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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第二章 修行の始まり
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第九話 優誓おじいちゃん発・はとこサミット 壱

優誓おじいちゃんに優愛のことが好きだとバレてから数日後、今度は僕が優誓おじいちゃんの家に行くことになった。


集合場所は、家から少し離れた優誓おじいちゃんの別荘。

はとこを全員集めて話し合う、ということしか聞いていない。

今度は何をやられるのだろうか。

不安で不安でしょうがない。

それよりも、はとこたちが全員女だったら、僕の人権が消える。

頼むから、一人くらい男がいてくれ...。


金曜日の放課後。

週末の空気が少しだけ緩んでいるはずなのに、僕の心は逆に張りつめていた。

学校から真っ直ぐ歩いて駅に行くと、声を掛けられた。

「あ、溢喜~。おつかれ~」

声のする方を見ると、美褒だ。

これから一緒の電車に乗って、別荘の近くまで行く。

「おつかれ美褒」

「はとこ全員集めるとか、頭おかしいよね~」

「確かに。でも、それぐらい行動力のある人だからさ。何もせず、じっとしてたら、逆にこっちが心配になるけど」

そう。優誓おじいちゃんは本当に何でもやる。

そして、性格は…一番終わっている。


電車に乗ると美褒が言った。

「はとこって、何人くらいいるんだろうね~」

「僕らと美褒のいとこも合わせると、五人以上は確定だよね」

「てか、全員女子ってほんと?」

「うん、たぶん。爽快おじいちゃんのところも、栄誉おじいちゃんのところも、女の子ばっかって聞いたし」

「うわぁ…僕、完全に気まずいやつじゃん」

「まあ、溢喜は女子と気軽に話せるし、なんとかなるでしょ~」

「それが逆にやばいんだって…」


そういえば、優誓おじいちゃんは孫がいないのだろうか?

そう疑問に思ったが、行けば分かると一人で納得した。


電車の窓から見える景色は、少しずつ緑が濃くなっていく。

別荘があるのは、山の中の静かな場所らしい。

“話し合い”って言葉が、じわじわと重くのしかかってくる。


駅に着くと、送迎用のリムジンが待っていた。

僕らはリムジンに乗ると早速、飲み物を出された。

美褒は紅茶だが、僕は...コーヒー。

しかもブラック。

おいおい。

なぜ親戚との話し合いの時まで、優愛のことを引きずるのか、僕には到底理解できない。

やはり、優誓おじいちゃんの性格は酷いということが、改めて分かった。


車が山道を進むにつれて、空気が澄んでいく。

そして、別荘に着いた。

そこには、すでに何人かの女子たちが集まり、玄関に吸い込まれていく。

みんな、どこか似ている。

髪の色や目の形、雰囲気が、どこか“光道家”っぽい。


「うわ…ほんとに女子ばっかだ」

「ね~。でも、みんな可愛いね」

「だから、それが逆に怖いんだって…」


女子って、何考えてるか分からない時あるじゃん。

その“分からなさ”が、誤解を生むのが嫌なんだよ。

でも、嫌いってわけじゃない。

むしろ、ちゃんと話したいと思ってる。

...とは、言えなかった。


リムジンから降り、別荘の玄関まで行った。

玄関の扉はとても大きく、まるで城の門のような大きさだった。

僕は、深く息を吸った。

そして、覚悟を決めて玄関をくぐった。

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