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突然ですが、神話の時間です。

 カルパート山脈は弧を描くように連なる山岳地帯の王国側の呼称で、急峻な峰々は荒れ狂う風や攻め入ろうとする外敵を遮る盾であり、多種多彩な植生と豊富な地下資源を蓄える宝の山だ。建国以来300年、創世神話から数えれば千年以上にわたって人々に恵みを与え、見守ってきたカルパート山脈は別名「神龍の山」。始まりの女神の眷属(けんぞく)たる神龍が守護する聖地として信仰を集めている地でもある。


 神話に曰く――。


 始まりの女神は世界をお創り(たも)うた後、しばしの眠りにつかれた。女神がお眠りになったことで太陽も空高く昇ることをためらわれたので、世界は(くら)くなった。すると、


「女神は我々を見捨てられた。もう太陽の照ることはない」


 (よこしま)存在(もの)が人心を惑わし、人々は始まりの女神への信仰を捨てた。信仰を()つ正しき人は土地追われて森に去り、世界は邪心に満たされた。

 眠りから目覚めた女神は、世界が邪心で覆われていることにお嘆きになられた。女神が流された涙は天に()まう龍を呼び、大いに怒った龍は穢れた世界を聖なる火で焼き尽くして邪の存在を浄化した。

 世界が正しいありように戻った後、女神は人々の心が清らかなるか邪なるかを見定めるよう龍に命じ、天に戻られた。


 龍はその身を横たえて世界を隈なく見渡し、女神から授かった輝く眼で人の世を見定めている。もし人心の悪なれば、龍の猛き声と業火がふたたび世界を焼くであろう。





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