コント「工場の技術」
舞台…町工場
配役…工員=ボケ 工場長=ツッコミ
工場で工員と工場長が会話している。二人は作業服で、軍手をはめている。
工員 「工場長、話ってなんですか?」
工場長「なぁお前、うちの工場の研磨機のことどう思う?」
工員 「はい、研磨技術は製品の品質を左右する重要な技術です。その点うちの研磨機の性能は日本一だと思います!」
工場長「その研磨機でお前、自分の爪磨いたそうじゃないか」
工員 「…はい」
工場長「何やってんだお前!うちの研磨機でネイルやってんじゃねえよ!ちょっと爪見せてみろ」
工員 「え?」
工場長「どんだけ磨いたか確認するから、軍手とれ」
工員 「はい(軍手を外す)」
工場長「(爪を見る)まぶしっ!どんだけ磨いてんだよ!?もうこれ爪じゃねえ、鏡だ鏡」
工員 「良く磨けてますよね」
工場長「なんで嬉しそうなんだよ。(爪を見る)10人のオレがこっち見つめてるよ気持ち悪いな。工場の設備でネイルするなよ」
工員 「でも、達成感があるんです。風呂に入ってピカピカになった手足を見ると、疲れがとれるんです」
工場長「足もやってんのかよ!?」
工員 「すいません」
工場長「もうやるなよ!あとお前、うちの旋盤についてどう思う?」
工員 「はい、切削加工は製品の品質を左右する重要なものです。その点うちの旋盤の性能は日本一だと思います!」
工場長「その旋盤でお前、カツオ節削ったそうじゃないか」
工員 「…はい」
工場長「何してくれてんだお前!?」
工員 「でも、うちの旋盤でカツオ節を削ると薄く削れて、向こう側が透けて見えるんです。そうなったカツオ節はもはやカツオ節じゃありません、天女の羽衣です」
工場長「変なキャッチコピーつけんな!」
工員 「でもこのカツオ節本当にすごいんですよ」
工場長「知ってるよ。お前、この前オレん家でやったタコ焼きパーティーにそのカツオ節持ってきただろ?あれはすごかった。とんでもねぇ躍動感でカツオ節が踊るんだよ!」
工員 「ね、すごいですよね?」
工場長「あの後オレ、あのカツオ節を求めてスーパーを駆けずり回ったよ。どこの会社で作った奴だろうって。まさかうちの工場製だとはな!とんだ盲点だよ」
工員 「そこまで言われるとなんか、照れるっていうか…」
工場長「褒めてねぇんだよ!もう二度とやるなよ。分かったら作業戻れ」
工員 「あと、うちのカッターの性能も日本一だと思います!」
工場長「そんなこと聞いてないだろ!いいから戻れ」
工員 「あと、溶接も大切な技術だと思いますが、その点うちの技術は日本一だと思います!」
工場長「…さてはお前、他にも何かやったな?」
工員 「あれ?工場長、僕が何やったか気づいてないんですか?」
工場長「悔しいけど思い当たらねぇ。何やったんだ言ってみろ。怒らないから」
工員 「はい、休憩室にあったポテチの袋をカッターで開けた後、溶接して閉じました」
工場長「マジか!?えっどのポテチ?」
工員 「今日の休憩中に工場長が開けてたあれです」
工場長「全然気づかなかった!神技じゃないか」
工員 「はい。そして、こんなすごい技術がそろったこの工場は日本一だと思います!」
工場長「お前が日本一だわ!」