第七話 光道の修行
突然、家のチャイムが鳴った。
「お~い。俺だよ俺ー。」
その声はとても大きく、自分の部屋にいた僕にまで聞こえていた。
ホント、近所迷惑だ。
てか“俺だよ俺”って、オレオレ詐欺じゃんw。
「はいはーい。」
お母さんがドアを開ける。
「うちの兄がうるさくてすまない…。」
そう言うのは、僕の母方の祖父、光道 真実。
「え?!全然うるさくないよ?!」
そう大声で否定するのは祖父の兄、光道 優誓。
光道家は代々、いろいろな事業を手がけてきた大企業だ。
雑貨に家電、車に公共施設の建設など…ありとあらゆることをしてきた。
よくテレビのスポンサーにもなっている。
長男の優誓が社長の、株式会社光道。
次男の真実が社長の、株式会社輝。
三男の爽快が社長の、株式会社煌。
四男の栄誉が社長の、株式会社陽晃。
一番規模が大きい会社は光道だが、それぞれの会社にも得意分野があるらしい。
だが、どの会社も悩んでいることがある。
それは…息子が生まれなかったということ。
何せ跡継ぎがいないとか…。
僕は別に誰が継いでもいいと思うが、その点に関して彼らはこだわっているらしい。
「溢喜ー!お客さんよー!」
「はーい」
そう言って、僕はリビングに向かった。
食卓のテーブルには、二人が座っている。
母はと言うと…どこにもいない!
逃げたな…。
祖父が口を開く。
「早速なんだが。光道家の未来について、少しだけ考えてみてほしい」
「え、会社じゃなくて?光道家?」
僕は驚いて、続けた。
「おじいちゃん、言ってたよね。光道家は昔から長男に継がせてたって。何で長男の家系でもない僕が…?」
そこまで言うと、優誓おじいちゃんが言った。
「それでも、お前は“光道の血”を継いでいる。それに、君のいとこ、はとこたちを見たまえ。他に男はいるか?」
「そもそもいとこいないし…。はとこたちは全員女性らしいし…」
そう、僕ははとこたちを全員見たことがない。
なぜなら…多すぎるんだ。
それはさておき、僕は言葉を失った。
光道家の跡継ぎ?僕が?
いやいやいや、そんな大それた話、急に言われても…。
「でも、ちょっと待って、僕はただの高校生だよ?」
「だからこそ、今のうちに考えておいてほしい。
光道家は、ただの会社じゃない。“人を照らす道”を作る家なんだ。
しかも、私たちももうすぐ80代になるんだよ」
その通りだ。祖父たちは若く見えるが、実際はあちこち動けるような年齢ではない。
祖父の言葉は、静かだけど重かった。
そのとき、優誓おじいちゃんが笑いながら言った。
「まあ、焦るな。まずは優愛ちゃんとデートでもしてこい。
それが一番の“光道の修行”だ」
「うん……ん?」
「人の心を照らせない奴に、道なんて作れないからな」
ちょっと待て。なぜ幼馴染の名前が出てきた?
優誓おじいちゃんはどこでそのことを知った?
…え?……え、え?!
しかもデートって…。
...もしや、あの人が言ったのか?!