第七章 肝臓がんの治療 七の19 肝臓がんが小さくなっている
肝臓がんが小さくなっている
一週間が経ってT大学病院に行って診察を受けると、担当医は「大体結果がでるまで3~6ヶ月かかりますよ。2ヶ月ではまだ効果はわかりません」(そうだろう。やっぱり記憶に間違いはなかったじゃないか)。 「たしかに現在のがんの大きさは5月に撮影した時と同じ大きさなのですが、陽子線治療の直前の8月に撮影したCTでは5月の時点よりも大きくなっていたのですから、治療前よりもはっきりと小さくなっていますよ。ということで、明らかに治療の効果が出始めているということだと思います」と説明してくれた。一喜一憂。羽が生えて飛んでいきそうな気分だった。シナサワグルミのように落下しはしないのだ。
Y大学の先生は「陽子線治療が失敗したので別の治療が必要だと言っていますが」と言うと、「そう言えば、そのような内容の手紙が同封されていましたね」と答え、自分の方からその先生に向けて陽子線治療が効いていないわけではないことを手紙に書いて送ると言われ、この件は一件落着となった。
大事な経過観察に対する問診は、「陽子線を当てたところは、なんともありませんでしたか」と聞かれたので、「2~3週間はあたったところがもぞもぞしていましたが、今はまったく問題なしです」と答えた。それだけだった。経過が順調だと、医者との会話も少なくてすむ。




