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第五十三話 野外授業1日目 4

 俺達が先頭にでて暫くは、何事もなく森の中を進んでいる。

 その道中、俺達三人は探索魔法を使いながら周囲を警戒していた。

 いくつかの魔物の反応はあるが、俺達に近づいて来ようとしない。

 理由は簡単、俺は威圧の魔力を出しているからである。


「スレイブお兄様、そんなに威圧をしていますと魔物達が近づいてきませんよ」

「それでいいんだよ。下手に近づいてこられても面倒なだけだし、俺達の監視役はあれだしな」


 その言葉で二人は全てを悟った。

 だが、今のまま魔物が出てこないのも授業にならないし、少し圧を下げるか。

 

 出ている魔力を少し下げる。

 すると、周囲にいた魔物達が俺達に気づき向かってくる。


「三体! 一体ずつ対処するぞ」

「分かりました。私が右の魔物を借ります」

「なら私が左ね」

「残った真ん中が俺だな」


 二人は遊び感覚で向かって行くようで、いつもの緊張感を感じない。

 それなら俺もと、本気の百分の一に力で戦おうと思いながら剣を抜く。


 向かってくるのはイノシシの魔物で正面からくる。

 それに対して待ち構えると体勢の俺と、イノシシの魔物に向かって行く二人。

 完全に楽しんでいるな。


 俺達はイノシシの魔物を一撃で倒してしまう。


「弱いな」


 流石にこの程度の魔物に手こずったりしないか。

 だが、三人そろって一撃で倒すのはやりすぎたかな。

 後ろにいる他のクラスメイト達から何かを求めるような視線を感じる。


「凄い!」


 一人のクラスメイトが叫んだ。

 それと同時に、勇者達とレイドのチームメイト以外のクラスメイト達が俺達を囲むように集まってくる。

 クラスメイト達は口々に、どうやったらそんな風に戦えるのかとか、もっと見てみたいなどと言ってくる。

 少しびっくりしたが、嫌な気持ちにはならなかった。

 ミリアリアにアスナはそんなクラスメイト達に戸惑ってはいたが、なんだか楽しそうであった。

 そんな俺達に比べて、後ろにいる勇者達は、俺を睨んでいる。

 まあ考えていることは容易に想像がつくが、無視しておくことにする。


 そして俺達の番も終わり、次のチームへと変わる。

 それから数回チームも変わり、空が暗くなり始めた頃、


「そろそろ夜営の準備をしようか」


 ゼルドリスがクラスメイト達に指示を出す。

 その指示に従い、チームごとに焚火の用意をする。

 薪は森に落ちている物を拾い集める。

 これも授業の一環のため、助けはない。

 まあ助けを求めても、勇者達に聞いたところでろくな答えも返ってこないだろうがな。

 そのことは他のクラスメイト達も分かっているらしく、自分達で試行錯誤しながら薪を集めて焚火を始めている。

 夕食に関しては、事前に配られている干し肉とパンを全員で食べる。


「食事が終わったチームは夜の監視役の当番を決めて寝るように。明日も早いからしっかり疲れを取れよ! これも授業の一環だからな」


 俺達のチームは俺が監視役をすることになり、二人にはゆっくりと休んでもらうことにした。

 別に監視役なんて決めなくても聖域の結界を使えば魔物を寄せ付けないことくらいなら出来る。

 だが、勇者達が何かをしてこないとも限らないし、一応のため起きておくことに。

 

 それから、各チーム一人ずつ起きているが何も話さないためとても静かだ。

 その間に俺は明日の事を考える。

 明日はダンジョンの中での授業となる。

 一階層だけとは言え、森の中の魔物達よりも強く、今日と同じ気持ちで挑めば痛い目を見ることになる。

 それだけは避けたいが、監視役が監視役な為に期待は出来ないだろう。

 今日と同じく、俺達三人で常時警戒をしておく必要があるだろうな。

 

 などと考えていると、何処からか声が聞こえてきた。

 辺りが静かなため、小声で話しているんだろうがここまで聞こえてきている。

 声の感じからゼルドリスとクラスメイトのレイドであることはすぐに分かった。


「レイド、今日は素晴らしい戦いだったな」

「ありがとうございます」

「だが、あいつらは何もこたえていなかったがな」

「そうですね。勇者様に口答えをしたりと本当に失礼な奴らですね」

「そうだろう。出来損ないが力を付けたからっと言って、少し調子に乗っているんだ」

「ですが、明日のダンジョン探索では誰がこのクラスで一番かハッキリするでしょう」


 聞きたくなかった。

 少しは昼間の事を反省でもしてくれている物かと思っていたが、そんなことはなかった。

 少しでも期待した俺がバカだったのだ。

 俺は、明日の事を考えてため息をつきながら静かな夜を一人堪能していた。

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