第五十九話 出撃
緊急事態のため俺は、ノックになしに学園長室の中へ。
すると、少し涙目になっている学園長が俺を見て、
「ゆ、勇者様~」
俺の事を呼んできた。
「つい先ほど王より伝令があり、勇者様方にご尽力をいただきたいとのことです」
「勇者と言うは俺達の事でいいのですか?」
「はい、もともと勇者様方をお呼びになったのは王にございます」
そういえばそうだった。
「その王より直々に勇者様方にお願いしたいと書状も届いております」
学園長より一枚の手紙を受け取った。
そこには確かに俺達にこの窮地を救って欲しいことが書かれており、王の印が押されていた。
手紙を読んだ俺は、
「分かりましたこの依頼お受けいたします」
「ありがとうございます。ただ少し気掛かりがございます」
「気掛かりですか?」
俺にも思い当たる節がある。
たぶん俺以外の二人も同じことを考えているんではないだろうか。
「それって元勇者達の事ですか?」
ミリアリアが言うと、
「そうです。王より手紙が届いたとき、偶然副学園長もこのお部屋におりました。その際にこの手紙を見られてしまい」
「そう言うことですか」
副学園長の事だ、勇者の事をゼルドリス達の事だと勘違いして、飛び出して行ったんだろう。
そして今、俺達が聞いた話と似たようなことを聞いているんじゃないかと思う。
そして、あのバカのことだ、俺達にしかできないとか、手柄を上げて知名度アップとか考えていそうだな。
「それはかなりまずいですね。今回攻めてきているのは魔物だけでなく悪魔族、しかも幹部クラスの者がいます。たかが一介の冒険者では相手にすらならないですね。いくら憎い相手でも死なれると目覚めが悪いので見つけたら学園に避難するように言いますが、話なんて聞かないでしょうね」
「そうでしょうな」
学園長はため息交じりに言った。
俺も学園長と同じ気持ちでいたために何とも言えない。
「とりあえず教師の皆さんには生徒達に護衛をお願いいたします。決して街に出ないようにしてください。それと、国の騎士団には悪魔族に手を出さないようにと、どうしようもなくなった時は、攻撃をせずに防御に徹するようにと王様にお伝えください」
「分かった」
「後は俺達で何とかしますので」
それだけ言って俺達は学園長室を出た。
向かう先は街、目的は悪魔族の全滅。
その道中、
「勇者様、作戦はどうしますか?」
ミリアリアからの質問、
「学園を出たら三手に別れる」
「別々に行動するの?」
「ああ、探索のスキルを使ったところ悪魔族の数もそうだが、侵入してきている魔物の数がやばい。固まって行動していたら取り返しのつかないことになるだろう」
「分かった!」
悪魔族の声がしたときに、探索魔法で街中を探っていた。
その際に、感じた魔物気配は一万や二万ではなくそれ以上、国の騎士団でも対処できないだろう。
それに、魔物達に交じれて複数の悪魔族が街の中に侵入してきていた、ミリル村での依頼の時の数の数倍以上の数、それに合わせて街の外にかなりやばい魔人族が複数いる。
状況だけ見たら最悪すぎる。
それでもやらないといけない。
そう思い俺達三人は三手に別れて街へと出て行くのだった。
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