第弐話 薬師は鋼を紅に染め星に従属を強いる
何度も言いますが主人公の名前が出ないのは仕様です。
俺は結局夜明けまでに替えの服を縫い上げ、二着のローブもほぼ完成していた。
少年用に作った服は薄い藍色である浅葱色に合うようにパステルカラーの物を使いふんわりと仕上げた。
上は水色のシャツに下は薄い黄土色のズボン、もちろん肌着も作ってある。
きちんと【家庭道具召喚能力】でボタンも召喚できた、便利。
サイズは詳しく測れなかったが、目分量からいくと多少大きい程度だと思う。
一方、俺の服は鋼色の無骨な丈の長い厚手のジャケットに濡羽色という非常に黒に近い緑のシャツ、下はカーキ色の様々なところにポケットの付いたズボン。
ジャケットは士官服、軍用ジャケットを意識して作ったため、重いが安心感がある。
胸のところには銀糸で鳥を簡略化した文様を刺繍してある。
別に何か意味があるわけではないんだけど。
ローブはごくごく簡単、後は身につけて裾上げしたりするだけだろう。
と、ここまで作って気が付いたのだが、どうやらこの世界は夜が長いらしい。
生憎、携帯電話はこの世界に来る際にカミサカに没収されたみたいだし、腕時計はもともと持っていなかったため、正確に時間までは把握できなかったし、【家庭道具召喚能力】でも時計は召喚できなかった。
自作できるとしても、ギアを作るだけの技術がこの世界にあるとは思えないし、作れたとしてもそれらを噛み合わせて時間を計る事の出来るものが出来上がるのか、動力の問題もあるし、そもそも二十四時間という概念があっているのかすらわからない。
まあ、そんなことは大して問題じゃない。
俺は作ったばかりのジャケットを羽織り、【家庭道具召喚能力】で刃渡り30cm程の柳刃包丁とまな板、鍋を装着する。
今一番重要なのは食糧問題だ。
何か食べることの出来る獣がいれば狩るんだが、近くにはいないみたいだからちょっと夜狩りをしなければならない。
刃渡りという意味では60cmもあるマグロ解体用のマグロ包丁が良いのだろうが、あれは使い方次第で簡単に折れる、狩りには向かない。
と、いっても、夜中に森で音を立てずに進むなんて事はプロでもないオレには不可能。
つまり夜行性の草食系のおとなしい動物を狩るのは不可能だろう。
しかし、凶暴な夜行性の動物と戦って大丈夫なのかは俺にはわからない。
この世界には魔獣がいるとはいえ食べれるかは分からないし、そもそも凶暴なのかすら分からない。
こんなときに、戦闘系の特殊能力があればと思うが、【解析】も【家庭道具召喚能力】も【粉塵創造主】も完全に補助型の能力だ、【粉塵創造主】は使用法によっては強力な戦闘能力になりえるがそれはまだ仮定と憶測の域、下手な手を打つことはできない。
では、何故俺は夜狩りを行おうとしているか。
それは、空腹が普通に知覚できるようになった頃、せめて【解析】で一定の範囲内から一定の条件に当てはまる物を検索できないのかと【解析】を練習している際に思ったところ、出来ちゃったのである。一定のものを探し当てる【解析】の派生能力とでも呼ぶべきものが。
それは便宜上【索敵】と呼ぶことにして、まだ練習不足のせいか、【索敵】は大体500m以内のものを検索にかけることができるらしい。
試しにカセットコンロで検索してみたところ、頭の中に円形のレーダが投影され、直ぐ近くのカセットコンロらしきところに赤点が付いた。
これを夜狩りの最中ずっと発動させておけば突如として襲われる可能性は無い。
そう思い立った俺は戦闘準備を整え、いざ食材狩りへと出かけるのであった。
少年とカセットコンロを置きっぱなしにするのは多少不安があったが、【索敵】で少年とカセットコンロにマーカーを付けておいて非常事態になったら点滅するように設定しておいた。
カミサカからもらった能力はどうやらかなり柔軟に出来ている模様。
(【索敵】、検索開始、検索対象は人間が食べても一切身体に失調をもたらさない肉を剥ぎ取れる生き物は……、一応いるみたいだな)
今俺がいるカセットコンロの近くから北におよそ350mにそこそこ大きな反応が二つ。
番だろうか、親子だろうか、いや、関係ない、俺は彼らの命を尊重し、頂くだけだ。
俺は極力音を立てない範囲で北へと急ぐ。
鍋がガチャガチャ鳴らないようにするのと下生えの草に埋もれた枝を踏まないようにしていたため体感時間はかなり長かった。
そしてそこにいた二匹の獣は……。
(鹿、だな)
角の生えた牡鹿と角の無い牝鹿、二匹が揃って草を食んでいる。
草むらの陰に隠れているこちらに気が付いていない。
まあ、特に凶暴そうには見えないが、一応。
(【解析】!!)
-*-*-
名称:ジェクト
種別:地礎性魔獣種・エルス=ディアー
年齢:9
性別:牡
職業:逸れ鹿
出身:アルムの森
能力:無し
物理攻撃力:D-
物理耐久力:D
魔 力 量:60/60
魔法行使力:F-
魔法防御力:F
精 神 力:D
精神守備力:D
敏 捷 性:D+
知 能 :F+
運 :F-
称号・功績:無し
祝福・加護:無し
備考:職業、逸れ鹿により精神力、精神守備力、敏捷性、知能が弱上昇。
-*-*-
-*-*-
名称:ジェーン
種別:地礎性魔獣種・エルス=ディアー
年齢:7
性別:牝
職業:逸れ鹿
出身:アルムの森
能力:無し
物理攻撃力:E+
物理耐久力:D-
魔 力 量:70/70
魔法行使力:F
魔法防御力:F+
精 神 力:D+
精神守備力:D+
敏 捷 性:D-
知 能 :F+
運 :F-
称号・功績:無し
祝福・加護:無し
備考:職業、逸れ鹿により精神力、精神守備力、敏捷性、知能が弱上昇。
-*-*-
……、魔獣でした、種族はエルス=ディアーですか、アルムの森ってここですか?
なにより、名前、ありました。
何だろう、すっごい戦いにくい、名前が分かっただけなのに、しかもあまりにもステータスの値が低すぎて攻撃するのも躊躇って……しまうわけ無いよ? 俺だって生きたい、そのために彼らの命は頂く。
そう思った俺は隠れていた草むらからすぐさま飛び出す。
驚いたジェクトとジェーンは連れ立って逃げようとする、が。
「頂きます!」
小さな声で気迫をもって宣言するという変な事を成し遂げた俺の兇手にジェクトの首がすっぱり落ちる。
って、包丁の切れ味ってこんなに良かったのか? いや、カミサカに魔改造された俺の肉体のせいだ、骨まで絶つとは思わなかった。
ジェクトの首が角のせいで不恰好に地面を転がる。
落ちた首の虚ろな目がこちらを見つめ、肉体はぴくぴくと痙攣を繰り返し、動かなくなった。
その肉の塊と化したジェクトに、ジェーンは寄り添い、鼻で体を押す。
おお、カワイソウニカワイソウニ、今直ぐ君も愛しのジェクト君のところへと送ってあげよう、安らかに眠れ、そして俺と少年の血肉となれ、この世は弱肉強食なのだよ、少なくともこの世界では生きていたくば殺すしかないのだよ。
「頂きます」
そうして俺は再び真っ赤に染まった包丁を振り下ろした。
細い断末魔が愛しきモノへの哀悼の音の様に森中を響き渡り、愛しきものと同じ姿となった。
赤い血が、二つの赤い血が混ざり、地面に零れ落ちる。
鉄のきらめきにより命を絶たれた二つの命の物語はここで終わる。
そう、俺が、二つの命の終止符を打った。
二つの命の終止符を伸ばすために。
俺は何の感慨も無く、二つの肉のカタマリから血を抜いていく。
そういう知識は無かったはずなのにまるで手馴れているかのように正確に、カミサカが何かしたのだろうか。
どっちにしても、俺は命を奪った、生きるために、ならば極力美味しく調理して、ただの肉のカタマリから喜ばれる存在へと昇華させるのが調理人であり二つの命を奪った俺の責任ではないか。
だから。
「生きさせて頂きます」
俺は二頭の鹿だったものから無駄を出さないように剥ぎ取る。
皮も、角も、骨も、もちろん肉も。
唯一、角の無くなった頭と、元から角の無い頭は俺が穴を掘り並べて埋め、手を合わせる。
墓石も何も無いちっぽけな墓に、最大限の敬意を篭めて。
+=+
カセットコンロで熱し、油を引いたフライパンの上に【粉塵創造主】で作った塩胡椒で味付けをした鹿の肉を置く。
どうやら油も【家庭道具召喚能力】で小量なら召喚できるみたいだ、ありがたい。
付け合わせなんて無い、酷く無骨な料理しか作れないことに内心酷く後悔しつつも、美味しく焼けるように見守る。
同時進行で紅茶も沸かす、やはり似非ティーバックになるが。
せめてミルクでもあれば少年に出せる紅茶の幅も増えるのだが、しょうがない。今回は甘さが特徴のジョルジを淹れる。
少年が起きるまでどうしようか、すでに余った肉は干し肉にすべく木に吊るしてあるし、服装もちゃんと作った。血に塗れた包丁は【粉塵創造主】で作った水と洗剤と研磨粉できちんと洗って研ぎなおしたし、ジャケットの血染みも【粉塵創造主】の洗剤できれいに落ちた。
少年がどういった人物か知りたいが、外道邪道の俺とはいえ、少年の記憶を読む程非道じゃない。
鹿の角も骨も急遽造った厚手の布の袋に詰め込んだため、本当にやることが無い。
やることといえばカミサカから渡された余剰分の枠を埋めるのに使われた能力を調べるとか、魔法を試してみるとか……。
しかし、何も手がかりが無いのに特殊能力を調べるのは骨が折れる。
と、なれば魔法かな……?
まあ、原理は分からん、よくイメージが重要だとか言われるけど、イメージだけで出たら苦労はしないな。
詠唱も必要だとか? いや、あれは一昔前のライトノベルから発祥したんだっけ……、それ以前は詠唱なんて概念無かっただろうし、呪文はあったかもしれないけど。
そもそも魔力が何なのか分からないし……。
いや、やってみれば良いじゃないか! そこから疑問も解消すれば良い話だ!
魔法といえばファイヤーボールとかが妥当だろうけど森の中で使うものじゃない。
何か妥当なものが無いか考えつつ肉をひっくり返す。
きれいに焼けていた。
「なんかこう、手を前にかざしてさ、『ファイヤーボール!』とでも叫べば魔法が発動したら良いのに……」
実際に手を前にかざしながら俺が言葉を漏らす。
あー、カミサカと話せたらどうすればいいのか聞けるのに、通信手段が無いしなぁ、カミサカの説明だと最高位ぐらいの神じゃないと異世界の人の声を拾うことは出来ないらしいし……。
……、試行錯誤かー……。
……………………。
……近くに魔法神《クァルエンディスト》の加護を受けた人間がいるじゃないか、加護の情報を遡れば、あるいは少年の記憶から魔法に関する知識だけを抽出して読み取れば……?
非道なことじゃない、非道じゃない、そう、これは非道じゃない、記憶抽出の練習だ。
加護の読み取りなんかよりもよっぽど有意義じゃないか。
(【解析】、記憶抽出で魔法関係、初級の魔法の使い方だな)
少年に向けて放った【解析】で、記憶が抽出され、俺の脳裏に文字が踊る。
きちんと魔法の使い方だけが抽出できたみたいだ。
概要を説明するのであれば、神や精霊、もしくは悪魔などに起こしたい事象を願い、その代価分の魔力を支払うことで魔法が成立するといった形か。
もちろん、火の神には火の魔法、水の神には水の魔法しか使えないみたいだが。
もっとも、大抵この願いっていうのも形骸化して、今では一定の魔法に付き一定の魔力を支払えば簡単に魔法が使えるそうだ。
……、俺はこの世界の何かに願いたいとは思わないな……。
あれだけ傲慢な神々に願ったら尻の毛まで毟り取られそう、物理的に毟りに来たら殴ってやるんだけどな。
だからといって、他に知ってる神といえばカミサカだけだし、カミサカは願う相手というより頼み事をする相手だし、そもそも【解析】でカミサカの名前が【高位神《Lふぁおxgンhaxgu542ruj亜AXF》】ってなっていたから頼み事をするにも名前が分からない。
ちなみに、カミサカの属性は分裂していないから【全】になるらしい、つまり火も水も地も風も全てカミサカの司るものらしい。
一応、形式文があるらしいからそれにカミサカの名前を当てはめてやってみたのだが……。
「我、カミサカに希う、我求めんとす火の矢をここに、【ファイヤーアロー】!」
「我、カミサカ レイジに希う、我求めんとす火の矢をここに! 【ファイヤーアロー】!」
「我! レイジに希う! 我求めんとす火の矢をここに! 【ファイヤーアロー】!」
一切何も起こらない、やはり【高位神《Lふぁおxgンhaxgu542ruj亜AXF》】の文字化けした部分の名前じゃないと駄目なのか、異世界じゃ駄目なのか、それとも文言がおかしいのか。
文言の可能性もあるし、やはり一通り試すしかないか。
「カミサカ! 俺に力を貸せ! 【ファイヤーアロー】!」
「カミサカ! 【ファイヤーアロー】だ!」
「【ファイヤーアロー】を出すんだ! カミサカ!」
「我願いたるは火! 力の形は矢! カミサカの名の下に行使せん! 【ファイヤーアロー】!」
「出すもの出せよ、カミサカ! 【ファイヤーアロー】!」
「もっとがんばれよ! カミサカ! お前なら火の矢が出せるだろ! そうだ! 【ファイヤーアロー】だ!」
「世界と時空を生み出しし者、因果の流れより尊き者、世界の果てに彷徨えし、唯一絶対の名において、我、此処に火炎に誓う、我らが道を虐げる、全ての生ける愚者達に、我と汝の力にて、等しく焔を与えんことを! 【火炎矢】! ……って、これで発動したら困るな」
ありとあらゆる呪文を唱えてみたものの一向に手がかりは無し。
あー、めんどくさい。
そう思った俺は火の通った肉を皿の上に載せ、カセットコンロの火を消し寝転がる。
空では翡翠の様な月が輝き、それに追従して億千ほど有りそうな星が輝く。
……カミサカが起こしたのはビッグバン程度か。
そう思うと俺は自然と深淵の闇を湛えた空に手を伸ばす。
「我に従え天の星、【ファイヤーアロー】」
その瞬間、ボウッと赤く燃える長さ15cm程の矢が出現した。
「うわぁ!?」
びっくりしてすぐさまそれを消す。
しかし、あれは魔法だ。
「キーワードは何だ……、『従え』なのか? 『天の星』なのか?」
とりあえず、足掛かりは見つけた、後は虱潰しに探すのみだ。
「我に従え天の星、【ファイヤーアロー】」
そうして現れた火の矢に、俺は喜悦の笑みを浮かべた。
+=+
結果から説明しよう。
言葉の節は四つあった。
最初は『我に』じゃないと発動しない、これを『接頭節』と呼ぶ。
次に『従え』の部分、これは三つの言葉に分かれる、『従え』と『誓え』と『隷属せよ』、威力は『従え』が一番弱く、『隷属せよ』が一番強い、中間に『誓え』が入る、これは『従属節』と呼ぶことにする。
そして次が、『天の』の部分、これは五つだ、『空の』、『天の』、『蒼空の』、『天空の』、『天津』、強さもこの順番、『空の』が一番弱く、『天津』が一番強い、この部分は『空間節』と呼ぼう。
最後が『星』、この部分が一番ややこしい、今確認できている言葉だけでも、『星』、『月』、『銀河』、『星屑』、『流星』、『隕石』、『太陽』、『星辰』、『雲』、『崩星』の九つ、威力はどれが一番高いとかは分からない、恐らくそのときの天候に左右されたり、昼か夜か、実際に出ているかで威力も異なると思う、安定しているのは『星』と『崩星』、ちなみに『崩星』はブラックホールを表した言葉だと思ってもらえればいい、質量の大きな星が崩壊することで生まれるため『崩星』と、まあ、実際にこんな言葉は無いが。ともかくこれは『天体節』と呼ぶ。
少し例外もあるが、大抵が『接頭節』、『従属節』、『空間節』、『天体節』の並びで唱え、技名を唱えれば魔法は発動する。
ちなみに、少しの例外は全て隔絶した威力を持つのと、体から何か、恐らく魔力が抜ける感覚がしたためそう易々と使うわけにはいかないとだけ言っておこう。
そう、俺はどれだけ魔法を使っても例外以外では魔力が抜け落ちる感覚を感じることが出来なかったのだ。
もっとも、その例外でも海からバケツ一杯分水を取った程度の消費でしかないのだが。
「我に従え空の星屑、【レンジデチン】」
俺が呪文を唱えると皿に盛り付けられた鹿肉が出来立てのように温まる。
最低威力の言葉の組み合わせで出来た技は、正直に言うと俺がこうなれば良いなと思いつつやったらできたというだけである。
ちなみに、これは火属性の魔法なんかじゃなくて電子レンジと同じく分子振動を起こす技になっている。
最初は『我に従え天の星、【レンジデチン】』と唱えたのだが、肉がカチコチに硬くなってしまったり、燃えてしまったりしたため、威力がちゃんと調整できるまでは最低威力の言葉の組み合わせで我慢するしかない。
俺は温まった鹿肉を小皿に盛り付け、淹れておいた紅茶と共に両手にもち、立ち上がる。
少年に近寄った俺は皿とカップを地面に置き、少年を起こす。
ゆさゆさと体を揺らしていると、『ぅん……』という呻きと共に少年が目を擦りながら起きる。
「おはよう少年、飯できてるぞ」
「あ、おはようございますっ! ……、えっと……」
少年がびっくりしたように挨拶した後、言葉を詰まらせる。
「…………?」
「あ、あの……」
「なんだ? 少年」
「お名前、聞いてもよろしいですか?」
うーん、名前か、確かに教えていなかったな。
少年の知識を覗いた所、名前で人を拘束するような魔法は見当たらなかったが、やはり警戒するに越したことは無い。
「俺に名前は無い、もし呼び名が欲しければ『薬師』とでも呼べ」
「はい! 薬師様!」
「様は付けなくてもいい、あと少年」
「なんですか? 薬師さん」
「少年も名前は捨てろ、忌々しい過去と共に捨ててしまえ」
「……はい、そうしたら僕の名前は?」
少年が困惑したように言う、何故そこまで素直に従うのか分からなかったが、その方がやりやすい。
「少年は少年だ、それ以外の何者でもない、他に少年と呼ぶような輩はこの一行に加えないつもりだし、そもそもその名前はお前を捨てた無責任な親が付けたものだ、そんな名前を付けているなんて許さん」
そういうと少年はしばらく考え込んだあとに、笑顔でこういった。
「はい! 薬師さん!」
ここまで従順だと何かあるのかと恐ろしくなるが、まあ良いや。
しかし、名前を覚えるのが面倒くさいからという理由も一因なのだが、話さないほうが良いな。
「少年、名前なんかより先に食え、今日は森から出るつもりだからな」
俺は内心を誤魔化す様に少年に食事をするように促し、当座の目標を告げる。
それにしても、この子の言葉遣いといい、礼儀というか作法というか、どこか良いところの子供だったのではないのだろうか。
「はい、分かりました! 一生懸命歩きます!」
「無茶はするなよ、背負ってやるぐらいは出来るからな」
「いえ! 薬師さんの御手を煩わせる訳にはいきません!」
「途中で倒れたら困るんだよ、馬鹿」
「ご、ごめんなさい、もしものときは背負ってくださいね?」
「ああ、わかった、素直でいい子だ」
そういって笑顔で少年の頭をクシャクシャと乱暴に撫でてやる。
少年の抵抗は本当に戯れ程度の物で俺は調子にのって更に強くかき混ぜる。
陽の出でたるあまり深くもない森、ここから、薬師と少年の旅は始まった。
-*-*-
名称:taQTク#X0御8w4ェj6p=omawfiz天gt273アwioq4yxhニudmiaua
種別:無礎性人間種・半神
年齢:16
性別:男
職業:sgu54%hala・薬師・旅人
出身:高位世界【ju邊an8a8gf務j】
能力:【粉塵創造主】・【解析】‐【索敵】・【家庭道具召喚能力】・【無杖の魔法師】・【n8qx7oジェ3hmra画8】
物理攻撃力:B
物理耐久力:B+
魔 力 量:oa34m目aew7/0士78tェuapr
魔法行使力:A+
魔法防御力:A-
精 神 力:S-
精神守備力:S+
敏 捷 性:C+
知 能 :S
運 :C-
称号・功績:【異世界旅行者】・【奈落への案内人】・【運命転換者】・【新魔法創造】
祝福・加護:【高位神《Lふぁおxgンhaxgu542ruj亜AXF》の完全守護】
備考:測定不能部位が数多くあり文字化けが発生しました。
-*-*-
-*-*-
名称:ショウネン
種別:天礎性人間種
年齢:11
性別:男
職業:薬師の供・旅人
出身:アイゼリク王国
能力:【無杖の魔法師】
物理攻撃力:E
物理耐久力:D-
魔 力 量:202857391/202857391
魔法行使力:A+
魔法防御力:A
精 神 力:C+
精神守備力:E+
敏 捷 性:G
知 能 :B+
運 :A-
称号・功績:【黄泉路より帰還した者】・【名捨て人】
祝福・加護:【魔法神《クァルエンディスト》の最上級加護】(制限)
備考:【蝕魔病】の後遺症により極度の筋力低下、長時間の自立歩行は不可能。
-*-*-
カミサカから貰った能力の自由度はかなり高いです。
薬師は、『クスシ』でも『ヤクシ』でもご自由にお呼びください。
あと、私の知る限り魔法に詠唱が必要になったのは某竜殺しの小説から。
それ以前は技名を言うだけで発動したはず。
ちなみに主人公が発動したら困るといった呪文は某竜殺しの主人公の必殺技の詠唱を少し変えたもの。
誤字脱字の報告お待ちしております。