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ハイスペック園児 まさや君 其の2

作者: あきらさん

「クスッと笑えるシリーズ第10弾」です!

こちらも前作で好評だったので、1話完結スタイルで連載していきたいと思っています!

 また今日も、まさや君との戦いが始まろうとしていた。

 そう!もはや私にとってまさや君とのコミュニケーションは、戦いなのである!

 保育士という仕事がここまで過酷だとは思いもしなかったが、まさや君が立派に成長するまでは、やっぱりこの仕事を辞める訳にはいかない!

 私は自分にそう言い聞かせながら、今日もまさや君の質問責めに立ち向かうのであった。


「ねぇ、より子先生。どうしてより子先生は坊主にしないの?」

「今日は遅刻したけど、ちゃんと反省しているからよ」

「ふ〜ん……そうなんだ。ボクにはそうは見えないけどなぁ……」


 まさや君の質問はいつもキツイ……

 質問もそうだけど、答えた後の一言が意外と心に刺さるのだ。

 こう見えて私も、生身の人間だ。

 出勤前にお腹が痛くなる事も、たまにはある……


「ねぇ、より子先生。今月のお給料、生活費以外は何に使ったの?」

「新しいパソコンを買ったわ」

「ふ~ん……そうなんだ。出会い系でもやるのかなぁ……」


 全否定出来ないのが悔しい所だ……

 だが正確に言うと、出会い系はスマホでしかやらない。

 もっと言うと、まさや君が入園して来てから、そっちの世界に手を出してしまったのだ……


「ねぇ、より子先生。先生は何のお花が好き?」

「ヒマワリよ」

「ふ~ん……そうなんだ……………

 実はボクも……………………………

 ……………………ヒマワリなんだ」


 そんな露骨に落ち込まないで欲しい……

 先生と一緒がそんなに嫌だなんて、先生の方が落ち込みたくなるわ……


「ねぇ、より子先生。先生はどんなお花が好き?」


 同じ質問だ!


「せ……先生はチューリップよ」

「ふ~ん……そうなんだ。先生は、嘘つきは泥棒の始まりって言葉知ってるのかなぁ……」


 まさや君の事を想って答えを変えたのに、まさか恩を仇で返されるとは……


「ねぇ、より子先生。明日は何曜日?」

「水曜日よ」

「教えてくれてありがとう」


 そう!

 こうやってチェンジアップのように、たまに普通の質問も挟んでくる配球が、ベテランキャッチャーのようで、より不気味さを増すのだ!


「ねぇ、より子先生。先生は秋場所には復帰出来るの?」

「まさや君。先生はこう見えて関取じゃないのよ」

「フフフッ……より子先生は冗談が上手くなったね」


 だから冗談じゃないって言ってんだけど……

 まさや君は絶対、幼稚園児じゃないだろ!と言いたくなるような質問しかしてこない……


「ねぇ、より子先生。先生が昔、タイガーマスクだった頃の話を聞かせて」

「く……空中殺法の練習が大変だったわ」

「フフフッ……飛べる訳ねーじゃん!」


 まさや君は最近、ムチャぶりという空中殺法を覚えた。

 私に嘘をつかせたい訳ではないだろうが「俺の振りに乗っかって来いよ!」という威圧感が半端ない……


「ねぇ、より子先生。先生はボクとカズ君が溺れてて、1人しか助けられないとしたらどっちを助ける?」

「………………」


 私は質問に答える事が出来なかった……


 答えに悩んで立ちすくんでいると、まさや君のお母さんがお迎えに来た。


「より子先生。その答えはね、嘘でも2人助けるって言うんだよ。先生はまだ新人だからしょうがないけど、もっと心の勉強をした方が良いかも知れないね。じゃ、また明日ね!」


 そう言ってまさや君は、お母さんと手を繋ぎながら帰って行った。


 私は幼稚園児に人としての心構えを教わっている保育士、小松崎 より子24歳…………独身。

 今日も出会い系サイトに手が伸びそうだ……




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。あきらさんです。

まさや君の成長記というよりも、より子先生の成長記になってしまうかも知れません(笑)

次回もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] どうしてでしょう。まさや君にときめいてしまうのは。 [一言] 待ってました。最高です。私はちょっとまさや君により子先生とはまた違った意味で翻弄されている自分がいるのです。全ての作品を拝見さ…
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