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第七章 肝臓がんの治療 七の14 陽子線治療が終わる
陽子線治療が終わる
「10回の陽子線照射治療を終わって、Yに帰ってきました。ふ~。あまり大きな声では言えないけど、久しぶりの独身生活、結構楽しかったなぁ・・・」
当初は、最後の陽子線照射を23日受けることになっていたが、その日に巨大な機械が動かなくなり、業者が部品を持ってきて修理したが、それでも動かなかったので、その日の治療は中止となった。そこで急遽ウィークリーマンションの契約を1日延長することになり、予約しておいた帰りの新幹線のチケットは没になってしまった。合計1万5000円の損だ、といまでも嘆いている。陽子線治療にかかった300万円に比べたら微々たるものじゃないかと言うと、300万円かかったから、この出費は痛いのだという。たしかに無駄遣いはできない。
でも、最後の照射が終わった時に、医者はこれで肝臓がんは99%治った、と言ってくれた。この言葉に力をもらい、久々の独身生活に未練を残しつつも、妻の待つT市に、2週間ぶりに帰ってきた。




