7.残業後に廊下へ出ると、きのこが先輩社員におすすめレビューをしていた。
梅雨の夜。
出張帰りで書類仕事を済ませたら、最後のひとりになった。
電灯を消して廊下へ出ると、非常灯の明かりの下、先輩社員がきのこからおすすめレビューをされて泣いていた。
「お、俺、こんないい話、はじめて、読みました」
「そうでしょう。あたしゃ、アンタの為の話だと思ってね」
「は、はい!SSRでムキになってばかりで…」
「娘さん、いるんでしょ?」
「う、ううう…」
「カード決済だから、大丈夫ってわけじゃないですよぉ」
「お、俺はこんな…」
狭い廊下で、僕は先輩社員の背後をそっと通り抜けようとした。
その瞬間、肩を掴まれた。
「なぁ、お前も読めよ!スマホ、いつも見てんだろ⁈3,914文字で、今の俺を救った物語をよぉ!」
「いや、そんなに見てない…」
非常灯の緑色の明かりに照らされた、先輩社員の顔が僕に近づいた。
その後ろできのこが、
「読んだら、助けますよ…」
と言って、けたたましく笑った。
《レビュー作品》
「ガチャ依存症の夫と排出率100%のウサギちゃんᕱᕱ」
https://ncode.syosetu.com/n3524gs/
タイトル通りの内容なんですよ…!でもいい話なので、読んで!と思い、泣く人も入れてきのこにレビューさせました。
タイトル回収されるけど、このあやしさをどう示せばと悩んで書いたレビューですが、画面で見た夏のホラー企画の影響のせいか、ホラーっぽい仕上がりに。