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風の声 "石碑と精霊"

「なんで村長たちが……?」

「恐らくですが、石碑が闇森の中枢で間違いないでしょう。そしてあの地面に描かれているのは魔法陣ですね、かなり高度かつ複雑なものだ。……もしかして―――」

 考察を言い終わる前に、森に警報音が鳴り響いた。

「まさかバレたんじゃ……」

「それはないと思いますよ。完璧な侵入でしたし」

「先生……楽しんでません?」

「しっ!」

 カイムが伏せるよう指示すると、近くで草の動く音がした。

「この辺りか?」

「ああ、そのはずだが……」

 侵入がバレた……?

 カイムが小声で魔法を唱える。

「いないじゃないか」

 見回りの2人は、隠れている3人のすぐ近くまで来て、すぐ引き返した。

 ……あれ? もう見付かっちゃうと思ったのに。

「さて、行きましょうか」

 カイムがスッと立ち上がる。

「え? でもまだ……」

「大丈夫よ、行きましょう」

 不安がるエマエルをアンジェラが後押しする。

 近くまで行くと、より石碑の大きさが分かる。高さはおよそ5メートル、黒い長方形の石碑で、上の方は細くなっている。四面全てが鏡面仕上になっているようで、ここから見えづらい役員の顔もよく見え、森を映し出している。

「村長、侵入者らしき人物は見当たりませんでした」

 さきほど見回りに来ていた2人が報告に戻っていた。

「そうか。フェルチの指輪の警報が鳴ったからと思ったが……まあよい。ロバート、キーマス、覚醒状態はどうじゃ」

 そこにいたのは、エマエルの父であるロバート・ワトソンだった。

「! お父さん!?」

「いけません!」

 飛び出そうとするエマエルをカイムが制止する。

「だって、お父さんが……」

「アンジェラさん」

「はい、父に間違いありません。……それにしても、こんなの、見たことありません」

 石碑には文字が刻まれているようだ。古代文字のようで解読しなければ内容は分からないが、なんらかの魔法で動く装置のようだ。しかし王都でもこんな巨大な魔法装置見たことない。

「地面に描かれている魔法陣も気になります。……やはりこの石碑は……」

『なんかおかしくなってるよなー、ここ』

「え?」

『そうねぇ。なんだか風が嫌な感じ……』

「どういうこと?」

『この森に流れる清浄な空気が、私たち風の精霊の源なんだけど、それが乱れているのよ。きっとこの石と魔法陣のせいね』

「てことは、あの石と魔法陣を壊せばいいの?」

『んー、そういうことなんだろうけど、あの人たちも操られてるみたいだから、難しいかもね』

「そんな!」

 エマエルが困惑していると、村長たちの掛け声で石碑が光りだし、風が吹き荒れた。

「きゃぁー!」

 強風にエマエルの体が浮く。

「エマ!」

 飛ばされそうになるエマエルをアンジェラが抱きとめた。

 木々を大きく揺らす風にアンジェラも飛ばされそうになりながらも、なんとか耐えしのいだ。

「っ……! 今のは……」

 再び村長たちを覗き見ようとすると、後ろに気配を感じる。

「こんなところにいたか」

 そこにいたのは、先ほどの見回りだった。

「どうして!?」

「さあ、大人しくしろ!」

 抵抗するアンジェラに、カイムが従うよう言った。

「ですが……!」

「いいから、私に考えがあります」

「……分かりました」

「なに密々してんだ、こっちに来い!」

「分かったから触らないで!」

 3人は村長たちの前に連れだされた。

「お前は確かヴェルムの……そしてアンジェラにエマエルか。まったく親も親なら子も子だな」

「どういう意味ですか」

「ロバートはこの計画に最初から反対しておってな。面倒にならんよう、少しばかり強制させてもらったよ」

「強制?」

 エマエルは、さっき精霊が言っていたことを思い出した。

「洗脳して操ってるんですか……?」

「ほぉ、さすがロバートの子か」

「なんてことを……! 立派な犯罪ですよ!」

「そういう細かいところも、父親そっくりだな……」

 村長は杖をアンジェラに向けると、魔法を唱えて吹き飛ばした。

「お姉ちゃん!」

「騒ぐな、大したダメージじゃない」

「もう止めて! なんでこんなことするの!?」

「そちらのヴェルムはもう勘付いているんじゃないのか?」

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