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神官は、困っていた  作者: xoo
3/3

3 俺は、困っていた。

後輩からの連絡は未読スルーする。

 俺は困っていた。どうしてこうなった?



 後輩ができた。頼られた。


 後輩の受け持ち世界は、ハズレだったらしい。今にも破滅しそうだと、泣きつかれた。


 たまたま見ていたネットにあった【転生】を教えてあげた。喜ばれた。懐かれた。

 ついでに転生者の選出も、サービスすることにした。



 転生させるには条件があった。俺の世界との繋がりが弱くなっている存在しか転生させられない。

 だから病気や怪我で身も心もボロボロになっている存在、俺の世界では生きられない存在が選ばれた。

 対象者を選び、俺の世界から送り出す。

 俺の世界から弱い人が減り、俺の世界は強靭になるはずだ。


 こんな仕事は俺が直接やらなくてもいい。マクロを覚えたからね。



 俺は気付いていなかった。

 俺の世界から転生させているのは、日本人ばかりだった。


 日本人は信仰が弱い。俺の力にならない弱い存在。そして俺の世界との繋がりが薄い存在。そんなのがたくさんいた。

 信仰が強ければ俺の力になるから、その魂を俺が輪廻の輪に乗せられる。しかし信仰が弱いと俺は何もできない。


 俺が輪廻の輪に乗せられない存在を、後輩の世界に転生させていた。



 最近、今までより若い存在が転生するようになった。更に、信仰がないだけでは済まない、俺の世界に生まれ落ちて間もない幼生体がどんどん転生していく。



 転生にはもう1つ条件があった。


 天国を信じている存在は、おれの世界の輪廻転生の輪に乗るが、そうでない存在は輪廻転生の輪から外れる。

 信じているのは、その存在だけじゃなく、その存在と(えにし)が深ければいい。


 しかし、

 日本人は天国を信じなくなった。

 (えにし)が薄くなった。のみならず、

 (えにし)がある自分の子どもを、そして弱い存在を平気で死なせる存在が、増えた。


 のみならず、

 天国じゃなく異世界転生に救いを求める存在が増えてきた。急に増えた。

 自分への救いだけじゃなく、他の存在への救いも、死んでいく幼生体への救いを求めるものも、増えてきた。



 転生には更に条件があった。というよりエネルギー源だ。

 異世界転生という新しい天国への信仰、これは俺の力にはならない。しかし、俺の組んだマクロのエネルギー源となっていた。

 日本人の中で、特に若い存在の中で異世界転生が広く知られるようになると、俺の組んだ転生マクロが暴走していった。



 俺は、マクロを止められなくなっていた。パスワードが分からなくなった。


実は、大して困っていないのかもしれない。

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