少年と水たまり?
「ふ〜んふふんふ〜ん♪」
森の中、小さな足音と鼻歌と川の音が流れていた。
「あっ...まいごになった時は動かない方がいいんだっけ?」
ふと足を止めた少年はポツリと呟いた。
「でもだいぶ動いちゃったし...こんな森の中をお散歩出来るなんて初めてだから嬉しくなっちゃってたなぁ...」
少年はにこにこと周りを見渡し目をキラキラと輝かせている。
「う〜ん...そもそもまいごなのかなぁ...」
暫く少年は小首を傾げて唸っていたが小さく首を振り元気に声を上げた。
「迷ってても仕方ないよね!また怒られない様に早く帰らないと!」
少年はまた川に沿って歩き始めた。
「うん?あれなんだろう?」
少年が暫く歩くと小さな水たまりの様な物を見つけ、小走りで近づいて行った。
「水たまり...じゃないよね?なんか動いてるし...」
少年が見つけた水たまりの様な物はぷよぷよと蠢き、少しずつ動いていた。
少年は近くに転がっていた木の枝を拾い、ツンツンと突っつきながら呟く。
「生き物...なのかな?...」
少年は目を輝かせながら小さな水たまりを突っついていた。
「触ってみても大丈夫かな?」
暫く木の枝で突っついていた少年は恐る恐る手を伸ばし小さな人差し指で突っついてみた。
「お...おぉ...やわらかい!」
少年は笑顔で小さな手でそれを突っついたり撫でたりしていた。
「なんだかかわいいなぁ...」
小さな両手で掬い上げた少年は手の中でぽよぽよと動くそれを眺めながら呟いた。
「持って帰ったらおこられちゃうかな?...」
少年は名残惜しそうにそれを置き、小さく手を振り呟いた。
「また会えたらいいね!ばいば〜い!」
少年は笑顔でまた歩き始めた。




