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第七章 肝臓がんの治療 七の16 棘突起の成長
棘突起の成長
整形外科の医者に診てもらうと、針のようなものはワイヤーではなく、去年切除した第2・第3胸椎の上の第1胸椎のきょく突起だというのである。きょく突起の「きょく」の字はどう書くのかと聞くと、「棘」という字で、ウニやヒトデが所属するグループの名称である棘皮動物の「きょく」だと言うのである。ああそうなのか、と生物学者のわたしは納得した。一般的には、「とげ」の字である。
医者の説明によると、どういう理由かはわからないが(かれは放射線治療の後遺症ではないかと考えた)、棘突起の左部分が縮小し、残った右側が飛び出した感じになっているそうだ。そして手術した時の薄い皮膚を刺激していると言う。このままにしておくと、内側から薄い皮膚を突き破るかもしれないので、削り取ろうということになった。消毒や予後の手当ても必要なので、入院して手術することになった。これでY大学病院には5回目の入院である。今回は、10月24日から29日までの6日間のショートステイになった。もはや一週間程度の入院ではおたおたしないのである。