好きなお茶菓子を並べてレベッカ、ムスカ、オルンと共にお茶を飲んでいた。


「本当にアンジェリカお嬢様の淹れて下さるお茶は美味しいです」


ムスカが満足気に言った。


「本当にどうしたらこんなに美味しい淹れ方ができるのかいつも驚かされてばかりです」


オルンがうんうんと頷きながら言った。


(それはムスカとオルンのその満足気な表情を見たいが為に決まってるよね。こうやって私が淹れたお茶を身近なBLカップルが仲睦まじしく飲む姿を拝めるんだからね。あぁ〜ここ最近はロビンの事で色々大変だったのもあってムスカとオルンののほほんとしてる姿見ると癒やされる〜)


アンジェリカは穏やかな表情でそんな事を考えていた。


「こうしてアンジェリカお嬢様の淹れたお茶が飲めるんなんて私達は本当に幸せ者です」


レベッカは満足気に嬉しそうに微笑みながら言った。


(ここ最近はあの令息のせいで苛立ってたけどアンジェリカお嬢様の淹れたくれたお茶を飲むだけでその苛立ちが嘘みたいに浄化されるていくわ)


レベッカはそんな事を考えていた。


「それでムスカにオルン。結婚式の準備は進んでるの?」


アンジェリカは興味津々な表情で言った。


「はい。予定通り進んでいます」


ムスカが嬉しそうに言った。


「アンジェリカお嬢様、本当に出席して頂けるのですか?」


オルンが言った。


「もちろんよ。私が出席しない訳がないわ。たとえ風邪を引いたって大怪我をしたって絶対に出席してみせるわ」


アンジェリカは鼻を鳴らして意気揚々と言った。


(行かない選択肢なんてないわ。目の前でBLカップルの結婚式を見れるんだし誓いのキスだってがっつりしっかり見れるんだから行かないわけがない)


アンジェリカは内心は悶々しながらそんな事を考えていた。


「2人の結婚指輪は必ず式まで間に合わせて作るから楽しみにしててね」


アンジェリカは笑顔で言った。


「ありがとうございます。まさか2人の結婚指輪をアンジェリカお嬢様直々に作って下さるなんて思いもしなかったので楽しみです」


ムスカは嬉しそうに言った。


「そうですとも。本当にありがとうございます」


オルンも嬉しそうに言った。


そんな2人を見てアンジェリカは満足気に笑顔を浮かべていたのだった。




♡〜ω〜♡


その日の夜…


アンジェリカは寝ようと思った矢先にムスカとオルンへ贈る新婚家具の新たなデザインがピーンと思い浮かび忘れないうちに形にしたいとレベッカを連れて庭の隅に作ってもらった作業小屋に来ていた。


「よし!これでいいわ」


アンジェリカはピンときたデザインを形に出来て満足気な表情で言った。


(完成まであと少しだね。この家具をラブラブなあの2人が使うってのを想像しただけでお米三杯はいけるね)


アンジェリカはニヤつきながらそんな事を考えていた。


「よし。一先ず今日はここまでにして部屋に戻りましょう。あまり遅くまで作業しているとお父様が物凄く心配した様子で押しかけてきそうだからね」


アンジェリカは苦笑いを浮かべて言った。


「レベッカ行きましょう」


アンジェリカが笑顔で言った。


「はい」


レベッカは頷きながら言った。


そして、アンジェリカはレベッカと作業小屋を後して屋敷内へ向かって歩いていた。


(ロビンはゆっくり寝れてるんだろうか。毎日少ししか顔を見ないけど目の下のクマが目立ってたよね。きっとあんまり寝られてないんだろうな)


アンジェリカは歩きながらそんな事を考えてふとロビンの部屋のバルコニーを見つめた。


その時…


ガチャ…


ロビンが窓を開けてバルコニーへ出てきた。


(ん?ロビン?まだ寝てなかったんだね。今日は少し蒸し暑いからバルコニーに出て少し涼むのかなぁ)


アンジェリカはバルコニーへ出てきたロビンを見てそんな事を考えていた。


しかし次の瞬間…


(え?!)


アンジェリカはロビンを見て驚いた表情で考えていた。


ロビンがバルコニーの柵に足をかけたからだった。


(ロビンったらまさか)


アンジェリカは物凄く嫌な予感がしてギョッとした表情そんな事を考えていた。


(どうしよう。あのままじゃロビンが)


アンジェリカはそんな事を考えながら咄嗟に慌てて周りを見渡した。


するとアンジェリカの目にちょうどこの日に入れ替えたばかりで破棄する予定の薄めのベッドマットが目に入った。


「レベッカ!あのマット私と一緒に運べる?」


アンジェリカは慌ててベッドマットを指差しながらレベッカへ言った。


「もちろんです」


レベッカは迷わず頷きながら言った。


レベッカは殺し屋だったので普通の女性より遥かに力持ちだった。


「じゃああのマットを急いであそこへ運ぶわよ」


アンジェリカはロビンの部屋のバルコニー下を指差しながら慌てて言った。


「はい」


レベッカはバルコニーに足をかけるロビンを見てすぐに状況を把握して頷きながら言った。


そして、アンジェリカとレベッカは急ぎベッドマットを抱えると全力でロビンの部屋のバルコニー下まで走った。


そしてロビンはバルコニーの柵に立ち目を瞑ると迷うことなく柵から足を一歩前に出した。


(やばい!)


アンジェリカは走りながら柵から飛び降りたロビンを見て焦りそんな事を考えていた。


「レベッカ急いで」


アンジェリカは必死に言った。


アンジェリカとレベッカは走るスピードを上げた。


(お願い間に合って)


アンジェリカは必死でそんな事を考えていた。


そして…


バターーン!!


バルコニーから飛び降りたロビンは見事にアンジェリカ達が大急ぎで運んだベッドマットのギリギリの場所へ落ちた。


「はぁ、はぁ、、ま、、間に合った」


アンジェリカは息を切らしながら安堵した表情で言った。


「レベッカ、、ありがとう」


アンジェリカは疲れ笑みを浮かべて言った。


「はい」


レベッカは頷きながら言った。


それと同時にロビンを凄い目つきで睨みつけた。


(この男、、)


レベッカは怒りをあらわにしつつそんな事を考えていた。


「何故、、余計な事をしたんだ」


ロビンが下を俯いたままボソりと呟いた。


「はい?」


アンジェリカが言った。


「何故、余計な事をしたんだと言ったんだ」


ロビンが物凄いけんまくでアンジェリカへ言った。


「お前、、アンジェリカお嬢様に何という物言いを」


そんなロビンにレベッカが怒りをあらわにしたまま言った。


「レベッカ」


するとアンジェリカは真剣な表情で首を横に振りながらレベッカへ言った。


「しかし、、」


レベッカは戸惑いつつ言った。


「余計な事をしたとは思っていません」


アンジェリカは真剣な表情でロビンへ言った。


「余計な事だ。私は死ぬつもりだったんだ!それをお前とそこの侍女が邪魔をしたのだ!」


ロビンは更に凄いけんまくで言った。


「死ぬつもりだった?あなたがそんな事をしてご両親が喜ぶとでもお思いですか?」


アンジェリカは真っ直ぐロビンを見て言った。


「お前に何がわかるというんだ」


ロビンは怒りに満ちた表情で言った。


「死にたい人の気持ちなどわかりません」


アンジェリカは更に言った。


(だけど死んだ人の気持ちなら痛いほどよくわかる。私は一回経験したんだからね。でも死にたくて死んだ訳ではないからね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「しかし、死んだら誰かが悲しむという事はわかります」


アンジェリカは真剣な表情で言った。


(私が死んでしまってきっと私の家族は沢山悲しんだはずだから)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「実際にご両親が亡くなってあなたが悲しんでいるでしょう?」


アンジェリカは更に言った。


「あなたが死んだら悲しむ人は沢山いますよね?その人達の事は考えないのですか?自分が死んで楽になれるのならそれでいいのですか?あなたが死ぬことで生きたかったご両親の気持ちはどうなるのですか?」


アンジェリカは更に言った。


「グッ、、」


アンジェリカの言葉にロビンは一瞬狼狽えながら言った。


「父上も母上ももっと当たり前に生きれるはずだったのに私のせいで死んでしまったのだ、、」


ロビンは悔しさと悲しさが入り混じる表情で言った。


「?ご両親は事故で亡くなられたので。あなのせいではないでしょう?」


アンジェリカは戸惑いつつ言った。


(うれかじ18の原作でもロビンの両親が亡くなったのは故意などではなく本当に事故だったはずだけど。なのに何でロビンのせいになるわけ?原作ではロビンは死のうともしてなかったしフィルナンデスが側で優しく慰めてむしろ両親の死をしっかり受け止めて乗り越えてたんだけどね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「いや、私のせいだ。あの日私が寄りたい店があるからと宮殿へ行く前にその店に向かっている途中で事故に遭ったんだ。もしもあの時真っ直ぐ宮殿へ向かっていたなら今も父上と母上は笑うことができていんだ」


ロビンはグッと歯を食いしばり指の爪が皮膚にのめり込みそうな程ギュッと拳を握りしめて苦渋の表情で行った。


「寄りたいお店ですか?」


アンジェリカは少し驚いた表情で言った。


(その店に行く為に宮殿に行く道とは違う道を通ったってことか)


アンジェリカはそんな事を。


「私が一度食べて美味しかったケーキを是非父上と母上にも食べてもらいたかったんだ。きっと2人共美味しいと言ってくれるだろうと思って。しかし、私のその思いのせいで2人は死んでしまったんだ」


ロビンは更に苦渋の表情で言った。


「私があの時に我儘さえ言わなければ今でも父上と母上は、、」


ロビンは更に拳を強く握りしめて言った。


(だからロビンはずっとその事を考えながらあの事故の日から過ごしてたんだね。自分のせいで両親が死んでしまったと自分で自分を責めあげて)


アンジェリカはロビンの姿を見て胸を痛めつつそんな事を考えていた。


「だから俺は自らの命を持って父上と母上に償って2人の元へいくんだ。だからこれ以上邪魔をするな」


ロビンは表情を歪めたままアンジェリカを睨みつけて言った。


(だからってそんな簡単に死のうとしたわけ?!)


アンジェリカは呆れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(いくらうれかじ18の主人公の1人で私にとっての悶々対象だとしても今目の前にいるロビンの行動はいただけないよねマジで。うれかじ18オタクが聞いて呆れる始末だよ)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


そして…


パァァァーン…


その場に大きな音が響いた。


音の先を見てロビンとレベッカは物凄く驚いた表情を浮かべていた。


音の正体は…


アンジェリカが自分で自分の頬を思いっきりひっ叩いた音だった。


「アンジェリカお嬢様!」


レベッカは赤くなったアンジェリカの頬を見て血相を変えて言った。


「何してるんだ!」


ロビンは焦り言った。


(いったぁぁぁ。本当に自分で叩いたんだけど思い切りやっちゃったよ)


アンジェリカは内心頬が痛いのを我慢しつつそんな事を考えていた。


「アンジェリカお嬢様何故この様な事をされたのですか?!頬が腫れているではありませんか」


レベッカは心配と焦りの混じった表情で言った。


「本当はご令息をひっ叩いてやりたかったのですがそういう訳にもいきませんので自分の頬を変わりに叩いたのです」


アンジェリカは冷静にロビンへ言った。


(だけどいくらロビンがげんなり発言したとはいえうれかじ18の推しの頬をひっ叩くなんて私にはやっぱり出来ないからね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「私を?!何故だ」


ロビンは驚き言った。


「あなたがあまりにも情けない事ばかり言うものですから腹が立ちまして」


アンジェリカは更に冷静に言った。


「自分の我儘で伯爵夫婦が亡くなったと嘆いていらっしゃいますが親なら子供の我儘を聞いてやりたいと思うものです。それは息子であるあなたが笑顔になる事が嬉しいからです。あなたが両親に笑顔になって欲しいと思うのと同じくらい伯爵夫婦もそう思っていたことでしょう」


アンジェリカは続けて言った。


「そんな伯爵夫婦が自分のせいで両親が死んでしまったと嘆いて自分の命を粗末にしようとしているあなたを見て喜ぶとでも?喜ぶ訳がありません。むしろ自分の息子は何て愚かな事をしたのだろうと思うでしょう。あなたの事を大切に思っていた伯爵夫婦なら間違いなく自分を責める事なく前を向いて強く生きていってほしいと願うはずです」


アンジェリカは更に続けた。


「だが私のせいで父上達が死んでしまった事に変わりはないのだ。死んだ人間は生き返らないんだ」


ロビンはアンジェリカを睨みながら苦渋の表情で言った。


(別にあの日に行きたい店があるなど言う必要などなかったんだ。あの日に店に寄りたいなど言わなければ今頃家族皆で私がオススメするスイーツを笑顔で食べれていたかもしれないんだ)


ロビンはそんな事を考えていた。


「そうですね。死んだ人間は生き返りません。ですが残された人間の時間は毎日動いているのです」


アンジェリカはロビンに睨まれても怯む事なく冷静に言った。


(この世界に生き返る事は無理でも私みたいに別の世界に転生して新たな生を授かる事はあるかもしれないけどね。前世の世界で私が死んでしまってもお父さんやお母さん、きよしの時間は止まらず動いてるのと一緒でロビンの時間も止まることなく動いてくんだもん)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「今のあなたは自分のせいで両親が死んだと理由をつけて命を投げ出して楽になろうとしているだけです。本当に伯爵夫婦の事を思うのであれば死ぬ選択より生きていく選択をするはずですから」


アンジェリカはズバッと言った。


「だが私は」


ロビンが何か言おうとしたその時だった…


アンジェリカの後ろが小さく光り出した。

その光の中にパーソル伯爵夫婦がいた。


(父上?母上?)


ロビンは一瞬自分の目を疑いながら光の方を見てそんな事を考えていた。


『我が息子よ、、』


『愛しのロビン、、』


ジョーディーとマリサが光の中から優しい表情を浮かべてロビンへ言った。


(父上!母上!)


ロビンは2人の姿がはっきり見えてそんな事を考えていた。


(父上、母上、私のせいで、、私のせいで2人を死なせてしまってすいません、、)


ロビンは苦渋の表情でそんな事を考えていた。


『ロビン、我々が死んだのはお前のせいではない』


『そうよ。決してあなたのせいではないのよ』


ジョーディーとマリサは優しい表情で言った。


(しかし、私があの時に行きたい店があるなど言わず宮殿へ直行していたら事故に巻き込まれる事はなかったのです)


ロビンは悔しそうな表情でそんな事を考えていた。


『あの日、ロビンが寄りたい店があると言われた時私もマリサもとても嬉しかったんだ。だから店に寄ろうとしていた事もその途中に事故に遭い命を落とした事も決してロビンのせいではないのさ』


『そうよ。幼い頃からほとんど我儘を言わなかったロビンが嬉しそうに寄りたい店があると言ってくれた時はどれほど嬉しかったことか。残念ながら命を落としてしまったけれど最後に愛しい我が子の我儘を聞けた事は幸せだったわ』


ジョーディーとマリサは優しい表情のまま言った。


『だからこれ以上ロビンが自分を責める必要などないのだ。人の寿命は生まれた時から決まっていると良く言ったものだ。私達の寿命はあの日で尽きると運命は決まってたのだ。だからロビンのせいではないのだ』


『ロビン、あなたはこれから自分を責めるのではなく私達の分まで長く楽しく幸せな時間を過ごして欲しいの。近くでそんなあなたを見守る事ができないのが残念だけれど私もジョーディーもいつも空の上からあなたを見守っている事を忘れてないで欲しいの』


ジョーディーとマリサは更に優しい表情で言った。


『ロビンの周りには皇太子殿下をはじめ沢山ロビンを大切にしてくれている人がたくさんいるだろう?その人達がきっとロビンを支えてくれるだろう。だから前向いて生きてくれ』


『そして、いつかロビンにも心から大切だと思える人もきっと出会えるわ。そうやって愛しい我が子の成長を私達に見せ続けてくれると嬉しいわ』


ジョーディーとマリサが優しく微笑みながら言った。


そして、光がロビンに近づいてきて光の中のジョーディーとマリサが優しくロビンを抱きしめた。


『ロビン。我が息子よ。いつまでも愛している』


『愛しいの息子ロビン。いつまでも愛しているわ』


ジョーディーとマリサが笑顔で言った。


そして、ロビンの目から涙が溢れ出した。


(わぁわぁぁ)


アンジェリカは急に黙り込んたと思ったら急に涙するロビンを見て慌ててそんな事を考えていた。


「ど、どうされたのですか?!」


アンジェリカは慌ててロビンに近寄り言った。


(さすがに言い過ぎた?さっきの私って極悪アンジェリカっぽさか出てた?!オーマイガ!主人公の1人を泣かせてしまうなんてうれかじ18オタク失格じゃん)


アンジェリカは内心は大慌てでそんな事を考えていた。


「私は生きててもいいのだろうか」


ロビンが涙を流しながら顔をあげて呟いた。


(何だ、、そういう涙なわけね)


アンジェリカはロビンの言葉を聞いてどこかホッとした表情でそんな事を考えていた。


「当たり前じゃないですか」


アンジェリカは満面の笑みを浮かべて言った。


ロビンはアンジェリカの表情を見て言葉を聞いて一瞬目を見開いて驚いた表情を浮かべた。


満面の笑みを浮かべるアンジェリカに後ろでジョーディーとマリサがまるでアンジェリカの言葉に同感する様に優しく微笑み頷いていた。


そして、ジョーディーとマリサは段々と遠ざかっていき光の中へ消えて行くと光も共に消えたのだった。


(父上、母上。私は父上と母上の息子として恥ずかしくない様これからは前を向いてしっかり人生を歩んでいきます。心配かけて申し訳ありませんでした。これからは父上と母上に心配をかけないようにしますので空の上から見守っていて下さい)


ロビンは消えた光の先を見つめながら決意した様な表情でそんな事を考えていた。


そしてロビンはその後も涙が止まらなかった。


(葬儀の日から今日までロビンが一度も涙を流してないとは思ってたけど今日までずっと両親は自分のせいで死んでしまったと自分を責め続けていたから泣くことすら許されないと思ってたんだろうね。今になってその緊張の糸が切れたんだろうね)


アンジェリカは涙が溢れて止まらないロビンを見て切ない表情でそんな事を考えていた。


そして…


ポンポン…


アンジェリカは泣くロビンの背中を優しく優しく撫でた。

何も言わずただ優しく撫でたのだった。


(ロビン。泣きたいだけ泣くといいわ。今はまだ辛さの方が大きいかもしれないけどあなたにはこの先幸せしか持ってないから大丈夫。フィルナンデスという大切な愛する人と共に2人は幸せになるのんだから)


アンジェリカはロビンの背中を撫でながらそんな事を考えていた。


その時…


「アンジェリカ!」


「アンジェリカ!」


アンジェリカのいる場所へ走ってきたデビッドとメアリーが血相を変えて言った。


「え?!お父様?お母様?」


アンジェリカは驚き言った。


「アンジェリカ、先程外から大きな音が聞こえたのだが何があったのだ?!」


デビッドは慌てた様子で言った。


「まさか侵入者でも現れたの?!」


メアリーも慌てた様子で言った。


「あ、いえ、侵入者など入ってきていません」


アンジェリカは気まずそうな表情で言った。


(あぁ〜その音は私が自分で思い切り自分のほっぺをぶっ叩いた音ですよぉ)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(まさかお父様達の元まで聞こえてたなんてね。どんだけ2人とも地獄耳なのよ)


アンジェリカは更にそんな事を考えていた。


「レベッカ。状況報告を」


デビッドレベッカへ言った。


「御意」


レベッカは頷きながら言うと直ぐ様デビッドとメアリーに状況説明をした。


「なんだと?!」


「なんですって?!それは本当なの?」


レベッカの話を聞いたデビッドとメアリーは慌てた表情から一変鬼の面相になり言った。


(あぁ〜これは面倒なことになりそうな予感しかしないんだけど?)


アンジェリカはギョッとした表情でそんな事を考えていた。


「はい」


レベッカは頷きながら言った。


(レベッカ。そこは正直に言わないで欲しかったよ)


アンジェリカは内心頭を抱えつつそんな事を考えていた。


そして、デビッドとメアリーはアンジェリカの頬を見た。

頬を見た2人は怒りと心配の混じる表情を浮かべていた。


(アンジェリカの頬があんなにも腫れている。痛かったろうに。アンジェリカが自分で自分の頬を叩いたとはいえその原因を作ったのはロビンだ。ロビンめ、、許さないぞ)


(私の可愛い娘の頬になんてことを、、。マリサの息子だろうとアンジェリカを傷つけるのならば許さないわ)


(いっその事アンジェリカお嬢様はあの令息を思いきり殴れば良かったものを。いや、、私が代わりに殴ればよかったのか)



(って考えてるのが3人とも手に取るようにわかるんだけど?このままだと確実にロビンの立場が悪くなるよね。いくら今後お父様達がロビンを可愛がるとしてもだよね)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


「お父様、お母様少しいいですか?」


アンジェリカが鬼の面相のデビッドとメアリーへ優しく言った。


そして、アンジェリカはロビンの背中から手を離しデビッドとメアリーの元まで言った。


「アンジェリカ頬を見せてみなさい」


「あぁ、こんなに腫れてしまって。痛いでしょう?」


デビッドとメアリーは自分達の元にきたアンジェリカの頬を見て優しく頬に触れて心配そうに言った。


「大丈夫です。冷やせばすぐに腫れも引くでしょうから」


アンジェリカは微笑みながら言った。


(まぁ本当は割と痛くてジンジンするんだけどそんな事言ったらどうなるか想像しただけでカオス案件だもんね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「それで先にご令息を部屋にお連れしてあげたいのですかよろしいですか?」


アンジェリカがチラっとロビンを見ながら言った。


「、、、あぁ」


デビッドはロビンをじっと見た後に嫌々頷きながら言った。


(そんなあからさまに嫌な顔しなくても)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「ありがとうございます。レベッカ、ご令息を部屋まで送って差し上げてくれる?」


アンジェリカは微笑みながらレベッカへ言った。


「、、はい。分かりました」


レベッカは一瞬間を空けてからあかさらに嫌そうな表情で頷きながら言った。


(レベッカ。あなたもなわけね。逆にそれほど堂々と嫌な顔をできるのが凄いよ)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


「ありがとう。レベッカになら安心して任せられるから助かるわ。よらしくね」


アンジェリカは優しく微笑みながら言った。


「はい。お任せ下さい」


レベッカは先程とはうって変わり満足気な表情で言った。


(わかりやすっ!)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「こちらへどうぞ」


レベッカが座り込むロビンへ言った。


「あぁ」


ロビンはそう言うとゆっくり立ち上がりベッドマットからおりるとアンジェリカ達に小さく一礼をした。


そして、ロビンはレベッカに連れられてその場を後にしたのだった。


(ロビンの方はこれでオッケーだね。後はお父様とお母様だね)


アンジェリカはホッとした表情でそんな事を考えていた。


「お父様、お母様。先程レベッカから事の事情はお聞きになったと思いますがあくまで私自身が勝手に考えて自分で自分の頬を叩いたのですからね?」


アンジェリカは真剣な表情で言った。


「しかし、本当はロビンを引っ叩いてやりたかったのだろう?」


デビッドが不満気に言った。


「それはそうですけど、お父様とお母様の大切な幼馴染の御子息ですし何より辛くて悲しく苦しんでいる方を引っ叩くなんて私にはできませんから」


アンジェリカは真剣な表情で言った。


(いや、正確にはうれかじ18の主人公の1人だからってのもあるけどさぁ)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「しかし、それでアンジェリカの顔に傷がつくなど許せる訳がないじゃないか。いくらジョーディーとマリサの息子だろうがアンジェリカを傷つける奴なら許すわけにはいかないからな」


デビッドは眉をひそめて言った。


「その通りよ。マリサの愛する息子だろうとうちの愛する娘の頬をこんなに腫らす様な愚か者は許せないわ」


メアリーは眉をぴくりと動かし言った。


(いやいや幼馴染の息子に言う言葉じゃないでしょうよ)


アンジェリカは呆れつつそんな事を考えていた。


「ですが今回は見逃してもらえませんか?もしも、私も彼と同じ立場なら自分を責めてああなったと思うので。それにきっとご令息は今日で自分を責めるのをやめて前に進んでいってくれる様な気がしますので。ね?お願いします」


アンジェリカは切実に2人へ言った。


(せっかくロビンが前を向いて歩いて行こうと思った矢先にこの2人から怒りをあらわにされたらまたしょんぼりするかもだからね。ロビンのこれからの幸せな未来の為にまずは今日の事を穏便に済ませないとだもんね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「はぁ。分かったよ。アンジェリカにそこまで言われたら拒否する訳にもいかないし、、それにまぁ確かに自分のせいでジョーディーとマリサを死なせてしまったと自分を責めて苦しんでたのならこれ以上追い詰めるのはよくないだろうからな。追い詰めたらジョーディーが化けて出てきそうだしな」


デビッドはやれやれといった表情で言った。


「そうね。マリサが化けて出てきたらたまったもんじゃないものね。ジョーディーとマリサが空の上で安心できる様に今日のところは大目にみることにするしかなさそうね」


メアリーは困り顔で言った。


「ありがとうございます。お父様とお母様ならわかってくれると思ってました」


アンジェリカは笑顔で言った。


(これで今日の事は安心できるし今後は2人ともロビンに対しては大丈夫なのは原作読んで知ってるから一先ずは上手く逃げ切ったわぁ)


アンジェリカは安心した表情でそんな事を考えていた。


「本当にアンジェリカは優しすぎて心配なるがな」


デビッドは困り笑みを浮かべて言った。


「今はまず自分の頬の心配をしなきゃいけないというのにロビンの心配をしてるんだからね」


メアリーも困り笑みを浮かべて言った。


「ふふふ」


アンジェリカはクフクス笑った。


そんなアンジェリカを見てデビッドとメアリーの表情も穏やかになったのだった。


「アンジェリカお嬢様、ご令息を部屋まで送り届けてきました」


そこへロビンを部屋まで送ったレベッカが戻ってきて言った。


「レベッカありがとう。ご苦労様」


アンジェリカは微笑みながら言った。


「ご令息はその後は落ち着いていた?」


アンジェリカが言った。


「はい。部屋までお送りしてその場を離れる際に表情を見る限りでは冷静になられていました」


レベッカが言った。


「そう。それは良かったわ」


アンジェリカがホッとして言った。


(ロビンの方もどうにか落ち着いたみたいだし良かったわ。明日からはもう目が死んでる事もなくなるだろうね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「お父様、ご令息の体調次第ですが明日パーソル伯爵夫婦のお墓まりにご令息を連れて行くのはどうでしょうか?葬儀後お墓に行かれてないみたいですし」


アンジェリカは心配そうに言った。


「う〜ん、そうだな。ロビン自身に気持ちの整理がついたのであれば墓に参らせるのもいいかもしれないな」


デビッドは頷きながら言った。


「そうね。これまで自分の事を責めてお墓にも足を運びたくても運べなかったんでしょうしね」


メアリーが言った。


「ありがとうございます」


アンジェリカは笑顔で言った。


「さぁ。アンジェリカも部屋に戻って休みなさい」


デビッドが優しい表情で言った。


「レベッカ、アンジェリカをもう一度お風呂に入れてあげてから寝させてあげてちょうだい」


メアリーが言った。


「かしこまりました」


レベッカは頷きながら言った。


(あぁ、ロビンを助けるのに必死だったから全然気づかなかったけど作業用に着てきた服が汗と木くずで随分と汚れちゃってたんだね。恥ずっ)


アンジェリカは自分の服を見て苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


「さぁ、アンジェリカ。部屋まで私が抱きかかえて連れてってやろう」


デビッドは嬉しそうに微笑みながら言った。


「はい?!」


アンジェリカは驚き言った。


「頬も腫れているし何かと疲れただろう?だから私が抱きかかえて連れてってやるから楽にしとくといい」


デビッドは笑顔で言った。


「え?でも、私汚れてますし」


アンジェリカは戸惑い言った。


「構わないさ」


デビッドは笑顔で言った。


(まったく親バカなんだから。私をいくつだと思ってんのよ)


アンジェリカは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(だけど、本当にまぁまぁ、いや結構疲れてんのは事実だし今日はお父様の親バカ戦略に乗ってやるとするか)


アンジェリカはふっと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「分かりました。ではお言葉に甘えてお願いします」


アンジェリカは困り笑みを浮かべて言った。


「あぁ」


デビッドは一瞬驚いた表情を浮かべるもすぐに嬉しそうに微笑みながら言った。


「さぁおいで」


デビッドは優しく微笑むとアンジェリカに両手を差し出した。


アンジェリカは少し照れた様に笑いながらデビッドの手を取りデビッドに抱きかかえられた。


(あぁ愛しのアンジェリカ。いつの間にこんなに重たくなったのだ。昔は毎日アンジェリカを抱きかかえていたがいつの間にかそういう事がなくなったから寂しく思っていたがまたこうして抱きかかえる事が出来て私は幸せだな)


デビッドはデレデレした表情でそんな事を考えていた。


(本当にお父様ったら顔に思ってる事が出すぎなんだから)


アンジェリカはデビッドの表情を見てクスっと笑いながらそんな事を考えていた。


そんな光景を見てメアリーとレベッカは微笑ましい表情を浮かべていたのだった。


その後、アンジェリカはお風呂へ入り体をきれいにした後ベッドへ入った。


(明日からはどうかロビンに笑顔が戻りますように、、)


アンジェリカはそんな事を願いながら眠りについたのだった。




♡〜ω〜♡



翌日、アンジェリカはデビッド、メアリー、ロビンでパーソル伯爵夫婦の墓へ訪れた。


(ていうか昨日の事でロビンとは普通に話せると思ったのに何で朝から顔合わせると気まずい顔されるわ、行きの馬車の中では沈黙だわで予想外すぎて横転だよ)


墓場に到着してアンジェリカは墓を前にしてそんな事を考えていた。


そして、アンジェリカは屋敷の庭で摘んだ花で作った花束を墓へ添えた。


デビッドはジョーディーが好きだったお酒を供えた。


メアリーはマリサが好きだった紅茶を供えた。


そして、ロビンは手紙を供えたのだった。


そして、4人は墓の前で手を合わせて目を閉じた。


(ロビンのお父さん、お母さん。初めまして。私はクライシス侯爵家の長女のアンジェリカ・クライシスです。ロビンの義理の妹になりました。ロビンを1人残して天国に行ったことは悔やまれるかもしれませんが私やお父様、お母様も、それにフィルナンデスもロビンの側についていますから安心して空の上からロビンを見守ってあげていて下さいね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


(父上、母上。ようやくここへ来る事ができました。昨日まで私はここへ来る資格など私にはないと思っていました。お2人に合わせる顔などないと思っていましたから。しかし、今日こうして来ることが出来て少しは父上と母上を安心させられたのではないかと思います。これから大変な事や辛い事があったとしても乗り越えてみせるのでどうか見守っていて下さい。お2人にはまだまだ話したい事があったのでそれは手紙に記しましたので手紙を置いておきました)


ロビンはそんな事を考えていた。


(クライシス侯爵も夫人も父上と母上から聞いていた様な方とは少し違いましたし義理の妹になった令嬢も噂とは随分違いましたしクライシス侯爵家の人々はとてもよくしてくれていますのでそこも心配はいりませんから)


ロビンはは更にそんな事を考えていた。


(またここへ来ると思いますのでその時はあの日お2人に食べさせる事ができなかった物を持ってきますね)


ロビンは更にそんな事を考えていた。


そして、4人は目を開けた。


「ジョーディー。心配するな。ロビンはそなたの代わりに私がしっかりと面倒を見てやるからな」


デビッドはフッと笑みを浮かべて言った。


「マリサも心配いらないわ。あなた達の息子の面倒は私達が責任を持って見るから」


メアリーは優しい笑みを浮かべて言った。


「クライシス侯爵、夫人、、いえ義父上、義母上。改めてお世話になりますがよろしくお願いします。クライシス侯爵家に恥じぬように努力致します」


ロビンは姿勢を正してデビッドとメアリーへ頭を下げながら言った。


「あぁ。改めて我がクライシス侯爵家へようこそ。これからクライシス侯爵家の一員としてよろしく頼む」


デビッドが真剣な表情で言った。


「改めてよろしくね。クライシス侯爵家の一員になったのだから今後は何か悩み事などある時は1人で抱え込まず私達にきちんと話してちょうだいね」


メアリーはにこりと微笑みながら言った。


「はい。温かいお言葉ありがとうございます」


ロビンは真剣な表情で頷きながら言った。


(クライシス侯爵夫婦には何度か会ったことはあるがまだ私も子供だったこともあり大して話しをした事がなかったが父上と母上の話だと皇族に負けない程の力を持ち夫婦共に頭のきれ冷静に行動をする方達だと言ってたな。ただ娘の事になると恐ろしく人格が変わると聞いたがそれほどではなさそうだな。侯爵夫婦は父上達の幼馴染だけあってこの感じであれば私の事を悪いようにはしないだろうしこの家でならやっていけそうな気がするな)


ロビンはそんな事を考えていた。


(うんうん。お父様達とロビンの関係性はいい感じになりそうだね。まぁそもそも原作ではお父様達はアンジェリカよりロビンを可愛がってた描写ばかりだったし私がそこまで心配することでもなかったのかもね。これからは皆で家族として仲良くしていけるといいな)


アンジェリカはデビッド達のやり取りを見て安心した表情でそんな事を考えていた。


「だが、今後は二度と昨日の様にアンジェリカをあの様な状況に陥らないでくれよ?もし次にあの様な状況にアンジェリカが陥ることがあれば私達はいくらジョーディーとマリサの息子だからといって何をするかわからないからな?賢いロビンなら理解してくれるな?」


デビッドはゾッとする程の圧のかかった恐怖の笑みを浮かべて言った。


「そうね。今後昨日の様な事があればマリサ達は申し訳ないけれど指を加えてグッと我慢する事はできないと思うから」


メアリーもデビッドと同じ表情を浮かべて言った。


そんな2人の表情にロビンは一瞬肩を強張らせた。


(これは、、父上達の言う通り娘の事になると一瞬にして狂気を纏う人たちに違いないな)


ロビンは冷静にそんな事を考えていた。


「肝に銘じます」


ロビンは真剣な表情で頷きながら言った。


「すぐに理解してくれるところがジョーディーによく似ているな。理解が早くて助かるばかりだ」


デビッドは圧を和らげ笑みを浮かべて言った。


「本当ね」


メアリーもデビッドと同じ表情で言った。


(前言撤回!父に母よ!ロビンに対する圧の勢いがエグすぎて草。昨夜あんだけロビンに対して怒るなって言ったのに。この2人はやっぱりいつもの2人だった)


アンジェリカは呆れた表情でそんな事を考えていた。


(もぉ〜せっかくいい感じの雰囲気だったのが台無しじゃないの)


アンジェリカは更にそんな事を考えていた。


すると…


「お父様、お母様、ご令息。ここで私からお渡ししたいものがあります」


アンジェリカはその場の空気を変えるべく言った。


「アンジェリカから?」


「何かしら?」


デビッドとメアリーはアンジェリカの言葉に秒で態度を変えて目を輝かせて期待する表情で言った。


(切り替え早ッ)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「お父様とお母様にはこちらです」


アンジェリカはそう言うと持参していたカゴバスケットの中から写真立てを2つ取り出してデビッドとメアリーへ差し出した。


「これは、、」


デビッドが差し出された写真立てを受け取り見て少し驚いた表情で言った。


アンジェリカが差し出した写真立てにはデビッド、ユリウス、ジョーディーの3人が写った写真が入ったものとメアリー、カシア、マリサの3人が写った写真が入ったものだった。


「この写真をどこで?」


メアリーが写真立てを受け取ると驚いた表情で言った。


「それは聞かないで下さい」


アンジェリカは苦笑いを浮かべて言った。


「では、聞かないでいましょう」


メアリーは優しい笑みを浮かべて言った。


「ありがとうございます」


アンジェリカは困り笑みを浮かべて言った。


(きっとパーソル伯爵邸から勝手に持ち出してきたってバレてるよね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「是非、お2人共部屋に飾って下さい。お父様とお母様にとってかけがえのない思い出の写真でしょうから。飾ったらきっと伯爵夫婦も喜んでくれますよ」


アンジェリカは笑顔で言った。


「そうだな。こんな素敵なものをどうもありがとう。この写真立てもわざわざアンジェリカが作ってくれたのだろう?」


デビッドは優しい表情で言った。


「はい。お父様と伯爵様と陛下をイメージして」


アンジェリカは微笑みながら言った。


「そうか。私達3人をイメージしてか」


デビッドは少し切ない表情になるもすぐに笑みを浮かべて言った。


「ありがとう。大切に飾らせてもらうよ」


デビッドは笑顔で言った。


「はい」


アンジェリカは頷きながら言った。


「お母様の写真立てはお母様と伯爵夫人と皇后陛下をイメージして作ったものです」


アンジェリカが笑顔で言った。


「そうなのね。私達3人を。とても素敵な写真立てよ。ありがとう。私も大切に飾るわね」


メアリーは微笑みながら嬉しそうに言った。


(作って良かった。もうあんな風に皆揃って写真を撮ることはできない分あの写真は宝物だもんね。部屋に飾っていつまでもあの写真を撮った日を忘れないでいてくれるといいな)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「それから、ご子息にはこちらを」


アンジェリカはそう言うとバスケットから袋を取り出してロビンへ差し出した。


「ありがとう」


ロビンは袋を受け取ると言った。


そして、ロビンは袋を開けて中身を取り出すと驚いた表情を浮かべた。


「これは、、ロケットペンダントか?」


ロビンは驚いた表情のまま言った。


「はい。私の手作りの物なので高級な物ではありませんが既製の物とは違い裏表で写真が2枚入る仕様になってますので一枚は今入っているパーソル伯爵夫婦とご令息3人で写っている写真をそのまま入れておいてもう裏側には将来ご子息に大切な方ができましたらその方と撮影した写真を入れて下さい」


アンジェリカは笑顔で言った。


(大切な人というのはもちろんフィルナンデスの事だけどね。私が作ったロケットペンダントの中にフィルナンデスとロビンのツーショットの写真が入ると思うとニヤニヤが止まらないよねぇ)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


(この写真は父上が執務室にいつも大切に飾っていた写真だ。きっとわざわざパーソル伯爵邸へ足を運びこの写真を持ち帰りロケットペンダントに入れてくれたのだろう)


ロビンはロケットペンダントの中の写真を見て胸が熱くなるのを感じながらそんな事を考えていた。


「ありがとう。大切にするよ」


ロビンが少しだけ目をうるっとさせながら言った。


「いえ。受け取ってもらえて良かったです」


アンジェリカは笑顔で言った。


(ロビンが喜んでくれて良かったよ。まさか愛してやまないうれかじ18のロビンに私が作ったものを渡せる日が来るなんてね)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「それから、、昨日は色々と迷惑をかけて悪かった。昨日だけではないが私がクライシス侯爵邸へ来た時から色々と気を使ってくれていたのにあの様な態度をとってしまい申し訳なかった。君なりに歩み寄ってくれてありがとう。これからは家族としてよろしく頼む」


ロビンは優しい表情でアンジェリカへ言った。


(なっ。あのクールビューティーなロビンがこんな優しい表情するなんてレア中のレアじゃんか。あ〜こんな事があっていいのかよー)


アンジェリカは興奮をどうにか抑えてそんな事を考えていた。


「こちらこそよろしくお願いしますね。お義兄様」


アンジェリカは満面の笑みで言った。


(ギャァァァァー!ロビンにお義兄様って呼んじまったよー。しむ。響きが良すぎてしむ。お義兄様って単語が強すぎ)


アンジェリカは内心悶々としながらそんな事を考えていた。


ロビンはアンジェリカのそんな笑みに一瞬ドキッとした。


(4年前に偶然街で会った時も思ったが令嬢は噂とは随分違うよな。きっと彼女が本当は自分の身を呈してまで相手に対して思いやりがある事やこんな風に笑うことを皆は知らないのだろうな)


ロビンはそんな事を考えていた。


「お義兄様か、、。私は一人っ子だからそう呼ばれる事に慣れていないから何だか少し違和感があるな」


ロビンは困り笑みを浮かべて言った。


(ロビンが困った様に笑ってる。これまたレア中のレア)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「これからは毎日呼ばれるのですからすぐに慣れますよ。私も一人っ子だったのでお義兄様と呼べる方が出来て嬉しい限りです」


アンジェリカは嬉しそうに言った。


「そうか。そうだな。すぐに慣れるだろうな」


ロビンがフッと口角を上げて言った。


(彼女にならそう呼ばれるのも悪くないかもな)


ロビンはそんな事を考えていた。


「私の事は気軽にアンジェリカと呼んで下さいね」


アンジェリカが笑顔で言った。


「お父様、お母様それでいいですよね?」


アンジェリカはパッとデビッド達の方を向いて先手を打つかの様に言った。


「クライシス侯爵家の人間になったのだから構わないさ」


「そうね」


デビッドとメアリーは特に機嫌を損ねる事なく言った。


(こないだの宮殿でのお茶会の時みたいになるかと思って先手を打ったけどそんな簡単にOKするんだね。拍子抜けだよ。クライシス侯爵家の人間になったらいいのかいって感じだけどまぁ機嫌を損ねてないんだからいっか)


アンジェリカはそんな事を考えていた。


「あぁ。アンジェリカよろしくな」


ロビンが少し照れた様に言った。


(ロビンの照れ顔いただきましたぁ。この短時間でレア中のレアを3個も拝めるとか今日は最高か)


アンジェリカはニヤニヤするのを必死で堪えてそんな事を考えていた。


(女性の名前をこうして呼ぶ事など今までなかったから何だか気恥ずかしい気もするがじきに慣れるだろう)


ロビンはそんな事を考えていた。


「はい」


アンジェリカは笑顔で言った。


こうしてどうなる事かと思ったロビンの件はアンジェリカの腐女子パワーの大健闘により一件落着したのだった…



それから1週間が経った日のことだった…


(あぁ〜ロビンをお義兄様って呼び始めてから1週間が経ったけど毎回呼ぶ度にニヤニヤするのを必死で堪えてるよ〜。原作だとアンジェリカはロビンの事を一度もお義兄様なんて呼んでなかったもんね。うれかじ18オタクとしてはこれほど最高の響きはないよね〜)


アンジェリカはこの日作業小屋でムスカ達の結婚祝いの家具作りの仕上げ作業をしながらルンルンでそんな事を考えていた。


アンジェリカはこの日、気温が高く暑かったのもありいつもの作業用の服とは違った服を着用していた。


「しっかし今日は暑いね〜。この前世の知識を活かしたタンクトップ&短パンを作って正解だったよね。この世界にクーラーなんて大層な物はないから作業してるとこんだけ薄着じゃなきゃやってらんないもんね」


アンジェリカは手でパタパタと顔を扇ぎながら言った。


「よし!レベッカが冷たい飲み物持ってきてくれるまでにこの最終工程を終わらせて家具を完成させるぞ〜」


アンジェリカは意気込みながら言った。


そして、手際よく黙々と作業を進めた。


(あぁ〜この私の力作とも言えるムスカとオルンが寝るベッド。2人が甘〜い夜を過ごせる様に3色に色を変えれるライト内蔵、ちょっと激しめに動いても劣化しない強度、どんな時でも直ぐ様手の届くティッシュケースの設置。うん、完璧。ん〜このベッドを2人が使うの想像しただけでマジでヤバいねぇ。うわっ、よだれ出ちゃうよ)


アンジェリカはにまにましながらそんな事を考えていた。


(あぁ〜マジで高まってきたわ〜)


アンジェリカはテンションあげあげでそんな事を考えていた。


そして…


「今日の私はいい波乗ってんね〜♫明日の私もいい波乗ってんね〜♫」


アンジェリカはおしりをフリフリさせながらのりのりで歌いながら作業を進めた。


ボトッ…


その時、小屋の入口から音がした。


「レベッカ?早かったわね。飲み物持ってきてくれた?」


アンジェリカはそう言いながら後ろを振り返り言った。


(え?)


しかし、後ろを振り返ったアンジェリカはギョッとした表情でそんな事を考えていた。


それもそのはずだった。


入口にいたのはレベッカではなくフィルナンデス、ロビン、オルシアンの3人だったからだ。


音がしたのはオルシアンが持っていた物を床に落とした音だった。


フィルナンデス、ロビン、オルシアンは顔を真っ赤にして驚いた表情を浮かべていた。


そして、アンジェリカはすぐにハッとなり顔をタコの様に真っ赤にした。


アンジェリカは令嬢とはかけ離れた服、おしりを振りながらノリノリで歌を歌っていた姿を3人にばっちりと見られたからだった。


(ギャァァァァーーー)


アンジェリカは声にならない声で叫んだ。


アンジェリカの一難去ってまた一難はまだまだ続きそうなのだった…

ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


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私が悪役令嬢?!…ならばシナリオ無視して全力で推しを守り愛し共に幸せになる所存です!!

〜じゃじゃ馬令嬢は異世界でも推し活に励む〜(※不定期更新)


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