少年の闇
「ふ〜んふふんふ〜ん♪」
ユズキは足をぷらぷらさせながらミルクを飲んでいると急に目の前が真っ暗になった。
「だーれだ♪」
「うわぁ!」カランカラン
急に後ろから目隠しをされたユズキは驚きミルクを落としてしまった。
「あっ」
「え?」
目隠しをした青髪の女性は想像以上の反応だったのか逆に驚いてしまい、ユズキは落としたミルクとカップを見つめ止まっていた。
「「・・・」」
「お待たせ〜ってどうしたの?」
一枚の紙を持って帰ってきたメルナは固まっているユズキとユズキを見てオロオロしている青髪の女性を見て訝しげに立ち止まった。
「っ!…」
「えっと…あのー…」
帰ってきたメルナにユズキが気がつくとメルナを見てビクッと跳ねると目に涙を溜め始めた
「ご…ごめん…なさい……」
「ちょちょちょっと待って!!マール!!何かしたの!?」
慌ててユズキを抱き抱える様に近づくと青髪の女性を睨み付けた。
「え?えっ!?ちょ、ちょっと驚かそうかと〜…」
「何したの!?怪我とかさせて無いでしょうね!?大丈夫?ユズキ?何か酷いことされたの?」
メルナは青髪の女性をキッと睨みつけるとユズキを撫でながら尋ねた。
「ごめん…なさい……ミルクが……」
「ミルク?」
溢れたミルクと転がっているコップを見てメルナは首を傾げた。
「せっかく…ヒック…貰ったのに……ヒック…」
「い、いいのよ?ミルク位また買ってあげるから?」
今にも泣き出しそうなユズキを撫でていると青髪の女性は「も、もう一杯持って来るね!」と走って行った。
「ごめんなさい…ヒック…ごめんなさい……ちゃんと……飲みますから……ヒック……」
ユズキはふらっとメルナを離れると床に這いつくばった。
「ちょ、ちょっと待って!!そんな事しなくて良いから!!」
ユズキの唐突な行動に驚いたメルナは大きな声で肩を掴むとユズキはビクッと大きく跳ね頭を抱える様に丸くなると叫ぶ様に謝り始めた。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!叩かないでください!!!痛いのは嫌です!!痛いのは嫌です!!!」
唐突に泣き叫び始めたユズキにメルナは唖然とし周囲の人々の視線が集まってある事に気がつきユズキを抱き上げ医療ギルドの方へと走って行った。
「すみません!!急患です!!状態異常狂乱の患者です!!」
泣き叫ぶ少年を見て驚いていた受付は状態異常狂乱と聞き直ぐに奥の部屋に案内をした。
奥の部屋に通されベットの一つある個室に通されたメルナはしがみ付き謝り続けるユズキに困惑し「大丈夫、大丈夫だからね」と頭を撫でていると白衣を着た緑髪の女性が部屋に入ってきた。
緑髪の女性は少し眉毛を上げると直ぐに詠唱を始めた。
「純白なる天の御使よ、深緑なる大地の子よ、かの者に細やかなる安息を与え給え、「スリープ」」
風に流される様に白と緑の光がユズキに当たるとユズキの声は次第に小さくなり、最後には小さな寝息に変わっていった。
「ふぅ〜…さて、何があったのかしら?この子狂乱じゃ無いわね?メルナ?」
緑髪の女性ば少し気怠げに尋ねた。
「ありがとうございます、シルフィオーネさん」
「スリープの複合魔法って少し疲れるのよ?」
「ごめんなさい、来てくれたのがシルフィオーネさんで助かりました!」
「私が今日の担当だって知っていたのでしょう?まぁいいわ、それよりもその子よ」
「それが…分からないんです…」
「分からない?」
「ギルドの前でたまたま見かけて可愛い子だなぁって思って声を掛けたんです」
「……ナンパかしら?……」
「違います!」
「冗談よ」
「シルフィオーネさんまで……それで初めてギルドに来たって聞いたのでギルドの説明をしてお話をしていると森に倒れていて迷子だって言ってたんです」
「森に?」
「そうです、お家はフジタって言う所にあるらしいのですがシルフィオーネさん、聞いたことあります?」
「フジタ………聞いた事がないわね」
「シルフィオーネさんも聞いた事ないんですか!?」
「そうね、私が知らないとなると……帝国の方…かしらね」
「帝国……でもどうして帝国の子がハイルフェンの森に?」
「それは分からないわ……後一つ可能性を上げるのならば……外……かしらね……」
「外!?」
「静かにしなさい、その子が起きてしまうわよ?」
「で、ですけど外へは出る事は出来ても帰ってきた人や入ってきた人はいないって……」
「そうね、だからあくまで可能性の話よ、それで?どうしてあんなに取り乱してたのかしら?」
「あっ…それが本当に分からないんです、フジタについて私では分からなかったので情報ギルドに依頼して情報を集めようと思って依頼書を作ってたんです、その間ユズキ…あっ、この子の名前です、は食堂で待っていたんですが……」コンコン
二人が話しているとノックの音が聞こえ、シルフィオーネが「どうぞ」と言うと青髪の女性が入ってきた。
「マール?」
「はろはろ〜あっ、シルフィオーネさんご機嫌よう、急に居なくなってびっくりしたよ〜、怒って帰っちゃったかと思ったじゃん、どしたの?」
「それが……ってユズキが待ってた時はマールの方が知ってるわね」
「うん?」
「この子がどうしてこうなったのか聞いてた所なのよ」
「うぅん?食堂が妙に静かだったけどなんかあったの?」
「それは……取り敢えずマールとユズキに何があったか教えて?」
「うぅぅん?まぁ、たまたま手が空いて食堂を回ってたらユズキちゃん?が可愛くミルクを飲んでたのを見かけたから、悪戯したくなって……」
「悪戯……」メルナの目が少し鋭くなる。
「いやいやそんな酷い事してないよ!?後ろからこーそり近づいてだーれだ?ってやってみたの」
「本当に?後ろから抱きついてあんな事やこんな事を…」
「してないしてない、こんなにちっちゃくて可愛い子に変な事しないよぉ〜…、んでユズキちゃんが思った以上にびっくりしてミルクを落としちゃったんだ、その後はメルナも知ってるよね?」
「本当にそれだけ?」
「ほんとほんと、その後私うわーミルクのせいだーもう一杯持ってこなきゃーって取りに行っちゃったもん」
「それであんな風に泣き叫んでいたのかしら?」
「えっ!ユズキちゃんそんなに泣いちゃったの!?」
「えっと…マールがミルクを取りに行った後私がユズキを慰めようとしたんだけど、そしたら泣きそうになりながらちゃんと飲むからって床に這おうとして……」
「え!?」「…」
「咄嗟に肩を掴んだんだけど、そしたら急に丸くなって……叩かないでくださいって……泣き…初めて……」
「「・・・」」
シルフィオーネは小さく息を吐いて呟いた。
「はぁ……分からないわね、可能性としてあげるのであれば過去のトラウマ…なんかが妥当なのでしょうけど何があったかなんかは分かりようも無いし、本人に聞くってのも…」
「本気ですか!?」
メルナに二人の視線が集まる。
「すみません……」
「いいわ、本人に聞くってのも得策では無いでしょうね、あれだけ泣き叫ぶ様な事だもの、こんな子に何があったのか、なんて聞くほど私も鬼じゃ無いわ」
「そんな酷かったの……ですか?」
「そうね……まぁ、現状どうする事も出来ないのだから、何があったかにしろ変に刺激せずに安静にしておくのが最善でしょうね」
「「・・・」」
「さて、私に出来る事はここまで、次の患者の所へ行かせてもらうわ」
「あっ、はい、ありがとうございました、シルフィオーネさん」
「いいのよ、仕事だからね、それではお大事にね」
部屋を出て行くシルフィオーネが小さく「可哀想にね…」
と呟いたのがメルナには聞こえていた。
「わ、私も仕事の途中だから……行くね?」
「あっ、引き止めてごめんね?」
「いいのいいの、私の方こそ何だかごめん……メルナはいつまでいる?」
「それが……」
メルナの視線の先にはメルナの服をしっかりと握るユズキの小さな手があった。
「あ、あー…」
「どうせ今日は休みだしもう少し残ってることにするわ」
「りょーかい、また何か奢るね?それじゃお大事に〜」
パタンと扉が閉まると少し苦しげな寝息だけが部屋に流れていた。
「こんなに小さいのに………」
メルナはユズキの頭を撫でながら小さく呟くと少しだけ苦しげな顔が和らいだ気がしたのだった。
初めての制作なので純正日本人なのに日本語が難しいです、、、完結するまでは頑張って続けていきたいと思っています、、、




