表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/64

第十六話 戦闘開始

 村長に呼ばれて村の入り口まで来ると、ローブで顔を隠した男が一人。


 その男は、


「今日の食物を早くしろ! じゃないと村人を一人殺すぞ! そう~だな~。そこの女だ! もし、後十分以内に持ってこなかったらそこの女を殺してやる」


 そんなことを叫んでいる男が不意にこっちを見てきた。


 男と目が合う。


「お前!」


 俺のいる方を指さして叫んでくるので誰かいるのかと後ろを見てみる。


 すると、


「お前だ! 何ふざけたことをしている」


 別にふざけたわけじゃないんだけどな~? ただ、もしかしたら俺の後ろに誰かいて、その人を指さしたのだと思っただけなのだが。


「ふざけていないさ。ただ誰のことを言っているのかと思ってな。俺とお前は初対面だろ、そんなお前がまさか俺のことを呼んでいるなんて思わないじゃないか」


 少し笑いながら言うと、


「何がおかしいんだ! 考えが変わった! お前からだ!」


「何がだ?」


「お前を先に殺すと言っているんだ。食べ物を後五分で持ってこなかったら殺してやる」


「そうか! 村長、持ってくる必要ないですよ」


 俺の言葉に笑い出すローブの男。


「おいおいガキ。お前、そんなに死にたいのか」


「いや、どうせ戦うんだ。持ってくる必要もないだろう」


「どうせ戦うだ~? たかが人間、しかもガキが何言ってやがる。俺がお前なんかに負けるわけないだろう」


「それはやってみないと分からないさ」


 俺が面白がって挑発すると、


「分かった。お前がそのつもりならすぐに殺してやる。やれ!」


 男の叫びと同時に、背後よりオオカミ型の魔物が現れた。


 魔物達は他の村人のことは完全に無視。俺目掛けて一直線に向かってくる。


「スレイブ様!」


「スレイブ!」


「手を出すなよ」


「ええ」


「分かっているわよ」


 俺は、腰に下げている剣を抜き、魔物達へと向かって行く。


「死ね」


 男が叫ぶ。


 だが、


「この程度か」


 魔物達は一瞬で真っ二つになって消えていった。


「俺のボルフ達を一撃だと! 少しやるようだな」


 ボルフとは、オオカミ型の中位クラスの魔物。全身真っ黒で、目だけ赤く光っているのが特徴的。攻撃的な性格で、獲物を見つけると一直線に向かって行き捕食する。初心者冒険者の天敵とされており、致死率の半分くらいがこの魔物によるものだと言われている。


「少し……か。この程度なら何匹来ようと関係ないな」


「なら」


 また複数の魔物を出してきた。


 今度は……、蛇の魔物だな。


 だが強さ的にさっきとそう変わらないように見える。


「懲りないな」


「なめるなよ。硬化!」


 付与系の魔法か。しかも防御力アップの魔法。


 でも、


「やわらかいな」


 俺はまた、いとも簡単に切って見せた。


「この程度の魔物ならいくらでも倒せるな」


「なめるな~!」


 男は俺に目がけて、魔法を放ってきた。


 複数の属性魔法。火に水、それと雷の三属性。


 その全てが俺目掛けて飛んでくる。


「試したいことがあったからちょうどいいな」


 魔法のレベルは中級程度。


「この程度でいいか。聖域結界」


 俺は魔法が飛んでくる方に目掛けて結界を展開した。


 無色透明の結界は相手にも、後ろにいるミリアリアとアスナにも見えていない。


「逃げないのか人間」


「その必要がないからな」


「そうか。勝てないとあきらめたわけだな」


「いや、違うが」


「何を言って……」


 ちょうど先ほど張った結界に魔法がぶつかり消えた。


 俺に魔法が当たったと思った男は、俺が無傷であることにかなり驚いている。


「何をしやがった」


「ただ防いだだけだよ」


 俺の言葉に対して、


「面白い。少し痛い目を見せてやるだけのつもりだったがもうやめだ。せっかくタダで飯が食えるいい村だったが今日でそれも終わりだな。お前ら皆殺しにしろ!」


「そうか。だが既にお前の魔物達はいないぞ。この世にはな」


 そう、男が皆殺しと言った瞬間、後ろにいた二人が魔物達を全滅させていた。


 気配を完全に消していたため、そのことに気づかなかったのだろう。


 それに全ての魔物を瞬殺。声すらあげさせずに倒すなんて驚いた。


 ミリアリアなら出来ても不思議では無いが、アスナまでも出来るとは。


「お前何をした!」


「俺というよりも俺の仲間だな」


「は~?」


「スレイブ! さっさとその男を倒しなさい!」


「任せました」


 二人が男を倒せと言う。


「決着つけようか。出来れば無傷で捕まえたいし降参してくれると助かるんだけどな」


「するわけないだろう。俺を誰だと思っているんだ!」


「誰なんだ?」


「……」


 まあ言えないわな。


 俺が唯一分かっているのは人ではないと言うこと。体から出ている魔力の感じからしてこの世の物ではない。


「言えないのか! そらそうだよな。人間じゃないんだからな」


「どういうことですか! スレイブ様」


 俺の言葉に対して反応を示した村長。


「正体までは分からないが、人ではないだろうな」


 俺が村長と話すため、一瞬目を離した隙を付こうと襲い掛かってくる。


 しかも物凄い殺気が籠っている。


 だが殺気を出しすぎだ。


「死ね~! 人間!」


「やだよっと」


 男の攻撃をはじき返す。


 すると、標的を俺でなく村人へと向ける。


 だが、


「やめときな」


 狙いが分かった俺は、それだけ言う。


「お前一人殺せなくても他の者達なら出来るだろう」


「やめとけって」


 俺は男の目の前に一瞬で移動して見せる。


「何をした」


「移動しただけだ!」


 バカにされたと感じたのか、俺目掛けて連続で攻撃を仕掛けてくる。


 それをひらりと躱しながら観察し正体を探ろうとするも何もつかめない。


「そろそろ終わらせようか」


 俺は男の背後に回る。ミリアリアに指摘された殺気を出さないようにする。


 目の前から消えた俺を探す男に対して俺は、打撃を一撃与えて意識を奪い取った。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」

と思ったら

下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!

ブックマークすると更新通知が受け取れるようになります!

ブクマ、評価は作者の励みになります!

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ