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第一話 追放

新連載スタート! 暫く連続投稿します。

 俺は今、勇者パーティーの仲間達と一緒に、ダンジョンへとやって来ていた。


 いつも通りの冒険者ギルドでの依頼。


 その依頼を難なくクリアした。


 そこで、この勇者パーティーのリーダーであるゼルドリス=フレッスクがメンバー全員に向かって話始めたのだ。


「今日も余裕だったな」


 何気ないいつも通りのセリフだと俺は思ったのだが、ゼルドリスが次に放ったセリフを聞いた俺の頭は、真っ白になった。


「それでだ、俺はこのパーティーに邪魔な奴がいると思うんだ。それが誰か、皆は言わなくても分かっていると思う」


 なんとなく理解はしていた。だがそのことを考えないようにしていたが、とうとうこの時が来たのかと思った。


「そうだな、スレイブ!」


 そう、俺、スレイブ=アストレイのことである。


「お前の持っているスキルは役にもたたない。今日だってそうだ。スレイブ、お前は何をした? 何もしていないよな。そのくせ報酬だけは全員と同じようにもらう。どうだ!? 不公平だとは思わないか? 思うよな。俺達他のメンバーが死ぬ思いをしながら魔物と必死に戦っているのに、お前だけ呑気に後ろにいるだけ、どれだけ邪魔な事か、その上、お前が危険になったら俺たちの誰かが助けないといけなくなる。そのせいで貴重な戦力が一人欠けるんだ。どれほどのマイナスになるか、お前は考えたことあるか? ないよな。そろそろ俺も限界なんだ。だからさスレイブ、このパーティーから出て行ってくれないか」


 勇者パーティーのリーダーであるゼルドリス=フレッスクは、世界に十人しか持っていないと言われるスキル、剣豪を持っている。その攻撃力と技術は他の冒険者を圧倒している。戦闘では、両手に持つ二本の剣で、目の前にいる魔物達を倒して行く。その上、補助として火魔法を使い、敵をほんろうして戦う。街では既に敵なしの最強冒険者として名も広まっていた。


 それに比べて俺の持つスキル『聖域』は、どんな状態異常でも回復させることができると言う物だ。ただそれ以外のことは出来ないし、俺もそれ以外のスキルを持たない。そのために戦闘にも参加することが出来ないのであった。だが、俺だってこの国の国王様に選ばれた勇者パーティーの一人、そう簡単に引けない。


「確かに、俺は足手纏いかもしれない。だけど、俺だって王様に選ばれたこの勇者パーティーの一員なんだ。今後活躍する機会が絶対あるはずだ!」


「あるわけないでしょ!」


 俺の言葉に対して反論を投げたのは、勇者パーティーの一人、ラミア=ミクセルだった。ラミアは、結界魔法の使い手でパーティーの守り担当。野営時にはモンスターをパーティーに近づけないなどの役割を持っている。青い瞳に青色の長い髪を持ち、いつも白いマントを羽織、手には木の杖を持っている。


「いままでの依頼の中であなたがパーティーの役に立ったことがあった? 無かったですよね」


 ラミアがここまで言ってくるのは、今までなかったからか、すごい迫力を感じる。


 それに、


「そうね、ゼルドリスとラミアの言う通りね。あなたがいたらこのパーティーの空気も悪くなるし、私達が背負っている使命を果たすにも支障が出るわ」


 次に声を発したのは、クリス=ヒサテックであった。実力はトップクラス、世界で数人しかいないと言われる全属性魔法を使うことが出来る魔法師だ。後方から仲間の援護に徹し、所有している魔力量は、この世界の魔法師の中でも五本の指に入るのではないかと言われている。赤い瞳に赤色の長い髪を持ち、その髪を左右で束ねているのが特徴だ。


 俺は、クリスの言った使命と言う言葉に少し引っかかるところもあったが、下手に突っ込むとより反感を買いそうなのでやめておいた。


「だが……」


 俺が言葉を発しようとした時、


「何か文句でもあるの? あなたが私達に何を言うつもりなのかしら?」


 俺の言葉を止めたのは、セルカ=ハーモニアであった。弓使いでその精度は百発百中。矢にエンチャントの魔法で属性効果など、さまざまな効果を付与し、魔物の急所を突き、的確に倒して行く。その腕を見込まれて勇者パーティーへと加入した。緑の目と緑色の長い髪を持ち、その髪を後ろで束ねている。背に弓と矢を背負い、両手にはいつも黒い手袋をつけているのが特徴だ。


 まさか全員からここまで言われるとは思っていなかった。


「皆の言い分は分かった。でも王様が無能な奴を選ぶわけがないだろう。だから、俺にだって大切な役割があるはずだ!」


「そうかもな。だが、それは俺達のパーティーではないな。それはスレイブ、お前だってわかっているだろう」


 そのことについては俺も理解していた。このパーティーには回復魔法の使い手がもう一人いる。アスナ=レイリア、彼女は女神に認められた治癒魔術の使い手で、どんな傷でも一瞬で癒すことが出来る。王都でも彼女の治癒の力は皆知っており、聖女と呼ばれている。黒い目に黒く長い髪を持ち、整った顔立ちは女神ですらも敵わないのではないかと言われるほど美しい。道を歩けば皆一度は彼女へと視線を向ける。それ程に美しい美貌の持ち主だ。


 そんな彼女に比べて俺は、状態異常しか治すことが出来ない。だがそれ以外に、ダンジョンのマッピングや荷運び、それにパーティー全体に状態異常系の攻撃を無効化できるように聖域を付与していた。


 だが彼らがそのことに感謝することはない。気づいてすらいないだろうからな。


「皆さん! 好き勝手言い過ぎではありませんか!?」


 俺をかばう声を上げてくれたのは、俺と同じ回復系の魔法を使う聖女、アスナ=レイリアだった。


 だがなぜ、彼女が俺のことをかばってくれるのか?


「アスナ! 何故こんなどうでもいい奴をかばうんだ?」


 ごもっとも。俺はこのパーティーを組んでから一度もアスナと話したことがない。俺達より年が一個下であるため少し話しにくくもあったが、それ以上に俺が話しかけようとすると、彼女はどこかへと言ってしまうのだ。そのために一度として話したことがなかった。


「君はスレイブのことを一番嫌っていたのではないのか!?」


 ゼルドリスの言葉に対して俺も納得してしまったのだ。


「何を言っているのですか?」


「え!」


 彼女の返した言葉に対してびっくりしてしまった。


「彼は、必ずこのパーティーに必要になる存在です」


「何言っているのよ! あなたが女神様から力を得た存在だと言うのは知っているし、色々な人から特別扱いを受けていることも知っているわ。そんなあなたが、そんな出来損ないのお荷物をかばうなんて信じられないのだけど」


「ラミアさん、何故そんなことを言うのですか?」


「アスナ、私達は意地悪とかで言っているわけじゃないのよ。これは彼のためでもあるのよ。パーティーに力を持たない彼がいたって何もできない。それどころか、命を落とす可能性だってあるの。私だって彼を四六時中に守ってあげられるわけでもないですしね」


 二人の言っていることにも一理ある。だけど俺にだって目標がある。両親との約束だってある。


「俺だって今のままでいいとは思っていない。だからこそ縁の下の力持ちとして必死にやってきた。そのためゼルドリス達は何も考えずにダンジョン攻略に挑めていたはずだ!」


「お前が縁の下の力持ち? は! 何を言っているんだ!? 俺達がお前の力を当てにしたことが一度でもあったか? なかったよな。当たり前だ! 俺達がお前の力に頼ることなどありえないのだからな! 俺達がここまでやってこれたのは俺達の力であって、お前の力ではない。無能が何を言っているのだかわからないが、寝言は寝てから言ってくれ」


 その言葉を聞いて何を言っても無駄かと思ってしまった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

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