1.バス停で待っていると、きのこが、おすすめレビューして来た。
梅雨前線が天気図に現れた日。
雨の中、買い物袋を下げて、僕はバスを待っていた。
屋根を叩く雨音。その合間に話しかけてくる、きのこ。
「だから、そう上手くいくわけないって、あたしゃ言ったんです。それなのに、あのガソリンスタンドのオヤジったら、いけるいける!って。」
「……はあ、そうなんですね。」
「そりゃあ、水着には勝てませんよ。でもねぇ。」
「このタイトル長いですね。」
「中盤くらいに回収してますよ。」
「クライマックスじゃないんですね。」
「そこがオツってもんよぉ。」
きのこは、僕の買い物袋をぺしぺしと叩くと、ひとりで笑っていた。
「とりあえず、読みますから。3,485文字ですね。」
僕はきのこと話しているのを他の人に見られてしまわないか、ひやひやしていた。
「あ、よござんすよ。ただ、読まないと枕元にきのこ生やしますからね。」
きのこは、そう言うと、そのまま雨の中に消えて行った。
《レビュー作品》
「ガソリンスタンドで三時間待たされた挙げ句何故かハゲたオヤジが泣きながら俺の車を洗車してるんだが誰か説明頼む」
https://ncode.syosetu.com/n2356gy/
タイトル出オチが凄いけれど、内容がなんだかわからないぞというこの味わいを残したく捻り出したのがきのこレビュー。
梅雨入り前だったので、きのこいるよね。という安直な決定で作りました。