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少年とギルド


「う〜ん...」


少年は大きな建物の前で悩んでいた。


「ここは何のお店なんだろう?...」


大きな建物には盾のような形の中に五つの菱形を集めた様なシンボルが大きく付けられており両開きの扉の中は外の通りよりも騒がしく時折怒声やガラスの割れるような音が響いていた。


「ちょっと怖いなぁ...近付かない方がいいかなぁ...」


少年は気になる気持ちを抑えて離れようとした所

バァン!!!と扉が開き二人の男が転がり出てきた。


「痛ってぇなぁ!?」


顔を真っ赤にした男の一人が開いた扉の方を睨み声を上げた。


「ギルド内での戦闘行為は禁止です!暴れたいなら外でやって下さい!」


少年が転がってきた男に目を丸くしていると中から一人の金髪の女性が出てきた。


「どんな理由があれギルド内での戦闘行為は禁止されています!ましてや敵意を持っての抜剣や攻撃詠唱など以ての外です!」

「それはこいつが...」

「言い訳しない!!今回は未遂で済ませてあげますから頭を冷やして来なさい!」


腕を組んで見下している金髪の女性から目を逸らし男は小さく舌打ちをし、小さく謝った。


「すまねぇな、ちょっと飲み過ぎてたみてぇだ」

「い、いや俺も言い過ぎちまった...悪かった...」

「今日は帰るわ、メルナ嬢にも怒られちまったしな」

「当たり前です...」


男はふらふらと歩いていった。


「あなたはどうするんですか?」


金髪の女性がジトっともう一人の男を見ると男は「お、俺も...」と小走りに駆けて行った。


「はぁー...っとあれ?こんな所で何してるのかな?」


少年に気がついた金髪の女性は少年の前にしゃがみ込み目線を合わせて笑顔で尋ねた。


「えっ!えっと...このお店はなんなのかなぁ...って」


少年は先程までとの雰囲気の違いに驚きながら尋ねた。


「えっと、ギルドは初めてかな?」

「ギルド?」

「そうそう、一言で言えばー...何でも屋さん...かな?」

「何でも屋さん?」

「そう!色々な人から仕事を受けてそれにあった人を派遣するお仕事...かな?」

「誰でも仕事をお願い出来るのですか?」

「仕事のお願いすることは出来るわよ?でも仕事の内容だったり報酬次第では仕事を受けてくれる人が出てこなかったりしちゃうからお願いをするならよく考えてからしてね」

「誰が仕事を受けてくれるのですか?」

「それは...中で説明しよっか!」


少年は金髪の女性に手を引かれ建物の中に入って行った。



少年が中に入ると外まで聞こえていた声が一層大きくなりガチャガチャと食器の音や大きな声が飛び交っていた。

建物の中には丸い机や丸い椅子が沢山あり奥には大きな掲示板が五つ、掲示板の横にはそれぞれ受付の様な物があり、掲示板には無数の張り紙が貼り付けられていた。

少年は女性に手を引かれ小さめの丸机と丸椅子の方へ引っ張られて行った。


「ここでいいかな...すみませーん!あっ、キミはミルクでいいかな?うん!ミルク一つとターチャ一つ!」


金髪の女性は奥の方へ大きな声をあげカウンターの様な所で手を挙げてるのを確認すると少年の方へ向き直った。


「えっとなんだっけ?あっそうそう誰が仕事を受けてくれるかって話だったわね、ここは食堂って呼ばれてるんだけどここにいる人達が仕事を受けてくれるんだよ」


少年が周りを見渡すと色々な人がいるのが分かる、中には甲冑の様なごつこつとした人やローブの様な服を着た人、白衣の様な人も見える。


「あっちの方に掲示板があるでしょ?あれが左から医療ギルド、情報ギルド、商売ギルド、護衛ギルド、探索ギルドって言うの、受けた仕事を大まかに分けてあそこの掲示板に貼られて、それをここの人達が受けて仕事に行ってもらうって感じかな」


金髪の女性が一つ一つ指をさし最後に受付を指差し答えた所でトレーにコップを二つ乗せた女性がやってきた。


「お待たせしましたーお休みの日に働かせてごめんね?ってあれ?メルナ妹居たっけ?」

「違うわよマール、ギルドの前にいた子、初めてギルドに来て入り辛そうにしてたから説明してたの」

「ふーん...そんな幼気な少女を手籠にし「違うわよ!」って冗談冗談...確かにギルドって入り辛い雰囲気してるもんねぇ...まっ!ゆっくりしていってね〜」


青髪の女性は二つのカップを置き手をヒラヒラさせながら離れて行った。


「はぁ...キミはあんな風になったらダメだからね?」

「は、はい?...」


少年は離れて行った青髪の女性に手を振りながらよく分からずに首を傾げた。


「そいえば自己紹介がまだだったわね、私はメルナって言うの、今日はお休みだけどここの作業員よ、キミのお名前はなんて言うのかな?」

「あっ、僕は柚木って言います」

「ユズキちゃんって言うのね?あんな所で一人でいたら危ないわよ?悪い大人の人に連れてかれちゃうかも、何処から来たのかな?」

「えっと...気が付いたら森にいて...家は藤田にあります」

(森に?...)「フジタ?聞いた事のない場所ね...」(聞いた事の無い地名...ギルドで聞いた事の無い地名って事は街外れの集落か何かかしら?...)


メルナはニコニコとしていたユズキの表情が少し暗くなった気がして咄嗟に声を上げた。


「そうだ!早速依頼を出してみたらどうかしら?」

「依頼?」

「そう!フジタについて何か知っている事はありませんか?って!」

「でも僕報酬を持ってないよ?」

「大丈夫大丈夫!お姉さんに任せなさい!」


メルナは急に立ち上がり胸を叩くと情報ギルドの方へ向かって歩いて行った


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