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第一章 がんの発見 一の3 マッサージ師から病院へ

マッサージ師から病院へ

 年が明け、平成27年を迎えた。痛みは当初肩に限局していたものが、胸から背中にまで広がり、筋肉はパンパンに凝ってきた。憂鬱さは増していった。

 1月になって、ついにこらえることができなくなったのか、ようやく重い腰を上げ、近所の知り合いのマッサージ師のところに行った。いつも肩や腰が凝った時にもんでもらう、行きつけのマッサージ師である。筋肉の緊張をほぐしてもらい、ずいぶん楽になったが、それでも痛みが治まることはなかった。

 そこで近所の整形外科医院にかかることにした。早速、首から上のレントゲン写真を撮り、写真を見ながら古傷の椎間板ヘルニアがあることを教えてくれた。かれはおそらく自分の仮説が当たっていたことに得意満面となったはずである(科学者の習性である)。だが、この病院で首の椎間板ヘルニアの治療に当たることになったか、というとそうではなく、医者から総合病院のT病院を紹介され、そこにかかることになった。

 もしこの時、T]病院を紹介されずに、個人病院で椎間板ヘルニアの治療に専念していたならば、痛み止めの薬や首の牽引、体操、筋肉の緊張緩和のための電気療法などがしばらくの間、試みられたであろう。だが、そうしたことでは症状は改善されることがなかったことは、後から見ると明々白々である。そんなことをしている間に、着実に病気は進行していっただろう。

 わたしがいまも抱いている疑問は、どうして個人病院が自分の病院で治療を始めずに、総合病院でさらに詳しい検査を受けるようにかれに指示を出したのか、ということである。肩の凝りや痛みと首の椎間板ヘルニアの因果関係がうまく結びつかなかったので、症状の原因を椎間板ヘルニアだとは断定できなかったのではないだろうか、とわたしは推察するのだ。他に原因があること、それも重篤な病気を個人病院の医者は密かに疑っていたのではないだろうか、と推測する。この疑問を何度もかれにぶつけたが、かれはそんなことは決してない、ときっぱりと否定した。かれの説明では、個人病院は老人の患者で満杯なので、これ以上患者を増やしたくなかったので、かれに総合病院を紹介したのだと言う。しかし、本当にそうなのか、とわたしは疑いを残したままである。

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