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第七章 肝臓がんの治療 七の22 とりあえずがんとの壮絶な戦いは終了した

とりあえずがんとの壮絶な戦いは終了した

 平成28年も11月が終わろうとしていた。2年前の今頃は、左肩が痛くなったが、それががんとの壮絶な戦いの予兆とは、当時は露ほどにも頭に浮かばなかった。平穏な日々が、ずっと続くものだと信じていた。かれが思うような穏やかな日常ではなかったが、それでもかれなりの日常がいまも続いている。

 この間の2年、主な病気として、①肺がんとそこからの転移としての縦隔腫瘍と胸椎浸潤、②腹部大動脈瘤、③肝臓がんを患ってきたが、それぞれY大学病院、T医科大学病院、T大学病院で、外科手術、ステントグラフト術、陽子線治療を受けて、治ったはずである。少なくとも、①は摘出され、②も正常に戻った。③は効き目がわかるのはもう少し先のようだが、希望的観測も含めて、順調に回復しているのだろう。

 がんが完全に治ったとは思っていない。平成28年7月にT医科大学病院で発見された、肺のCT画像の上に不気味に怪しく光る部位もある。これががんかそうでないかの結論はまだ下すわけにはいかないようだ。少なくとも時間の経過とともに小さくなっていることは朗報である。その他にも、体の中には小さながん細胞がひっそりと暮らしているのだろう。

 いずれにしても、がんや腹部大動脈瘤との壮絶な戦いはひと段落した。戦いの後遺症として、胸の筋肉の激しい痛みがあるが、それも戦いの代償なのだろう。もしこの戦いに負けて死んでいたら、この痛みも感じることができなかったのだから。

 現在、3つの病院には定期的に経過観察に通院している。鎮痛剤以外は、処方される薬はない。自分にできることは、バスを乗り継ぎ歩いて大学に通うという普通の生活をし、たくさん食べて、がんに対する抵抗力を作ることだ。

 まるで激しい戦闘を経験し、そこから帰還した兵隊のようだ。


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