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ギャルな王子と女装の姫

作者: 桜枕

 あたしには気になる人がいる。

 その人との出会いは「春だから」という意味の分からない理由で無理やり連れて行かれた合コンだった。

 内心つまらないくせに心根を表に出さず、如何にも男が好きそうな微笑みを浮かべた子。という第一印象と共に「女の子過ぎる」という感想を抱いたあたしはどの男性よりもその人に興味を持った。



 男性陣のレベルが高いと聞いていたけどそれは嘘ではなく、女性陣も相応の人材を派遣したと言って過言ではない筈だ。

 あたしも決して悪い方ではないと思いたいが、「女の子過ぎる」その人は唯一のパンツコーデにも関わらず、男性陣の目を惹きつけていた。

 くるぶしが見える丈のパンツ、高すぎないヒール、トップスの上から羽織るカーディガン。そこまで気合いが入っている訳でも男に媚びている訳でも無いのに誰よりも女性らしさを演出していた。

 でも、あたしの中の違和感は拭いきれなかった。



 自己紹介の時にその人は菊池きくち 映奈あきなと名乗った。

 あきな――。

 どういう字を書くんだろう。

 中性的な名前。見た目は美少女。中身は――。



 適度にアルコールが入り、顔を赤くした男性達は饒舌になっていくが、上手く相槌を打つ姿も印象的だった。

 男性陣は映奈と話している時が一番活き活きしているようにも見えた。それは好意があるとかでは無く、自分のテンポで自分の事を語らせてくれる心地良さの表れだったのかもしれない。

 終盤になり、前もって指示されていたトイレタイムに誘われたが、「私は残って皆の話相手をしてるね」と映奈は笑った。



「あの子なんなの?色目使い過ぎじゃ無い!?」

「アッキーナはあれが普通なの!合コン初めてだから彼を取って行ったりしないって」



 なるほど――。

 この二人には最初から思いを寄せる男性が居たのか。

 じゃあ、あの子も数合わせだったんだ。それなのに一人で四人の話相手をするなんて良くやる。



瑠姫るきはどうする?」

「あたしは今回パス」



 正確には今回"も"パスだ。

 この見た目からか、よく合コンに誘われるが一度も男性と二人で飲み直した事は無い。勿論、持ち帰られた事も無い。

 席に戻ると宣言通り、映奈は誰一人として輪からはみ出させず四人の話相手を務めていた。



(そうか…。これは男女の会話じゃない。男の子が"五人"で駄弁っているだけだ)



 この時、何故か映奈が女では無いと直観したんだ。



 友人二人は男性と腕を組み、さっさと夜の町へ消えて行ったが、最後に見た彼女達の幸せそうな笑顔がなんとなく眩しかった。



「んじゃ、あたし帰るから。なんかパッとしないしー」



 しつこく誘ってくる大学生を突き放していると、向こう側で何やら揉めていた。

 別にあたしには関係の無い事だけど明らかに嫌がっている人が居るのに見過ごす訳にもいかず、二人の元へ向った。



「嫌がってるじゃん。離してやんなよ」



 怯んだ大学生から逃れ、そそくさと駅へ向う映奈は想像以上に足が速くて全く距離が縮まらない。



「ねぇ、待ってよ!」



 渾身の叫びが聞こえたのか、漸く足を止めて振り向いてくれた。

 肩を上下させるあたしとは正反対に涼しげな顔で見つめる瞳に先程までのキラキラさは無かった。

 ここで質問を突き付けて、答え合わせをしまって良いのか。そっとしておくべきなのか。

 でも、この機会を逃したら二度と会えないかもしれない。

 そう感じた時には言葉がこぼれていた。



「なんで、女装してるの?」



 あの時の驚愕と不安と焦燥と希望が入り交じった顔は一生忘れないし、そんな表情を向けられても後悔は無かった。



真宮まみやさんだっけ。もう一軒、付き合って貰っても良いよね」



 あたしはこの日、初めて男性と二人で飲み直す事になった。



 * * *



「いつから気付いていたの?」



 あたしは「会った時から」と嘘を吐いた。本当は自信なんて無い。

 ただ、最後に見たあの光景は合コンに来た男女では作り出せない空気感で、そんな事が出来てしまう映奈に興味を持っただけだ。

 間違っていたとしても会話するきっかけになるなら、それで良いと思っていた。

 まさか本当に女装した男子が女性に混じって合コンに参加していた…と言うよりも、日常生活を営んでいる事は驚きだった。




「言いふらすつもりはないからね」

「そう」

「なんで、その格好なのか聞いても良い?」

「魔女に呪いをかけられているの」



 意味は分からなかったけど、これ以上の事を聞くと二度と会ってくれないような気がして口をつぐんだ。

 自慢では無いが、あたしは友人が多い方だ。「菊池という美少女が同期に居る」という話を聞いた事はあったけど、実際に会った事はないし、どう見ても目立つ事を嫌うタイプのこの子はひっそりとキャンパスライフを送ってきたのだろう。

 知る人ぞ知る存在なのかもしれないが、あたしは今日出会えた。

 そして、その正体に気付いた最初の一人になれたらしい。

 それだけで勇気を出して声をかけた甲斐があったと思えた。



 あたしは夜の町へ消えて行った彼女達と同じか、それ以上の笑顔を浮かべながら映奈の肩にかかる髪に触れた。

 到底、男とは思えない細くて柔らかくて癖の無い猫毛は絡む事なくあたしの指からすり抜けていく。

 髪が自慢なのか、いきなり髪を触られているのに優しげに微笑む映奈はこれまでに出会ったどの女の子よりも可愛く、同性(正確には異性だが)のあたしの心を締め付けた。



 あぁ…でも、あたしはこの子に相応しくないんだ。

 その目――。

 映奈の瞳に映るあたしはきっとその辺にいるギャルと同じなんだ。



「なんか、完璧って感じだよね」

「完璧?これが普通でしょ」



 映奈の仕草、言葉遣い、行動、思考、それらは『完璧』と表現して差し支えないレベルだけど、この子は素で『普通』だと思っているんだ。

 でも、これを言っちゃうと絶対に女子に嫌われる。

 映奈はそれを知っているから絶対に他の人の前で「普通」なんて言葉は使わないんだろうな。

 その正体に気付いたあたしには嫌われたいから本音を漏らすんだ。



 面白い――。

 絶対に嫌いにならないし、嫌われてもやらないから。



「ねぇ、あたしと友達になってよ。君の事をもっと知りたくなったの。LINE、交換しよっ」



 案外あっさりと教えてくれた事に拍子抜けしながら電車に乗り、帰宅後、入浴しながら今日の事を思い返すと「大胆な事をしたな」と少し反省した。

 映奈は男だ。でも女として生きている。

 本当の姿は誰にも分からない。

 だけど――。

 あたしは本質を見抜いた気がした。



 あの時。あたしがグラスを傾けた時――。

 確実に視線が下がった。

 その目線の先には鎖骨があった筈だ。

 あの子の中には決して抗えない本能が生きている。

 それを自覚した時、突然怖くなった。

 あたしは自分から男性に声をかけ、強引に飲みに誘われ、髪に触れて、友達になって、連絡先を交換した。



 あたしにとっての初めてを沢山奪ったのは誰よりも可愛く、女の子らしい、映奈という名の男の子だった。



 * * *



 あの合コンから一週間後、自分からお茶に誘ったのに待ち合わせに遅れるなんて、マジで有り得ない。

 急いで待ち合わせ場所に向うとカフェテラスで優雅に読書している映奈を見つけた。

 こっそり近づいたつもりはないけど、一切こちらに気付く気配はなく、ページを捲る手がどんどん速くなっていく。

 そんな時、右手がテーブルの上にあるコーヒーカップへと向かって動き出した。

 つい出来心でカップを持ち上げると映奈の手は可愛らしくテーブルの上を彷徨い始めた。

 意外にも強情で五回ほど握ったり、閉じたりを繰り返して漸く視線を本から外した。



「…何やってるの?到着したのなら声をかけてよ」



 刺々しい言葉の割に苛立ちを含んでいない声。

 あたしを見上げる視線も悪戯をする子供に向けられるもののようだった。

 映奈は対面に座ったあたしを隅々まで見回しながら話を聞いていた。

 良いよ。好きなだけ見て、あたしという人間を知っていけば良い。そうすればもっと深い話が出来る。

 映奈はあたしを快く思っていないだろうけど、きっと今が攻め時だ。



「映奈の恋愛対象は男の子なの?それとも女の子なの?」



 別に下心がある訳じゃない。ただ純粋に心境が知りたい一心だった。

 この返答次第であたしとの関係性が決まるような予感はしていたが、映奈はどう思っただろうか。



「人を好きになった事がないから正確には分からないけれど、男に何を言われても響かないから、女じゃないかな」



 あたしの頭はこんがらがった。

 それなら、普段から女友達と行動して好きになったりしないの!?



「私は小学生の時に魔女に出会って呪いをかけられた。だから、女の子にならないといけないの。でも、心までは難しいみたい」



 第二次性徴を過ぎて明確に男女の差が生じる時期を越えているにも関わらず、全くバレずにここまで生活出来てきた事は奇跡だ。

 話を聞いて気付いたけど、映奈はとにかく他者に距離を詰めさせない術を心得ている。

 これまでに関わってきた人達は"映奈"という触れれば脆く崩れそうな宝石を壊さないように大切に扱ってきたのだろう。

 そして、映奈自身もそれを自覚しており、自分の武器として利用しているのだ。

 人の人生に首を突っ込むつもりはない。だけど――。



「なにそれ、呪いなんて無い。自分で作り上げた理想で自分の首を絞めてるだけじゃん」

「首を絞める?私は苦しんでなんかない。貴女には関係の無い話でしょ!」



 これが映奈だ。

 多分、この子は止め時を見失ってる。

 もしも映奈が本当に苦しんでいるのなら、助けてあげたい。これが唯のお節介になるなら、その時は素直に謝って、二度と会わないでおこう。

 激昂した映奈は客の視線を気にせず、カフェの会計を済ませずに店を飛び出した。

 代金は肩代わりしておいたけど、この事に気付けばきっとまた会ってくれる。

 あぁ、あたしはこんなにも嫌な女だっただろうか。



 * * *



 そんな気がしていた矢先、学食で姿を見かけた。

 こっちから話しかけようかと思っていると映奈の方から謝罪してきたので、代金を受け取る代わりに日替わり定食を奢って貰う事にした。

 純粋に食べたかった物をリクエストしたら映奈も同じ物を頼もうとしていたのか、食券を二枚出そうとする指先が止まった。



(葛藤してるなぁ)



 多分、あたしと同じ物を頼みたくないんだ。

 黙って眺めていると、ムーっと擬音をつけたくなる表情のままボタンを押した。

――可愛い奴め。



「真宮さんはもう就活は済んだの?」

「一応、内定待ちの状態。ってか、真宮さんって…。ルキで良いよ」

「じゃあ、瑠姫。内定を貰えると良いね」



 向かい合って食事をする事に関して拒否してこない上に、名前を呼ぶ事もすんなりと受け入れられた。

 多分、映奈はあたしの事を警戒していても嫌ってはいない。

 だからこそ、今日は『呪い』については触れないでおこう。わざわざ掘り返す必要もないし、話したくなるまで待てば良い。

 あたしはその時間を手に入れる事が出来るのだと思うと嬉しくなって、映奈のトレイも持って返却口へ向った。



 * * *



 梅雨に入り、気分が滅入る日が続くようになった頃、憎たらしく分厚い黒雲を見上げる映奈は今日もちゃんと女子だった。



「傘、忘れたなら入ってく?」



 暫し悩んだ映奈と並んで歩き出すと、歩く速度が苦にならない事に気付いた。

 傘からはみ出した肩は濡れてしまうが、それよりも隣り合う肩の暖かさが心地良い。



「じゃあ、私はここで」

「家、近いんだっけ?」

「駅から五分くらいかな。スーパーにも寄って帰りたいから」

「それなら、このまま行けば良くない?」

「…大丈夫」



 映奈はトートバックから折り畳み傘を取り出し、前に向って開いた。

 呆気にとられるあたしを無視して、自分の傘の方へ移動すると肩の温もりが無くなり、一気に身体が冷えた気がした。



「久しぶりに話せて良かった。またね」



 今のあたしはどんな間抜け面を曝しているのだろう。

 傘を打つ雨音に混じって、鳴り止まない心臓の音が鼓膜を打つ。

 自分ではどうしようも出来ない胸の熱さに耐えられず、計らずも傘を閉じそうになった。



「やられた」



 * * *



 食欲の秋、読書の秋、実りの秋、スポーツの秋…。色々と連想するものはあるけど、映奈のイメージ的には芸術だろう。

 美術館のチケットを貰った時、一番最初に思いついたのが映奈だった。

 映奈とのLINEが日々の生活に含まれてもう半年も経ったというのにお誘いのメッセージを何度も読み直して、打ち直した。

 断られたらどうしようかと不安になりながらも震える手で送信すると、直ぐに既読が付いた。

  

 

《私で良いの?それなら、喜んで行く》



 君"で"良いんじゃない、君"が"良いんだよ。なんて恥ずかしくて言えないけど、痙攣したのかと錯覚する程につり上がる頬を抑えつけるのに苦労した。



 秋コーデに身を包み、今日も男性の視線を独り占めしている映奈の隣を歩くのは誇らしいような、気まずいような、女友達と出かける時には味わった事のない感覚を抱かされる。 

 背中の後ろで手を組み、絵画を見て回る映奈の姿は見惚れてしまう程に美しかった。

 


「今日はありがとう。とっても楽しかった」

「それなら良かった。じゃあ、帰ろうか」

「ねぇ、瑠姫。今度はどこに行こうか」



 まさか次に繋がるとは思っておらず取り乱すあたしをクスクス笑う映奈を見ていると、男だとか女だとか、魔女の呪いだとか、そんな事はどうでも良くなった。



 * * *



 賑わう町中に一人ぽつんと立っている事に飽きたあたしは吸い込まれるようにゲームセンターに入った。

 映奈みたいに一人で時間を潰すのが苦手だ。誰かと一緒に居た方が楽しいし、時間もあっという間に過ぎる。

 暇つぶしに景品を眺めていると最近愛用しているLINEスタンプのキャラクターぬいぐるみを発見した。

 部屋に飾るには小さく、鞄にぶら下げるには大きい。そんな絶妙な大きさのプライズを取る事にしたあたしは気合いを入れて百円玉を投入した。



(ヤバいなぁ。これ、沼るやつじゃん)



 時間を確認すると、待ち合わせまであと十分を切っていた。

 マズい、マズい――。

 映奈の性格上、十分前行動を徹底して、それを「普通」だと言ってくる。

 マウントを取られるのが嫌なんじゃない。遅刻魔だと思われるのが嫌なんだ。

 やっとの事でぬいぐるみを獲得し待ち合わせ場所へ急ぐと、『大人可愛い冬の清楚コーデ』と紹介されそうな映奈が男性に言い寄られていた。



(また、ナンパされてるし)



「一人ですか?良かったらお茶しません?」

「…いえ。待ち合わせ中なので」

「じゃあ、その人が来るまでの間だけでも。誰を待ってるの?友達?彼氏?」



 あぁ。映奈の表情がどんどん険しくなっていく。

 確かに同性にあそこまで言い寄られると鬱陶しいと思うだろうけど、同性をそこまで駆り立てる魅力を持ってる映奈が悪いんだと思う。



「強いて言うなら彼女かな」



 息ひとつ弾ませずにセリフを言えた自分を褒めてあげたい。

 あたしは映奈の手を取り、足早に歩き出した。



「…ありがと」

「今日もモテモテじゃん」

「別に嬉しくない。…そろそろ手を離して」

「別に良いじゃん」

「離してよ」



 そんな可愛い声で必死に力を込めないと、あたしの腕を振りほどけないの?

 さっきまで男に言い寄られて嫌がってたじゃん?

 じゃあ、女のあたしなら良いんじゃないの?



「瑠姫は同性として私に接してるの?それとも異性として接してるの?」

「そんなの決まってんじゃん」



 そっか。

 これまで映奈は女として見られ、女として接して貰えていたから、あたしと一緒に居る時間が不安なのかもしれない。

 そんな事を言ったら、あたしだって頭と気持ちがこんがらがってる――。



「あたしのキスで映奈の呪いを解いてあげるよ」



 顔を真っ赤に染める映奈は両手を合わせ、目を見開いた。

 いちいち可愛くてイライラする。

 でも映奈に負けないくらい、あたしの顔も火照っているのだろう。



「これあげるから、機嫌直してよ」



 袋を渡すと映奈は中身を確認した後に怒り出した。



「これを取る時間があったら、もっと早く来てよ。ナンパされ損じゃない!」

「それは関係ないね。可愛すぎる映奈が悪いんだよ」



 尚も顔を赤らめ、ぬいぐるみを大切そうに抱きかかえながら歩き出した映奈を追いかける。

 そうだ、大切な事を言い忘れるところだった。



「映奈、あたしと付き合ってよ」

「…へ!?」

「ちゃんと関係性をはっきりさせとかないと、あんた逃げそうじゃん?」

「え、あ、でも――」

「お互いにナンパ避けになるよ~。いちいち断るの面倒じゃん」



 あたしは好きなように生きるんだ。その道を一緒に歩んでくれるなら、見た目が女だろうが、男だろうが関係ない。



「えっと、私、付き合った事ないから、何も分からないよ?」

「大丈夫!あたしも初彼氏だから」

「え…、何が大丈夫なのか、全然分かんないけど――。私で良いなら、よろしくお願いします」



 またしても、あたしの初デート、初告白を奪ったのは映奈だった。

 ついでだからもう一つの初めてを差し出してやろう。

 意を決して映奈の左手を握るとぎこちなく握り返してくれた。

 絡み合うそれぞれの指が心地よく、不思議と安心感を感じる。

 周りから見ると女同士で恋人つなぎをしている事になり、偏見を持たれるかもしれないけど、あたし達は特別な関係になったんだ。

 それを主張して何が悪いんだよ。お前達だってそうやって握ってるじゃん。



「…瑠姫」



 自分の想いとは裏腹に周囲の目を気にしていたあたしは映奈に手を引かれ、車道側から歩道側へ移動させられていた。



「自分から車道側を歩くの初めて」



 このタイミングでそんな笑顔を向けられると呼吸を忘れてしまいそうになる。

 あたし達は友達ではなく、恋人として初デートに繰り出した。




 あたしには好きな人がいる。

 その人は可愛くて、賢くて、女の子らしいけど、たまにカッコイイ男の子。



「そのぬいぐるみ、ちゃんと部屋に飾ってあるかチェックに行くからね」

「えぇ!?うちに来るの!?」

「当たり前じゃん。キスしないと呪いが解けないでしょ。それからさ…」



 可愛らしく小首をかしげる映奈の耳元に口を近づける。



「君"で"良いんじゃない、君"が"良いんだよ」



 映奈の呪いを解きたい。

 でも解けなかったとしても、あたしはずっと彼の事が大好きだと思う。

 そんな今日この頃です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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※今年中に連載版を投稿する予定です。

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