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第七章 肝臓がんの治療 七の13 最先端医療サイボーグ

最先端医療サイボーグ

 「T大学の看護師さんに一年半の病歴を話したら、彼女がわたしのことを突然「最先端医療サイボーグ」だと呼んだんだよね」

 「おっ、かっこいいね」

 「かっこいいでしょ」

 「言われて見たらそうだよね。胸椎をチタンに替え、腹部大動脈瘤をステントグラフト術で治し、いま陽子線治療で肝臓がんを治したものね。どれも最先端医療だ。背骨に金属が入っているのもメタリックなサイボーグらしくていいね」

 「でも石ノ森章太郎の「サイボーグ009」のようにかっこよく活躍できないけどね」

 「そりゃ無理でしょう。高望みだよ。よたよたサイボーグだものね。でも「最先端医療サイボーグ」のネーミングがいいよね。語呂がいい」

 「病気にかかった頃は、こんなに最先端医療を受けるなんて思ってもみなかったよね」

 「そうだよね。流行りものに疎かったのに、こんなところで最先端に躍り出すなんて思ってもみなかったね。世の中なにがあるかわからないよね」

 

 肝臓がんの陽子線治療とともに、「最先端医療サイボーグ」という名前をいただいた。ありがたいことであった。他人の役に立たない体になってしまったと思っていたが、この名に恥じないように少しは人様の役に立ちたいと思えるようになった。だが思っただけで、以前と何も変わらず、自分のことで精一杯なのだ。


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