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蒼い月光と紅い皇炎   作者: 秋水
3/16

第3話 ゴールデンウィーク編 前編

投稿が遅くなりました。

色々やっていたら時間というものは過ぎるのが早いです。

という訳で、今回とこの次はGW編です。

あれから数日が経ち、5月初めのゴールデンウィークに入ろうとしていた。GW(長いから省略)は5月の1~5の日数、中に土日が含まれているのが少し悲しい……でも修行するにはうってつけの休日だ。GW前日の夜、僕は部屋で雅と計画を決めていた。


「う~ん……間に休みを入れても1と2日は修行かな。後は4日……くらいかな?」


「あんまりやると冬風の肉体が持たないからね。それに……」


「ん?」


雅がゲートを創りだした。すると中から夢依が飛び出てきた。


「冬風~!」


「わっ……!」


僕は驚いたが、またいつもの様な展開になってしまった。


「ねぇねぇ、GW中何処か遊びに行かない?」


「う、う~ん……3日と5日なら修行ないし遊べるけど…」


僕が立てていた予定表を見せると、夢依は少し悲しそうな顔をした。


「えぇ……もっと遊びたい……」


「………」


顎に手を当てて考えた。確かに夢依と遊ぶのも楽しそうだが、そうすると修行の時間を削らなくてはいけなくなる。その場合どこかで埋め合わせをしなくてはならない。考えているのが、だんだん馬鹿らしくなってきて諦めた。


「分かったよ……で、何日遊ぶの?」


「う~ん……全部」


「はい?」


予想外の返答に、思わず聞き返してしまった。


「だから、全部よ」


「あ、あはは……」


(さよなら、僕の修行時間……)


「まぁ……良いよ、全部ね。でもどこに行くの?」


5日間ずっと遊ぶにしても同じ所では飽きてしまう。


「そうねぇ……そこはその時に考えましょう」


「………」


夢依の無計画さに絶句し苦笑いした。というか、無計画にも程がある気がする。すると玄関から淳が入ってきた。


「よう」


「お、淳……いらっしゃい」


「おう」


なんでだろう、いつもの3人が集まってしまった。皆吸い寄せられるように集まり、談笑するんだもんな……参ってしまう。


「冬風、GWも夢依と一緒か?」


「まぁね」


「そうか……」


淳がそう言うと、僕の方に手を置いて耳元で囁いた。


「……大変だな、頑張れよ」


僕はその言葉に苦笑し、コクンと頷いた。夢依は訳が分からず首を横に傾けた。


「で、何処に行くんだ?」


「それが……夢依が無計画だったみたいで今検討中なんだ」


それを聞くと、淳も思わず苦笑した。やはり無計画というのはおかしいようだ。すると


「だったらさ、3人でエーテルに行かない?」


「おっ、いいな」


「……っ!」


その名前を聞いた瞬間、僕の顔から血の気が引くのを感じた。


「でも……行ってどうする気だ?」


「あそこで有名なクリスタルを買いにね。かなり綺麗って聞いたから、欲しくなっちゃってつい……」


「そうか、なら俺も行こう。以前そのクリスタルに魔力を貯めれば、いざという時に役立つと聞いたことがある」


「へぇ~……そんなことにも使えるのね」


2人は他愛もない話をしているだけなのだが、僕にとっては凄く地獄絵図の様な空気に包まれていた。脳裏に浮かぶのはあの日の惨劇と、周りの人たちの僕を見る眼だった。今でも僕はあの過去に克服できていない、思い出したくないのだ。


「………」


何も言うことが出来ずに話がどんどん進んでいってしまう。確かにあの村はエーテルクリスタルがよく取れる、市場に希少だが少なからず出回ってる。探せば見つかるかは分からないけど……僕が俯いていると淳が話しかけてきた。


「というわけだ、どうだ冬風……っておい、どうした……明らかに顔色が悪いぞ?」


「い、いや……何でもない」


そうか……傍から見ても顔色悪いか、出来るならば行きたくない。言ってもつらい思いしかしないからだ。それに多分……秋水兄様に怒られるだけだと思う……と言うか顔すら見たくないと思われてそうだ。


「あっ……」


そんなこと考えていると、夢依が声を漏らした。表情から察するに僕の過去を思い出したのだろう……。


「ご、ごめん……無神経なこと言って」


「大丈夫……」


「嘘言うな、明らかにお前の声は大丈夫そうじゃない」


「……」


淳の指摘に何も言い返せなかった、本当はあの村の名前を聞くだけでも胸が苦しくなってしまう。でも……せっかくのGWなのだ、母様の墓参りくらいには行きたいな……。


「じゃあ行くのやめるか?」


「そうね、そうした方が……」


「……ちょっと待って」


そういう夢依の言葉を、僕は遮った。


「いや、行くよ……ちょうど行きたい所を思い出したし」


「大丈夫か?」


「うん……なんとかね」


「で、でも……」


「さっきも言った通り、行きたいところがあるんだ。でも村人に僕といる所を見られたら村に居られなくなっちゃう、だから村では別行動で……って言うことでいい?」


「ま、まぁ……」


「あぁ、そうするしか無いなら」


そんな感じで決まった。その後解散し僕は一人あの時のことを思い出していた。


そう、雅と契約した……あの大惨事の日を。


~数年前~


僕はエーテルにある”月詠家”として生まれてきて、僕を産んでくれた母様はそれから数年後に亡くなってしまった。病死だった……その時の僕はまだ物心ついたばかりだったから泣くことしか出来なかった。そして僕は心から笑わなくなった。引きこもりがちになり、心を閉ざした。


その数日後……とある一人の少女が僕の家に遊びに来た。彼女は月詠家と同じ家柄で”雨宮家”と言うらしいく、家はすぐ近くでよく遊びに来ていた。その少女こそが……忍だった。最初は毎日のように遊びに来ては僕に話しかけてきたが、当初は凄く鬱陶しく感じまともに話もしなかった。だが忍は諦めずに僕に接してくれた……そのせいか、1ヶ月も経った時には一緒に遊んでいた。僕は少しずつ忍の事を知り、忍も少しずつ僕のことを知った。


小学校に上がった頃には登下校も一緒にするようになっていた。その頃には父様は既に行方不明になっており、兄様と2人で暮らしていたが学費とかはどうしていたのかは僕には分からなかった。実質今でも分からないが、小学校でも忍としか話さずによく冷やかしを受けた。それでも僕達は気にせずに一緒に居た。それから数年の月日が経ち……僕等は中学校に上がった。その頃の僕は無口で無表情だった。それにくらべ忍は明るくて周りの人からも好印象だったが、やはり僕と話している時だけ子供の時みたいに戻った。学校でもよく話していた事もある。違うクラスになったこともあるが、大抵は忍がこっちに遊びに来てくれていた。それを良く思わない人達がいるのも、僕には分かっていたことだったのだが……


やがて2年の冬になり、僕はどうしようかなと思っていた。忍は僕に付いて行くと言っていたけど、その肝心の僕が悩んでいた。そして冬……事件が起きた。


忍は部活をやっており、偶に帰りが遅くなることがあった。僕はいつも通り図書室で本を読んで、忍の帰りを待っていた。すると何時まで経っても来ず、外が騒がしくなった。気になって校庭まで出てみると、救急車が校門を出るのが見えた。僕は不審に思いながらも、図書室へ鞄を取りに戻りそのまま校舎裏に言った。すると3年の先輩方が6名と、同級生の奴が2名で僕を囲むようにして現れた。要件を聞いてみると、その人達は喜々として語った。自分たちが忍を病院送りにしたことや、忍をいたぶって遊んでいたら動かなくなったこと。それを聞いて、僕は唖然とした。


(いつもより帰りが遅かったのは、そのせいか……こいつらが、忍を……)


それを思った瞬間には、僕は奴らを睨むように観ていた。それが気に食わなかったのか、僕の胸ぐらを掴んできた。その瞬間……僕の中で何かが切れる音がした。


プツン……


そして気がついた時には……そいつらを殺していた。胴体は消し飛び、地面に落ちているのは無残な血塗れの首のみ。僕には返り血が飛ばず、全て校舎側に飛び散った。やはりその時にも無表情だった……だが人を殺めてしまった。覚悟もなしにやってしまった僕は、慌てて逃げた。


その後大騒ぎになり、僕が殺したことは村中に広がった。行くところがなくなり、僕は魔力転移で忍の病室に飛んだ。夜も更けて、面会時間が終わった時間だ。忍の顔を見ると、酷い有様だった。綺麗な顔には切り傷や痣などが無数にあり、体は包帯だらけ。恐らく殆どの骨は折られている。変わり果てた忍の隣で、僕は泣き続けた。声を殺し、静かに自分を責め続けた。忍をこんな姿にしたのは、不甲斐ない僕のせい だ……と。暫く泣き続け、落ち着くと手紙を書いた。書き終わった手紙を丸め、忍の手に握らせ僕は自宅に転移して帰った。家の中に入ると、秋水兄様が心配した顔で戻ってきた。


「おかえり冬風。人を殺めたんだってな……もう村中に広まってるぞ」


「……」


僕はもう驚かなかった……知っていたから。暫く俯いて黙っていると、兄様がこんな提案をしてきた。


「………冬風、明日この村を発つんだ。そして王都のフィリアスに行け。そこには伯父様がいるから、なんとかしてくれるだろう。話は僕がつけておくから」


「……っ!」


いきなりの事に、動揺が隠せなかった。そして、気づいた時には家を飛び出していた……兄様の静止も聞かずに。特に行く宛もない僕は、家の裏にある柵を超えて山道を進んでいったところにある祠に飛び込んだ。中は真っ暗だったが、奥に進んでいくと蒼いクリスタルの欠片が輝いていた。夜の星空を連想し、更に涙が溢れでた。


暫く泣き続けていると、近くに人の気配を感じた。僕は涙を拭い、見上げてみた。すると紅い袴に白い白衣……それに少し桜色のかかった上っ張りを羽織っている女性が立っていた。綺麗な顔立ちにツヤっとした長い黒髪、澄んでいる黒い瞳にまるで濡れているかのような唇……僕は少し見とれていた。今まで見てきた人の中でも、一番と言っていいほど美しい人だった。そんな女性が僕の前にしゃがみ込み、僕の頭を優しく撫でた。


「ふふっ……随分と大変だったみたいね、冬風」


一瞬思考停止した。なんで僕の名前を知っているのか、なんで初対面の女性が僕の頭を撫でているのか。不思議で仕様がなかったが、そのうちどうでも良くなった。そして少し気になったことを説いてみた。


「……どうしてここにいるの?」


「私はずっとここに居たわよ。貴方のことも生まれた時から知っているし、貴方の母親のこともね。」


意味が分からず首を傾げた。僕は一応気配には敏感な方なんだけど、ここに来た時にはそんな気配なんてしなかった。そんなことありえない、普通の人間なら……そう、”普通の人間”ならば……。


「だって私は……」


そう言いかけた瞬間、周りの空気の温度が一気に下がったような感じがした。その言葉は、聞かなかったほうが良かったのかもしれない。だって、聞いたら後に引けないのだから……。


彼女は僕に向かって確かにこう言った。


「私は”水神”、貴方の母と契約していた神でもあるわ。名前は雨霧雅……よろしくね」


呆然と座り込む僕に微笑んで手を差し伸べてきた。その笑顔は何処か懐かしく感じ、自然と涙が溢れてきた。でもその涙を拭うのを忘れ、僕は雅の手をとって微笑んだ。


「あら……可愛い笑い方するのね」


その茶化しで僕の涙は少し引っ込んでしまった。


「……あまり茶化さないで欲しい」


呟くように言うと雅は笑った。


「ふふふふ、さては照れているわね?」


「て、照れてないよ……ただ髪が長いだけで女性扱いされるのが苦手なだけ」


「その顔立ちといい声や髪や瞳といい……まるで女性そのものだけどね」


あははっと笑いかけてくる雅に、僕は苦笑しか返すことが出来なかった。 気が付くとずっと雅の手を握りっぱなしだったのを思い出し、僕は慌てて手を離した。こんな女性と話すのは初めてなせいか、自分でも顔が紅潮しているのが分かる。見た目では絶対にこの人が神様だって分からない。


「一つ聞いてもいいかしら?」


唐突に質問された。


「何?」


「貴方はこれから……と言うより、この後どうしたいの?」


「……」


僕は黙りこんでしまった。特に考えもなくここまで来て、何の覚悟もなく人を殺めた。そんな僕に何が出来るのだろう……。僕は二度と大事な人をこんな目にはあわせたくない、笑って一緒に過ごしていたい。でもそのためには力が必要だ。誰にも負けない……守る力が、それと覚悟もだ。だからこそ、僕はすぐに決心することが出来た。今でもこれが間違えだとは思っていない。


「雅……だっけ、一つお願いがあるんだ」


僕の顔から微笑みは消え失せ、真剣な表情に切り替わった。それを察した雅も真剣な表情になった。


「……?」


「僕と……契約して欲しい」


「……へ?」


いきなりのことに間抜けな声を出す雅、だがこれが普通の反応だろう。急に初対面の人に契約して欲しいなんて言われたら、誰だってこんな反応をする。


「力が……力が欲しいんだ、大切な人を守るために……傷つけないために……そしてみんな笑って過ごせるような、温かい時間を作るために……僕は力が欲しい。だから……お願いだ……」


そんな僕の声は何処か力なく、今にも掻き消えそうなほど弱々しい声だった。色んな出来事で気力が無くなっていたのかもしれないし、ただの譫語にしか聞こえなかったかもしれない。それでもこれが僕の本心なんだ。


「………」


はち切れそうなほど高鳴る鼓動を抑え、静かに雅の返答を待った。その時間は数秒だったのだが、僕にとっては数時間にも思えた……やがて雅の口が動く。


「……いいわ、契約してあげる」


その一言を聞いた瞬間、心の底からホッとしたと同時に体中の力が抜けるのを感じた。


「貴方が作りたい時間、私も見たくなったのよ。温かい時間とはどういう時間なのか、どんなふうに叶えるのか……ね」


「……ありがとう」


その感謝の言葉は今にも泣きそうなほど震えていた……いや実質泣いていた。声を殺して肩を震わせながら静かに泣いていた。そんな僕を雅は優しく抱きしめてくれた。


その瞬間……今まで堪えていた涙が一気に溢れだし、数分ずっと雅の胸の中で泣きじゃくっていた。僕が落ち着くまで雅はずっと僕の頭を撫でてくれた。抱かれている時微かに懐かしさを感じた……まるで母様に抱かれているような、慰められているような感じだった。やがて落ち着くと、雅は優しく微笑みながらこう言ってくれた。


「冬風……貴方は私と契約した、つまり貴方の母……春音と同じ道を歩もうとしている。私はそれを全力で支えたい……だから」


「うん……僕は生涯をかけてでも願いを叶えてみせるよ」


こうして僕の願いは、大切な人を守ることと皆笑って過ごせる温かい時間を作るということになった。


「……いつか忍の目が覚めたら、僕等で桜の下で笑って……談笑しながら花見なんかもしたいね」


「ふふふ、それは楽しそうね」


お互い微笑み合い、その後契約の儀式の準備をした。


「そう言えば儀式って具体的にどうやるの?」


「簡単よ?盃を酌み交わしてその酒を飲み干すこと。それで契約は完了よ」


「へぇ……」


意外と簡単な内容に少し呆気を取られた。だが僕はお酒というものを今まで飲んだことがない。そのためかアルコールに対する耐性が全くと言っていいほど無かった。


(盃1杯でも酔いつぶれる可能性はありそうだな……)


そう思っていると、雅が準備が整ったと僕を呼んだ。お互いに向かい合い、雅が盃に酒を静かに注ぐ。それをお互いに持ち乾杯の要領で淵と淵をコツンっとぶつけた。雅がその酒を飲み干すのを見て僕も同じように飲み干した。熱い液体が喉を通る感覚が伝わり、体が暑くなってきた……火照って暑いと感じた僕は、制服の胸元のボタンを外し袖をまくった。顔が赤くなり少し目が潤んできた、汗で髪が少し張り付いて呼吸のペースも少し上がってきている。これは……完全に酔ったな。


「はぁ……はぁ……お酒ってこんなに体が熱くなるんだ」


「それはただ貴方が耐性ないだけかもしれないけどね。それにしても……」


「……?」


「……酔っ払った冬風の姿って、ものすごく色っぽいというか……何というか」


言っている意味がまるで分からなかった。僕に色っぽさなんてあるわけ無い……と言おうとしたが、頭がぼーっとしていたせいか上手く言えない。


「僕に色気なんて……無い……よ」


「………」


何故か雅が唾をゴクンっと飲み込み、僕を見ていた。雅の眼には僕はどう写っているんだろう……。


「もう……なんだ……よ」


立ち上がろうとしたが、力が出ずに倒れこんでしまった。頭を地面に打ち付けるかとおもいきや、頭が触れたのは雅の袴だった。つまり僕は雅の膝の上に頭を乗せてしまったということみたいだ。


「あらあら、仕方ないわね」


ふふっと笑い、酔い潰れた僕の頭を優しく撫でた。それは凄く気持ちよくて、すぐに意識を手放してしまった。


それから数時間後、僕は眼を覚ました。上を見て見ると、雅が壁にもたれて眠っていた。祠の入口の方を見てみるとさっきより明るくなっていた。そうかどうやら朝になったらしい。アルコールが入ったせいか頭がひどく痛む……そんな頭を抱え起き上がった。寝ている雅を起こさないように……そ~っとそ~っと立ち上がろうとした。だが思うように動けずに尻餅をついてしまった。


「……っ!」


尻の痛みで声を上げてしまった。雅の方を見てみると、少しずつ瞼が開いてきていた。

「あっ……」


どうやら起こしてしまったみたいだ……悪いことしてしまったなと思いつつ、雅に挨拶を交わした。


「お、おはよう」


「んぅ~……おはよ~」


まだ寝ぼけているみたいで、大きなあくびをしていた。その後体を伸ばし、周りを見回していた。


「……?」


「いや……もう朝なのね」


「そうみたいだね」


どうやら昨日の出来事は夢ではなかったらしい。だが何故か少しホッとした。


「……この後どうするの?」


「とりあえず、家に戻って荷造りしないと……何処にもいけないからね」


僕は立ち上がり雅に手を差し伸べた。その手を掴み立ち上がった雅は僕にあるものを渡してきた。それは全長150cmくらいある日本刀だった。


「……これは?」


「これは昔春音が使っていた刀よ。あの子は魔力武装を使えないくせに剣術の腕は凄かったからね……でも春音が結婚し、貴方が生まれ自分の死期が近いと悟った春音は私と契約を解除したの。その時に預かった物……つまりは形見よ。」


僕は驚いた、確かに母様が生きていた頃はよく一人で裏山へ足を運んでいた。物心がつく前なので少しうろ覚えだが。


「で、でも……これは母様が雅にって渡したものでしょ?だったら雅が持っていたほうが……」


「彼女はこうも言ってたわ…(冬風がやがて、私と同じ道を辿ろうとした時に渡して欲しい。この刀に込められた私の魔力が、いつかあの子の力になると信じてる)ってね……」


刀を受け取った瞬間、確かに母様の魔力が感じられた。暖かくて懐かしい……そして優しい魔力が。思わず涙ぐんでしまったが、それを拭い去り微笑みながら雅に礼を言った。


「ありがとう……こんな大事なものを僕にくれて……そしてありがとう……母様」


最後の言葉は僕の呟きだ……聞こえるはずもなかったが、確かにこの言葉は母様に届いていた気がした……いや、そうであって欲しい。


「……この刀の名前は?」


「名前は「濡霞」よ。」


(濡霞……)


その言葉の余韻を噛み締め呟いた。刀身を見てみると、まるで濡れているように艷やかで妖しく、美しく輝いていた。それを見た瞬間、この名前の由来がわかった気がした。刀身を鞘に戻し、先端を地面に突き立てるように置いた。刹那、地面に吸い込まれるように沈んでいった。水紋を作りながらゆっくりと。


「……?!」


動揺が隠せず唖然とした。


「この刀はね、鋒を地面に突き立てると自動的に私のいる所……つまり、神界にある水神の間に送られるようになってるわ。だから呼び出すのもしまうのも魔力を少し消費するから気をつけてね」


先に言って欲しかった……でも確かに持ち運びには困らない、荷物が増える心配がないから安心していられる。


「さて……と」


僕は出口に歩を進め、雅も僕の後ろをついてきていた。外に出ると兄様が立っていた。


「あっ……」


「やはりここに居たのか冬風……それに雅もか」


兄様がその名を口にした瞬間、驚きを隠せなかった。


「な、何故……」


「実はな、私も前に一度雅と会ったことがあるのだ。だが私は病弱故に契約はできなかった……そうか、冬風が契約したのか」


どこか安心したような表情で微笑んでいた。


「さて……そう長話もしていられないな。冬風にこれを渡そうと思ってな」


兄様がそう言って僕に渡したものは、1枚の切符だった。そこに書いてあったのは王都フィリアス……つまりそこに行くための切符だった。


「これは……」


「私からの選別だ。冬風はこの後伯父様のところへ行くんだ、そしてフィリアスにある魔法学園に入学しろ。学費や食費などは全て私がなんとかしてやる、だからまずはその力をコントロールするところからきっちり学んでこい」


兄様の優しさに僕は泣きそうになった。だが泣いてばかりも居られなかった。


「……分かりました」


僕は決意を固め、フィリアスに旅立つことを決意した。ちなみに僕が不老不死になったことを知ったのはその後だった。紙で指を切ってしまい、止血しようと見たら……血が止まっていた。雅が言うに


(契約した際に現れた副作用みたいなもの)


らしい。永続的に死ねないとなると、少し時間が遠く感じてしまう。その後何だかんだあって僕はフィリアスに旅だった。ルシファーと契約したのは旅立ってすぐだった。


エーテルの駅から徒歩10分の所にある暗闇の祠、そこに魔剣デュランダルが突き立てられていた。僕はそれがどういうものかを理解したうえで引き抜いた……すると刺さっていたところから黒い光が溢れだし、収まった頃に眼を開けたら……黒い羽を広げ、長い白髪を風にたなびかせ黒いマントを羽織った男性が出てきた。見た目は……20そこらだと思う。


「ほう……我を目覚めさせたのは貴様か?」

「……」


邪悪な威圧に僕は、言葉を発することが出来なかった。


「それで……我を起こした理由を聞かせてもらおう、ただしくだらなかったら……消す」


そう言い放った瞬間、背筋に悪寒が走った。いくら死ねない体でもやはり死ぬのは怖い。


「僕は……もっともっと力が欲しい、大事なものを全て守るために……守るために全てを壊す力が欲しいんだ。自分でも矛盾しているのは分かっている、だけど力がなければ……全て壊されるだけなんだ。もう覚悟は決めてある、守るためなら……人を殺す覚悟だってある」


真剣な眼差しで言うと、ルシファーは笑い出した。


「っく……くっはっはっはっは、守りたいものを守るためだけに、この大魔王ルシファーの力を欲するか!気に入った……実に面白いぞ、小僧!」


そう言って僕の肩を叩いてきた。


「……で、ご返答は?」


「うむ……良かろう。だが1つテストをさせてもらうぞ」


そう言ってルシファーは、僕に多量の魔力を流し込んできた。


「……っ!」


その魔力は重くて深く……底知れない暗黒のように暗かった。しかし……どこか悲しくもあった。それから少しするとルシファーはこう言った。


「……合格だ、私の魔力に耐えられれば何の問題もない」


ようやく重苦しい魔力から開放された瞬間、僕はその場に力なく座った。


「……っはぁ、はぁ……」


息を整えるだけでかなり時間がかかった、それだけ緊迫状態だったという事か……全身から嫌な汗が吹き出る。僕は落ち着くために目を閉じた。すると……唇に柔らかい感触がした。その後一瞬の激痛と共に鉄の味がした。


「……!」


ルシファーが顔を離すと、僕の唇からは血が滴った。


「お前の血を少し飲ませてもらった……代わりに私の血を入れた、これで我との契約は完遂した」


なんてことだ……僕はもう人間じゃなくなったのか、人間と悪魔……いや、魔王か……。


「……つまり、僕は魔王の力を使えるようになったわけ?」


「あぁ、自由に使うと良い。……さて我は暫く空けていた魔王城に戻らせてもらう。暫くは眠っているから起こすな」


そう言って暗闇に消えていった。自分の体に何が起きているのかいまいち来なかったが、確実に言えることは……この力は公にしてはならないことだな。万が一なってしまった場合は、危険生物として永遠に地下牢に行くか実験体扱いされてしまう。そんなのは勿論嫌だ。


「はぁ……」


後悔はしてないが、ため息が零れた。


……。



「………」


気が付くと外が明るくなっていた。過去のことを思い出しているうちに、眠っていたみたいだ。体を起こすと不意に目元から雫が垂れてくる。


「えっ……」


拭ってみると……涙だった。


「………」


その後もすぐには涙は止まらず、しばらく一人泣き続けていた。誰もいない静寂な部屋で一人泣いた……悲しくて、切ない思いを胸に感じながら泣いていた。しばらくすると精神が安定してきたらしく涙は止まった。どんな楽しいことがあろうとも、決して忘れることの出来ない記憶……それは僕を永遠に苦しめる。


「……」


僕は気分を入れ替えるため、洗面所に向かい顔を洗った。冷たい水が涙を流し、気分は少し晴れた。


「…っし」


一息入れて木刀を持って外に向かった。外はまだ薄暗く、まだ街灯もついていた。そんな中一人で剣を振った。魔力の力ではなく、自分自身の力を高めるために……ただひたすら頭の中を空っぽにし、一人剣を振ること数時間……どこからか雅が現れた。


「おはよう、冬風。」


「あぁ……おはよう」


挨拶を交わすと雅も木刀を構えた。言わなくても分かる……組手だ、こうして暫くの間雅と剣を交えていた。雅の鋭い剣を受け流し、反撃に転じる。しかしそう簡単には上手く行かずに一撃貰った。それでも諦めずに交えた。相手の剣を読み、それを反撃の要にする……それが母様の教えだ。


月詠流剣術は、守りの剣であれ……たしかそんなことも言っていた気がした。だが守っているだけでは勝てる勝負も勝てない。だから僕はこの剣を(反撃の剣)と名付けた。守りつつ相手の虚を突く。それが最大の守であり攻撃でもあった。


「……っく!」


いつもより自分の剣筋が甘い、心が篭っていない証拠だ。しばらく撃ちあうと雅は剣を下ろした。


「……やっぱり、今日のことでかなり動揺しているわね?」


「……っ!」


一番痛い所を突かれて黙りこんでしまった。表面的には諦めてたけど、本心で言えば行きたくない。もし見つかったら……夢依たちに迷惑をかけてしまったら……考えるだけで心が痛む。それでも……行かなきゃならない、自分の過去と向き合わなければいけないんだ。


タオルで汗を拭っていると、誰かの気配を感じた。日はまだ登り切っていない……時間で言うと7時前後だ。その方向を見つめていると淳が現れた。


「……おはよう、早いね」


木刀を置きタオルを首にかけて挨拶を交わした。


「おう、お前も早いな。もしかしてあまり眠れなかったか?」


「いや……十分眠れたよ」


「そうか……」


そう言うと淳はなにか言いたげな表情をした。僕はそれに首を傾げて聞いてみた。


「……いやな、昨日の話を聞いている限りではそこまで酷い村なのかなと思ってな」


「そうか、そのことか……いや彼処は普段平和で、自然も多くていい村だよ」


「じゃあ、何故お前は帰るのがそこまで嫌なんだ」


その質問に少し息を呑んだ。だが話しておかなければならない……。


「……分かった、最初から言うよ」


こうして僕の過去を淳にも打ち明けた、聞いている時の顔は険しかった……僕はその時の事を思い出すだけで悲しくて切なくなるので、なるべく俯いて話した。僕の表情はどんどん陰っていった。話し終わった後しばらく無言だった。そして淳が言葉を発した……それは罵倒でも哀れみでもない、かと言って同情や情けでもなかった。


「……そうか、確かに帰りたくないわけだ。でもな、だからといってそれから背を向け続ければ……やがてその重厚は増していき、潰れる。だから逃げるな、立ち向かえ……お前には俺達がいる、それはどんなことがあっても変わらない。だから……安心しろ」


その言葉をかけられた瞬間、心の何処かで僕は泣いた。表情には出さなかったが確かに泣いていた。表情を見ると淳の顔は真剣だった。決して嘘を付いている眼では無かったが故に、涙が止まらなかった。


「淳……君ってやつは……」


気が付くと僕は淳を抱きしめていた。


「お、おい……」


いきなりのことに動揺する淳だが、頭を優しく撫でてくれた。優しくて力強かった。


「まぁ……元気出せ、今日は夢依の事は俺に任せろ。何かあったら俺が守ってやる、お前のことも……な」


その言葉を聞くと僕は淳から離れた……そして振り返った。その時の表情は……心からの微笑みだった。


「うん……お願い」


「あぁ」


この瞬間淳との絆が強くなったのが確かに感じた。


その後淳と僕の部屋に行き今日の身支度を整えていた。そして朝の八時過ぎに夢依が来た。


「おはよ~」


3人揃い僕達は駅に向かった。エーテル行きのチケットを購入して電車に乗り込んだ。


「どんなところなんだろうね」


「自然が多くて、静かなところだよ」


電車に揺られながら期待に胸を弾ませている夢依、僕は不安しか無かったが淳のおかげで少しは楽になった。そして電車に揺られること数時間、エーテルの駅に到着した。


「村の入口付近まで案内するよ」


「お願いね」


「あぁ」


こうして森の中へ歩を進めた。道はあるものの草木が覆い茂っていた、そんな道を歩くこと数分で村の入口の柵が見えた。


「あの柵からエーテルだ、そこまで広くないから迷うことはないよ」


「了解した」


「分かったわ……それで冬風は?」


「僕は……ここから魔力転移で家に行くよ。墓が家の裏の所だからね。それに兄様にも少し話があるんだ」


「そう……」


僕は言い残して消えてった。


「さて、行きましょう」


「うむ」


淳と夢依は村の中へ歩みを進めた。柵の中に入ると中々活気良く、通りは賑わっていて家も殆ど木造で古風を感じた。


「わぁ~……凄いわね」


「だな……」


その風景に圧倒された2人、少し村を見て歩いていた。すると景気のいいおじさんの声が聞こえた。


「おう、そこのお嬢ちゃん!」


呼ばれた方向に顔を向けるとおじさんが手招きしていた。夢依は直ぐ側まで歩を進めた。


「嬢ちゃん、クリスタルを買いにここまで来たんだろ?家にはいいのが揃ってるぜ」


夢依は商品を見てみるとどれも殆ど透明で、濁りがあまりないクリスタルばっかだった。


「凄い……魔力が入ってないのにここまで透き通っているなんて」


「驚いたな……教科書でしか見たことなかったし」


「そうか、お二人共学生さんか。なら安くしとくぜ?」


おじさんがウィンクしながら親指を立てた。


「そうね……じゃあこのクリスタルを下さい」


「おうよ!それでどういう形状にしたい?」


「……と言うのは?」


質問の意図がわからず聞き返した。


「クリスタルは色んな物に加工できるんだ。ネックレスや指輪とかイヤリングなど」


「……じゃあネックレスでお願いします」


「あいよ!」


そう言っておじさんは指定されたクリスタルを持って奥へ引っ込んでいき、数分立つと綺麗なクリスタルがネックレスになっていた。


「ほら、完成したぜ!」


そういって手渡された。


「あ、あの……お代はおいくらで?」


財布を片手に夢依は訪ねた。


「ふむ……本来なら1,500ポッチ貰うところだが、今回はサービスだ!持ってきな」


がっはっはと笑いながら親指を立てた。


「そ……そんな、それじゃあ悪いですよ」


無料だといわれ少し戸惑った夢依、だがそのおじさんは断固お金を受け取らなかった。


「いいんだよ金は……少し前にな、お前さんと同じくらいの少年が居たんだ。そいつはよく俺の所に遊びに来ていたんだ」


おじさんはシミジミと語りだし、それが冬風の話だと察すると黙って聴き続けた。


「そいつは綺麗なものが好きでな、クリスタルをよく眺めてたんだ。よく一緒に居た幼なじみらしき嬢ちゃんとな。その少年は物心付く前に両親を失ってな、兄貴と2人だけで暮らしていた。俺はそれを見かねて少しばかり援助していたんだ。援助と言ってもただ飯を作りに行ってやったくらいだがな」


はははっと笑いながら語らい続けていた。

だが語っている時のおじさんの顔は何処か悲しそうだった。


「その兄弟は俺を父親みたいに慕ってくれていた、だがある日……嬢ちゃんが病院に運ばれたことを聞いたんだ。俺はびっくりして兄貴のところへ行ってみたら、不良共が病院送りにしやがったらしい……そりゃあ俺は腸煮えくり返るほどに頭来たさ、でも俺以上に頭に来てたのが……その少年だったんだよ。そして俺達の耳にはその少年が不良共を皆殺しにしたと入った、その時の少年の気持ちは今なら分かるぜ……。幼なじみとはいえ幼少の頃からずっと一緒に居た……いわば兄妹みたいな感じだったからな……」


夢依はその話を知っていた……勿論淳もだ。だから驚きもしなかったし黙って聞いていた。


「村の皆は少年のことを悪く言ってやがったが、俺はそうは思わねえ……多少やり過ぎだとは思うがそれほどに嬢ちゃんのことを大切に思っていたんだ。それをボロボロにされてキレねえ奴は居ない……。今はその少年の安否を知るすべはねえ、だから嬢ちゃんに頼みてえ……どこかでその少年と巡りあったら伝えて欲しいんだ……(お前はこの村にもう居場所なんて無いと思ってるだろうが、もし辛かったら……気が向いたらでいいから俺の所に来い、いくらでもお前の相談に乗ってやる。俺は決してお前を責めねぇ)……ってな、初対面で不躾だと思うがどうか許して欲しい……」


おじさんは話し終えると夢依に頭を下げた。いい年したおじさんがここまでするということは、相当冬風の事を思っているということだ……。夢依は少しキョトンとした。


「頭を上げて下さい……分かりました、その言葉きちんと伝えておきます……絶対に伝えますから」


「あ、ありがてぇ……こんな初対面なのに、良い奴だなお嬢ちゃんは……」


おじさんの眼からは涙が溢れているのが分かった。夢依はどうしていいか分からずあたふたしていた。


「ちょっ……?!泣かないで下さい!」


「あぁ……悪ぃ」


勢い良く涙を拭い去りいつもの笑顔に戻った。その笑顔は会ったばかりとは違い少し安心した顔に見えた。


「……では私たちはこれで」


「おう、また来てくれよな!」


こうして手を振って別れた。歩いている最中夢依はこう呟いた。


「冬風……貴方は気付かなかったかもしれないけど、心の底から心配してくれる人……居たよ」


時間もおじさんとの話でかなり削れ日が暮れそうになっていた。


「そろそろ柵の方へ戻ろう、冬風も戻ってくる頃だと思うし」


「……だな」


2人は入り口の方へ戻った、柵を出ると森の茂みに誰か居るのが分かった。夢依は気になり覗いてみると……傷だらけの冬風が座っていた。


「やぁ、お帰り……結構遅かったね」


いつもと同じ微笑みで話している様だが明らかに雰囲気がいつもと違う、明らかに疲弊しきっていて何処か力なかった。夢依は慌てて駆け寄り淳も驚きを隠せてなかった。


「冬風!」


「お、おい……大丈夫か!」


冬風に触れると自分の手が真っ赤に染まった、これは……冬風の血だった。傷の様子を見てみるとかなり深く抉られていて致命傷だった少しづつ治ってきているようだったが、この深さはかなりの時間がかかるはずだ。


「冬風、早く傷の手当を!」


「大丈夫……時間をかければ治るから……さて用事も済んだことだし……フィリアスに帰ろう」


そう言って立ち上がった冬風だったが血が足りないため足元が覚束なかった、そして倒れそうになった所を淳が支えて抱えた。


「……分かった、分かったから今はおとなしくしてろ」


「……悪いな」


「気にするな」


こうして冬風達は電車でフィリアスに戻った。夢依は傷の具合を見て何かあったのかと考えていたがそんなことを知る余地もなかった。


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