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第二十話 戦闘開始

 村人を救い出してアジトの出口まで見送った俺達は、再び中へと入っていく。


 そして今は、最初に右へと進んだ分かれ道へとやって来ていた。


「勇者様どちらへ進みますか?」


「左だ!」


 俺の言葉に頭を縦に振る二人。


「ただ、左の道を行ってすぐに戦闘になる。準備だけはしておいてくれ」


「分かった」


「分かりました」


 二人の答えを聞き、俺は先へと進んでいく。


 そして、


「人間か」


 俺達を見てそんなことを言ってきたのは、一人の悪魔族であった。


 今までに会ってきた連中よりも体格はよく、腰に剣を下げている。左手に盾を持つ悪魔族の男。


「人間は皆、あの部屋に収納してたんじゃないのか?」


「その人間達なら全員逃がさせてもらったよ」


 悪魔族の眉がピクリと動いた。


「面白いことを言うな。さっき、管理役の奴が見に行ったところだぜ。もしそんなことがあったのならそいつは今頃死んでいるだろうよ。それは今から死ぬお前らも変わらないことだがな」


「いえいえ、助け出したのは俺達ですし、その管理役の者なら殺しましたよ。流石にあそこまで弱いとは思わなかったがな」


 俺の言葉を聞いて笑い出す。


「おいおい、冗談を言うな。笑いすぎて腹が痛くなるだろうが。俺達が劣等種の人間如きに負けるわけないだろう。まあそのことに油断して、アジト内にお前らを通した入り口の監視役には、後で注意が必要だがな」


「そいつらならもういないぞ」


「はあ~?」


「私が倒しましたからね。つまらない戦いでした。あなたは私を楽しませてくれるのですか?」


「倒しただ! ふざけるなよ! たかが人間がなめて事を言う」


「なめてなんてないさ。ただ、俺達はお前ら全員を倒しに来ただけだからな」


「……」


 悪魔族の男は少しの沈黙の後、


「やれ!」


 その一言だけを放った。


 すると、物陰に隠れていた他の悪魔族が三人現れる。


「勇者様! 私に任せてもらえますか?」


「わかった。全力を見せてくれるんだろう」


「勇者様がそれをお望みなら」


 俺はあえて目の前の悪魔族に聞こえるような声で話していた。


「ふざけやがって。お前達は俺達に滅ぼされる存在であることを教えてやる」


 そういうと、三体の悪魔族が襲い掛かってくる。


 それに対して剣を構えて待ち構える体勢のミリアリア。


「臆したか」


「いいえ」


 それは一瞬であった。


 ミリアリアが正面の悪魔族に向かって剣を一振り。すると、三体の悪魔族が胴体真っ二つになる。


「!!」


 驚きのあまり、何も言ってこない。


 だが、驚いているのは悪魔族だけでなく俺や、アスナも同じであった。


 かなり強いと思っていたがまさかここまでとは思わなかった。


 たった一撃。しかもその一撃の速度は、目で追えるギリギリの速度であった。早すぎて常人では目で追うことどころか、何も起きなかったとさえ感じられるだろう。


「スレイブ、今一体何が起きたの? 私にはミリアリアが何をしたのか分からなかったんだけど」


 アスナでもこの反応だ。もしも俺みたいな奴がいなければ、確実にこの世界で最強の一人だったんだろう。


「剣撃だ。それだけで三体の悪魔族を倒したんだ」


「剣撃ですって。私にはミリアリアがそこにただ立っていたようにしか見えなかったんだけど」


「そうだと思うよ。それは目の前にいる悪魔族の男もそうだろう。俺だって目で追うので、精一杯だったからな」


 アスナは口には出さなかったが、「スレイブでも!」、みたいな顔をされた。


「だからこそ彼女は勇者パーティーに選ばれたんだろうな」


「二人とも何を呑気に話しているのですか!」


 俺達の話声が聞こえたみたいで少し怒っているようだ。


「そんなことよりも前の奴に気をつけろ」


「分かっています」


 俺と会話をして隙を見せた所を付き、攻撃を仕掛けてきた悪魔族の男。


 だが、殺気丸出しの攻撃がミリアリアに当たることはない。


「何故だ!」


 その光景に驚いている。


 それもそのはずである。ミリアリアは体格差が二倍近くもある相手の攻撃を、軽々と受け止めているのだ。誰であろうと驚くだろう。


 この悪魔族の男は自分の力にかなり自信があったようだからかなり驚いている。


「軽い一撃ですね」


 ミリアリアの放ったこの一言がより悪魔族の男を怒らせることになった。


「俺の攻撃が軽いだ! 手加減をしてやっていれば調子に乗りやがって!」


 歯をむき出しにして怒り出す。


 そこから悪魔族の連続攻撃が始まった。


 その攻撃の全てにかなりの力が込められており、常人ならその攻撃一つで腕の骨が砕け散るだろう。それほどに重い攻撃だ。


 その攻撃を軽やかに受け流しているミリアリアは見事としか言えない。


 しかもそんな中にかなりの余裕を感じる。


「この程度ですか、期待して損しました」


「……」


 ミリアリアの言葉に対して悪魔族の男は何も言い返せない。


 それはそうだろ。全ての攻撃を受け流されたうえに、いまは反撃を受けている。


 そのうえ防戦一方、もう攻撃を仕掛けることが出来ずにいる。


 そして少し顔がゆがんでいるな。


「ここで俺を倒してどうする」


「どうするってなんですか?」


「この先には俺なんかが足元にも及ばないやつがいる。人間ではどうやっても敵わない」


「それはやってみないと分からないだろう」


「いや分かる。お前達では無理だ」


「ならどうだって言うんだ」


「今ならまだ見逃してやる」


 俺の言葉に冷静に答えを返せるところを見るとまだ何かかを企んでいるな。


「どうするのですか?」


「倒していいんじゃないか? そいつの言葉を信じる意味もない。それにこんなところで体力を消耗しても仕方がないしな」


「そうね」


「!!」


 ミリアリアは返事をする。それと同時に、目の前にいる悪魔族の男を一刀両断で倒したのだった。

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