追い駆けるべき幼馴染
部屋に戻った凛には勉強するための気力も立って入れる気力もなかった。
「翔、翔、ねぇ、翔」
今は1人になりたくなかった、翔に傍にいてほしい。
翔まで消えてなくなりそうで、怖い。
「何や? 凛、どないした?」
窓から覗く翔は凛が静かに泣いているのに気がつきあわてた。
「どないしたん? えぇ、俺か? 俺が勉強せぇへんからなん?
なんて言ってくる、そんな翔を見てなんだか落ち着いて。
「翔、夏樹がね、龍夜がね、」
涙が溢れて留まらないまま話し続ける。
「龍夜が、殺された・・・・・・・・・・。」
悲しそうな顔をしながら、翔が言った。
「ヤッパリ、分かるのは時間の問題やんな。」
その言葉に食って掛かる。
「何よ! 時間の問題って、知ってたの? 何で言わなかったのよ!! 夏輝は辛いから夏樹が言えないのは分かる、でも何で言わなかったのよ、夏樹のお母さんから連絡なんてなかったヮ!!!」
「俺が言っても信じへんかったやろ? 夏輝のお母さんにも俺が言うなって言ってん」
裏切られた気がした、確かに信じなかっただろうし、夏樹のお母さんが言ってきたら言ってきたで、何も出来ず立ち尽くしただろう。
「悪かった、」
そう言って窓から帰ってゆく翔。
何も言えずにただ、見つめていた。
その晩、翔は消えた。